【やり直し軍師SS-590】遠路訓練(20)
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デジェストが死んでいるかもしれない。
そんなネルフィアさんの言葉に対して、周囲の反応は乏しい。
ただ、ネルフィアさんがわざわざ口にした情報だ。何か意味がある。私は言葉の真意について考える。
私が聞きかじった範囲では、リフレアの残党で大規模な組織は存在しない。
ネルフィアさん達が細かく殲滅し、緩やかな減少傾向にあると、以前何かの機会に聞いたことがあった。
デジェストがフェマスの大戦に参加していたのならば、結成したという組織も比較的初期の頃から存在している。
ならば首魁であるデジェストが、今は情報管理部と呼ばれる第八騎士団の掃討作戦の最中で討ち取られてとしても、特筆すべきほどの話ではないように思う。
あ、でも、ネルフィアさんは可能性が高いという言い方をした。といことは第八騎士団の網にかかったわけじゃないのか。うーん、でもそこは多分、重要じゃない。
そういえば、ジュノスが助けてくれた時に『残党が徒党を組み始めた気配がある』といっていた。
つまり……。
「……得体の知れない相手が、小さな組織をまとめ始めた?」
私の呟きに対して、ネルフィアさんが満足そうに頷く。
「本当に、ロピアの才能は惜しいですね。考え直して、情報管理部に入りませんか。即日幹部待遇で迎えてもいいですよ?」
「……ありがたいお誘いですけど、私、ルファ様のお力になりたいので……」
既に何度もやりとりした問答だ。どうもネルフィアさん、私を後継者にしたいらしい。
「すぐに決めずとも構いません、気が向いたら是非」
そうはいってもネルフィアさんの立場は、気が向いた程度で背負えるものではない。
「それよりも、結構深刻な事態になっているということですか?」
ルデクを敵視する地下組織が力をつけるのは、ルデクにとっては切実な問題だ。
「……今はまだ、兆候に留まっています。が、それはあくまでこちらが把握している範囲内での話。既に大きな計画が動いていたとしてもおかしくはない。警戒してしすぎることはありません。ですから、皆さんに聞いて頂きました」
「……それはつまり、殿下を護衛しろとの意味合いですか?」
オーリンが口を開けば、
「いいえ。失礼を承知で申し上げれば、そこまでは期待しておりません。レゼット、ラゼットも含め、あなた方はまだまだ実力不足。しかしそれは、学生の身としては当然のことです。ただ、知っていると知らないでは、取るべき行動、考えるべき事象が異なります。それが“情報の価値”というものです」
「そうは言っても、責任重大だなぁ」
コナーが大袈裟に手を広げ、おどけるような仕草。この状況下でこの度胸、コナーってちょっと大物かも。
「ご安心ください。当然我々も警戒度合いを引き上げます。しかしながら殿下」
「ああ、分かっている。今まで以上に軽率な行動を控えるようにしよう」
ゼクシアが神妙に頷くと、その日はひとまず解散となったのである。
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翌日、本来の目的地に向かう生徒達をこっそり見送った私たちは、そのまま数日宿で待機となった。
追加の護衛が王都からやってくるまで帰れないのだ。実行犯は蹴散らし、その大半を捕えたものの、まだ完全に安全が確保された保証はない。
なので、ゼクシアのために護衛が来てようやく行動開始となる。
という状況下にあって気軽に出歩くわけにもいかず、私たちは宿の中で時間を潰す。
もっぱら話題の主役は私、ロピア=シュタインである。
学院の生徒達からはもちろん、アンナからも質問攻めに合いながら、どうにかこうにか時間を過ごす。
そうしてついにその時が来た。
「さあて、ようやく帰れますよ〜」
サザビーさんの気合いの抜けた知らせで宿を出てみれば、私に駆け寄ってくる人物が。
「ママ!? それにパパも」
ママは駆け寄った勢いで私を抱きしめる。
しばらく黙ってギュッとしたあと、
「ごめん、こんなことになると思っていなかったわ。どこも怪我はない?」
目尻に少し涙を溜めたママに、私は笑顔を作る。
今回の遠路訓練もそうだけど、ママはママなりに、私がルファ妃様のそばにお仕えできるように色々と考えてくれているのだ。
実績がないと、縁故採用と陰口を叩かれる立場だから。
「大丈夫。でもママ達がくるとは思ってもなかった」
「行くに決まっているじゃない。本当に良かった……」
ほっとするママの後ろで、パパも安堵の息を漏らす。
「随分と無茶したようだね。内容を聞いて驚いたよ。……これはちょっと、看過できない事態になってきたなぁ、ネルフィア、あとで少し話そうか。ともかく無事で良かった」
「あー、うん。まあ」
ほんの少し目つきが怖いパパに、私が曖昧に返事をすれば、ママが私の頬を引っ張った。
「そうだ。今回の貴方の行動については、家に帰ったらしっかり聞かせてもらうからね」
これ、絶対怒られるだろうなぁと覚悟しながら、私達は王都へと帰ったのである。




