表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
589/609

【やり直し軍師SS-588】遠路訓練(18)


 私がユイメイさんに遊ばれていると、一足遅れてゼクシア達もこちらにやってきた。


 私が血まみれなのを見て、一瞬ギョッとしたものの、表情から返り血と判断したのだろう。すぐに表情を切り替える。


「無事だったか?」


「まあね。そっちは?」


「見ての通りだ。全員怪我もない。……その、すまん。ここにいる者たちにお前のことを話した。協力してもらうのに必要であったのだ」


 申し訳なさそうなゼクシアの背後にいたのは、ゼクシアと良く一緒にいる面々だ。顔に見覚えがあった。


「気にしないで。これは私のミスだから。ゼクシアに何かあったら、ルファ様に申し訳が立たないところだった。ごめん」


「いや、気づかれたのは私の軽率な行動だった。……ところで、そちらのご令嬢は?」


 ゼクシアの視線が私の後ろにいたアンナに注がれる。


「私の友達のアンナ。この娘にだけ秘密を話したの」


「そうか。アンナさんだな。私はゼクシアという。初めまして」


「は、は、はじめめして! おお会いできて光栄でしゅ!」


 王子を前にしてガッチガチのアンナに苦笑していると、私のほうも声をかけられた。


「ロピア=シュタイン様ですね。(わたくし)、オーリン=コスワーズと申します。まさか、あの英雄宰相様の御息女が、身分を隠されて学園に通われていたとは……」


「コスワーズ家のことは知っているわ。こちらこそよろしくね。でも、そこまで畏まってもらう必要はないよ。私も一応、学院にも所属しているから。学院の方針は貴賤身分を問わず、平等に、でしょ?」


「お、いいこと言うね。それじゃあ遠慮なく、俺はコナー。貴族でもなんでもないから!」


「よろしく、コナー。今回は助けてくれてありがとう」


「いやいや、気にするなよ! 実際に身代わりになったのはセルジュだし!」


 コナーに指差されたセルジュだけは、衣装の右半分を泥で汚していた。ゼクシアやレゼット、ラゼットを含めて、全員が似たような格好をしていることから、どんな手を使ったのは概ね想像できる。


「……なるほど。セルジュだけちゃんと丈を合わせて、ゼクシアと誤認させたのか。よく見ればゼクシアの衣装も丈が若干足りてない。それも、よく見なければ判別できない程度に、ほんの僅かに。わざとね。うん。これなら相手は急拵えな偽装策と判断する。面白いことを考えた人がいるね。そして実際にセルジュが狙われても、狙われることがわかっていれば対応も早い。君を矢から守るために、馬から突き落とされたの? 怪我はなかった?」


 私が感心していると、三人はポカンと口を開けたまま。


 そんな様子を眺めていたゼクシアが「くくく」と笑った。


「ほら、言ったとおりだろう」


「ちょっと、なんか余計なこと言ったんじゃないでしょうね?」


「いや、余計なことは言っていない。あの宰相殿の娘だと説明しただけだ」


 ……いつもの城壁の上なら軽く蹴っ飛ばしているところだけど、流石にここではまずいか。


 私がぐぬぬとなっていると、ネルフィアさんがぱんぱんと手を叩く。


「楽しくお話しするのは後にしましょう。まずは脱出します。一旦街に戻り、話はそれからですね。あ、サザビー、一つ頼まれてください」


「なんです?」


 さっきまでいなかったはずのサザビーさんが、さも当然のように現れて、私の頭に手を乗せる。


「ロピアちゃん、無事でよかった」


「それも後です。サザビー、街へ行ってリュゼルに伝えてください。ゼクシア殿下をはじめ、ここにいる生徒たちの演習は中止。あとは上手いこと誤魔化してください、と」


「了解です。ではお先に失礼します」


「それで、他の人質はどうなっていますか?」


「今は気絶しているので、そのままにして、第三騎士団の方に見張りをしてもらっています」


 私の答えに軽く頷いたネルフィアさんは、すぐに指示を出す。


「ではそちらはジュノスに任せましょう。第三騎士団の面々と、馬車を連れて直接王都へ向かい、お二人のケアを。……ちなみにその二人はどこまで知っていますか?」


「多分、誘拐されたこと以外は何も」


「それは都合がいいですね。聞いたとおりです。ジュノス、お二人にはしっかりと“ご説明”を」


「了解した。じゃあこちらも早々に出る。馬車がいる分、時間がかかるからな。それでは殿下、また後ほど」


「ああ。ジュノスにも感謝する。助かった」


「もったいないお言葉にて。……ロピアもじゃあな。もう誘拐されんなよ」


「うっさいわね!」


 余計なひと言を残して去っていたジュノスを見送ると、私たちも街に戻る準備を始めたのである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
これ宰相と王が自分の子どもを餌に反乱分子を釣り出すために計画してそう。
ロアがボーガンを世に知らしめてから二十年くらい経つのに、一般に普及してないのかね。弓の達人には必要ないけど狙撃にむいているのにね。 服を着た背中を刺して貫通した腹側からの返り血が血塗れになるほど出ない…
学院生は護衛失敗、学園生はお楽しみキャンプが短くなって ロピアの情報拡散して 今回ロピアだけでなく参加者皆んな良いとこ無しか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ