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惨劇エロゲにFPS大隊(角待ちSG、ナイファー、芋砂、蘇生厨、乗り物厨、豆ヘリ、その他様々な馬鹿兵士)がぶち込まれるお話  作者: 福郎


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落っこちた兵士達

息抜き投稿

 ヒューンという鋭い音が聞こえたと同時に着弾。

 爆薬と金属片が至近距離で炸裂し、周囲の人間が単なる肉の破片に……。

 ならなかった。


「指揮官んんんんん! だから言ったんだ! 間接的な射撃になる砲とかは実装すんなって! 遠くからチマチマ撃って、楽しいと思う奴がいるか⁉ ありがたい配慮のお陰でダメージが少ない⁉ お陰様で余計に鬱陶しいんだよ! つまり両方がつまんねえぞ!」

「ストレスしか感じねんだけどゴラぁ!」

「とっとと消しやがれ指揮官ー!」

「ブーブー!」


 不思議な話だ。

 地面が抉れるほどの衝撃だったのに、周囲にいた四人程の男たちはぺちゃくちゃと文句を言い続けて、見るからに元気いっぱいだ。


「五百と五百が戦ってるから、いろんな意見があるんだってー!」


 一方、半泣きで叫び返している人間もピンピンしている。


 砂漠に適したミリタリーベストとヘルメットを着用している、指揮官と呼ばれた男は四十代程だろうか。

 顔には少々の皺と無精髭。

 くすんで色素が抜けた黒髪は短く切り揃えられている。

 瞼は少々垂れ気味で、そこから覗いている黒目は大きく揺れて、自分の失敗から目を逸らしかけていた。


 総じて述べると覇気がなく、砲弾や銃弾が飛び交う今現在の戦場には似つかわしくない、休日の公園のベンチで座っているのが相応しい男だ。


「ならその意見を言ってみろや!」

「えーっと、遠くからプチプチ虫を潰したい。みたいな?」

「死ねアホ!」

「ボケ!」

「カス!」

「な、何事もチャレンジは必要なんだって! あ」

「あ?」


 賑やかな指揮官と四人の兵士が思わず空を見上げる。

 雲一つない青空は、代わりに対空気銃やミサイルが飛び交う混沌の戦場だったが、その中でドッグファイト中だった戦闘機が被弾して火を噴き、コントロールを失ったまま彼らの集団に突っ込んできていた。


「ぎゃあああああああああああああああああ!」


 音の壁を越えられる物体が勢いそのままに突っ込んできたのだ。彼らが悲鳴を上げられたのは奇跡だろう。

 指揮官と周囲の人間は間違いなく死……。


「うん?」

「なにこれ?」

「蛍……じゃないな」

「なんかバグった?」

「おーいちょっと休戦ー!」

「この車に貼り付けた爆薬どうしろと⁉」

「適当に爆発しとけ」

「適当すぎる」


 その時だ。


 砂漠の渓谷で戦っていた者達は一旦手が止まり、周囲を浮遊し始めた光の玉を興味深そうに眺める。

 少し離れたところでは味方を救助していた衛生兵が。

 少し離れたところでは弾薬が尽きてナイフを片手にした兵士が。

 少し離れたところではサボっていた不届き者が。

 少し離れたところでは渓谷に落ちていく戦車の主が。


 五百人と五百人。

 合わせてたった千人の兵士達の争いが止まり、たった数量の戦車がエンジンを止め、たった数機の戦闘機が高度を維持する、小さな小さな局所的な戦場から音が消え去る。


 光も。


 now loading。now loading。now loading。now loading。now loading。

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 now loading。now loading。now loading。now loading。now loading。

 now loading。now loading。now loading。now loading。now loading。


「あいたっ⁉ なんだっ⁉」


 落っこちたかのような衝撃を受けた指揮官は、慌てて周囲の様子を確認する。

 千人の兵士、いなかった。

 車両と戦闘機、なかった。

 砂漠……ですらない。


「ど、どこだここ? 知らないぞ……」


 なにもない草原だ。

 遮蔽物はなく、草が生い茂り、身を潜める大穴もない場所なんて指揮官は知らない。

 もし平原のど真ん中で戦うことになれば、千人の同胞から大ブーイングを受けることが分かりきっているため、彼には一生縁が無いと思っていた場所だ。


「あり得るのか? 俺が招かれた? いや、だとしてもこんなところに落ちたなら、企みがあっても上手くいってない筈……訳が分からん」


 指揮官の疲れている様な瞼が酷く細くなり、鷹のような目で周囲を観察するが、混乱が増すばかりである。

 これがなんらかの大きな装置や、極端を言えば魔法陣でもあれば納得しただろう。しかし平原は平原。原っぱは原っぱ。あるのは小鳥の囀りや飛び回る虫。

 爆音が鳴り響く戦場とは遠い場所だった。


「とりあえず情報収集だな……アスファルトではないが道がある……少なくとも文化があるのは幸いだ……」


 独り言が癖になっているのだろう。

 彼が先程までいた戦場の千人全員が、なにか腹立たしいことがあれば一人で叫ぶため、これに関しては共通事項と言ってもいい。


 指揮官はそうやってブツブツ呟きながら、アスファルトで舗装されていないが草が生えていない道を見つけ、いきなり走り出した。

 走る。

 走る。

 走り続ける。


 異常だ。

 息を切らさず、軍用ベストと小銃を身に纏っている男が三時間以上も走り続けることなど、果たして可能なのだろうか。


「や、ヤバイかも……」


 そんな異常な男、指揮官が心底困ったように呟く。

 聳える城壁が見えたため目的地に困らなくなったが、どうも剣や槍らしきものを持った人間がうろついているではないか。

 はっきり言って彼が想定していた文明レベルと大きな隔たりが存在しており、途方に暮れる寸前だった。


「街中でミリタリー装備してる危険人物じゃなくて、へんてこな服装の奴に思われるのは助かったけど、これじゃあ異物も異物じゃん……あのーすいません。この街って入るのになにかお金とかって必要ですか?」

「いや、必要ないが……何だその服装?」

「あ、あはは。こう、なんというか、悪名は無名に勝ると申しますか……」

「うん? 冒険者や傭兵の類か?」

「そ、そうですそうです!」

「まあ、確かに注目は集めてるな」

「あは。あはは」

「名前は?」

「ジョン・ドゥです」

「聞いたこともない」

「あはは……」


 慌てた指揮官ジョン・ドウは門を守っていた兵士に声をかけたが、やはり銃による戦いを想定している装備は悪目立ちしてしまい、かなり苦しい言い訳で誤魔化すしかなかった。


「ところで高名な賢者様や学者様とかは、どこにいらっしゃるものですかね?」

「そりゃあ王都だろ」

「で、ですよねえ。いや、政治から少し距離を置いてる方とかが、近くにいないかなあと思いまして」

「そんな噂はこの辺りじゃないな」

「そうですか……ありがとうございます」


 ついでにジョンはなぜ自分がここにいるかを解明しようとして、何かしらの知識を持っていそうな人間を探そうとしたが、そんな都合のいい存在がそこらに転がっているはずもない。

 彼は仕方なく街へ入り頭を抱える羽目になる。


「どうしたもんか」

「お困りのようだな」

「お、お前は⁉」


 街をとぼとぼと歩くジョンに、建造物の隙間から声が掛けられた。

 一見するとジョンと同じ装備で、顔はゴーグルとヘルメットに遮られて伺うことはできないが、誰もが一発で分かる特徴があった。

 ギラリと輝く武骨なポンプアクションショットガンである。


「角待ちショットガン!」

「ふっ」


 ジョンの叫びはこの世界の住人には理解できないだろうが、芋スナイパーこと芋砂と並んで一二を争う凶悪な概念(嫌われ者)を宿している存在だ。


「教えてくれ角待ち! ここはいったい⁉」

「俺にも分からん」

「ところでお前への苦情、マジでヤバいことになってるんだけど」

「知らんな」


 勝手知ったる仲間とでもいうべきか。

 全く遠慮ないジョンが問うが、角待ちにしたらベストポジションが分からない今の状況は迷惑極まりなく、彼もまた心底困っていた。


「どうしたらいいと思う?」

「さあな」

「仕方ない。こういった時は酒場ってのが王道だ。ってな訳で行こうか」

「絶対に角から動かない。絶対にだ」

「こ、こいつ……」


 今度は割と真剣な顔のジョンに、角待ちが肩を竦める。

 戦い続けることしか出来ない彼らは、そもそも民間人がいる場所というものを想定しておらず、戦場以外でのことになると無知に等しかった。


 なお角から動かないから角待ちなため、ジョンは一人寂しく酒場らしき場所を目指して歩くしかなかった。


「いや待て、酒場のつもりだったけどここはまさか……冒険者ギルド⁉」


 そんな時、街をぶらぶらと歩いていたジョンは、剣と盾が交差した看板を見つけ、中をちらりと覗くと武装した集団がいるではないか。

 これこそがステータスオープン、魔法に並ぶ三種の神器、冒険者ギルドだと判断して足を踏み入れる。


 高い天井。やたらと頑丈そうな分厚い机に武骨な椅子。

 杖、剣、斧。

 軽装から重装。

 騎士のような人間から盗賊のような者までいるのだから、間違いなく冒険者の集う場所だろう。と考えたジョンだが、冒険者の定義を問われれば首を傾げて黙り込むに違いない。

 彼はふわっとした空気感で生きている。


「誰だあれ?」

「さあ……」


 勿論、銃火器が飛び交う戦場を想定しているジョンの方は空気になれず悪目立ちしていたが、ジョンはニコニコしている中年女性の受付に歩み寄って、ふざけたことを口にする。


「すいません。ここは冒険者の方々が集まる場所ですか?」

「そうです、冒険者ギルドへようこそ」

「登録とかって出来ますか?」

「はい出来ますよ」

「お金を持ってないんですが大丈夫ですか?」

「はい大丈夫ですよ」

「大金持ちの冒険者になれますか?」

「頑張ればきっといけますよ」

「分かりました。登録させてください」


 舐めるなクソボケと言ってくれる人間はこの場にいない。

 ジョンは都合がよすぎる受付に言われるがまま手続きを終え、晴れて冒険者の一員になったのだ


「では三人以上のチームを結成してください」

「へ?」

「チームを組めない方は、その、ねえ?」

「ひょっとしてこれが試験みたいなものですか?」

「そう言った面もあります」


 受付の言葉にジョンは固まる。

 迂闊。愚か。たった一人で冒険者になり、依頼をこなして有名になれるわけがない。

 と言うか冒険者で個人なんてものは何かしらに問題があって、ソロプレイをするしかない人格破綻者の代名詞であり、酒場の隅で一人酒をするような人間はお呼びでないのだ。


「お困りのようだな」

「お、お前はナイファー⁉ ピック変えて貰っていいですか?」

「ステルスナイファー。強行突破ナイファー。投げナイフナイファー。スタングレネードナイファー。どれがいい?」

「ナイフから離れたらなんでもいいよ」

「だが断る」


 そこへ突然、顔を黒いガスマスクで覆い、これまた黒い戦闘服を身に着け、全身のあちこちにナイフを備え付けている不審者ことナイファーが声をかけた。

 なおこの兵士、自分の美学を優先するため協調意識なんてものは薄く、チームを組むにあたり大きな問題があった。


「だ、誰か他にいない感じ?」

「芋砂、芋掘り、自爆特攻、バイクレーサー、偵察厨、蘇生厨、弾薬厨、車両盗み、乗り捨て、高台登り、迫撃砲、スクワット。誰がいい?」

「ま、まともな奴、豆ヘリ乗りとか……」

「豆ヘリは休暇中だし、あいつは別の意味でイっちゃってるだろ」


 ジョンは冒険者手続きをするナイファーに哀れっぽく哀願したが、紹介された兵士は癖しかない連中ばかりで、とにかく扱いが難しかった。


「チームプレイっていったいなんだろう……」

「たまたま同じ方向を向いてるだけって感じ。じゃああと一人を選べ」

「いやすぎる」

「あ、あの……」

「え?」


 ◆慎重にチームメンバーを見定める。

 グッド・有益なパーティーメンバーを発見できる確率が高まる。

 バット・一定確率で孤児院の誰かが病死し、自己肯定感が大きく低下する。


 ◆拙速でチームメンバーを選ぶ。

 グッド・金銭を得る。孤児院が充実する。

 バット・一定確率で手っ取り早く稼げる方法を強制され、自己肯定感が大きく低下し、世界への憎悪が募る。男性への嫌悪が途轍もなく上昇する。


 errrrrrrrrrrrrrrrrrroooooooooooorrrrrrrrrrrrrrr。

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 →◆永劫戦争・不滅大隊の指揮官に声をかける。

 グッド・自己肯定感が上昇する。金銭を得る。大隊指揮官並びに構成員と交流する。

 バッド・定期的に常識が怪しくなる。男性に対する情緒が乱れる。


「あ、あの、よかったらチームを組みませんか?」


 おずおずと語りかけてきた声は随分と聞き心地が良く、振り返ったジョンとナイファーは天使を見た。

 少女から女性へと成長している過渡期。女性としての起伏は乏しいながらも、すらりとした手足と背丈が伸びている。

 だが質素な婦人服を置き去りにするほど特徴的なのは金髪碧眼の美貌だ。

 少しシャープな頬のライン。瑞々しい唇と血色のいい頬。大きな丸い、サファイアの如き瞳は強い意思を宿し、肩甲骨まで流れる黄金の髪は後光のように彼女を照らしている。


「私、ヒルダっていいます」


 その日、彼女は知らずに己の運命を破壊した。


お約束の初日ロード地獄。

運営さん、ゲームできないんですけどー(*'ω'*)

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