プール開き
「いやっほぉーい!」
「来たぜ来たぜ!この日が!」
「プール!プール!」
俺以外の男子は、女子の水着姿が見れると大はしゃぎだ。俺は正直プールに入りたくもない。プールに入らずに寝ていたい。
中には女子控室に覗きに行こうとして、女子に袋叩きにされているバカもいる。
そして、プールに行ったとき、俺は男子全員から囲まれる羽目になった。中には泣いているやつもいる!
「大貴!どういうことだよ。真理ちゃんのあの服装はなんだよ…。あれじゃ水着見れねぇじゃんか!」
「そうだぞ、どうしてくれるんだ!」
「お前らみたいな肉食獣から守るために買ったんだよ!買ってよかったわ。ってかどけ。」
俺が男子勢を引き剥がすと、真理が近づいてきた。
「どう?似合ってる?」
嬉しそうに服を見せてくる彼女はアニメのヒロインみたいだ。
「似合ってるよ。」
「へへへ。ありがと!」
「遊んできな。俺はここで見てるからさ。」
俺たちの横をすり抜けて、男子がプールに飛び込んでいく。もちろん、宮崎先生から叱られて準備体操に戻されていったが。
「遊ばないの?」
「こんな狭いプールで遊ぶくらいなら、都内の人気のあるプールで遊んだほうが楽しそうだ。それに最近色々あって疲れてるし。」
俺はそう言って、フェンスに背を預けて座り込んだ。
「真理!何やってんの!?」
真理を呼ぶ女子生徒の声。
「ほら、呼んでるぞ。」
すると、真理は俺の横に座り込んで、足を投げ出して
太ももを両手でポンポンと叩いてみせた。
「なら、膝枕してあげる。授業終わりそうになったら起こしてあげるから、寝てていいよ?」
「いや、それは悪いって。遊んできたよ。」
「いいからいいから。ほら!おいで?」
ここまで嬉しそうに言われて引き下がったら男がすたる。俺は彼女の太腿に頭をあずけた。
「おやすみ(笑)」
真理の太陽のような笑顔を見て俺は眠った。