俺はお前の味方だ
三毛別羆事件。
1915年(大正4年)12月9日から12月14日にかけて、北海道苫前郡苫前村三毛別(現:苫前町三渓)六線沢で発生した熊害事件。エゾヒグマが開拓民の集落を二度にわたって襲撃し、死者7人、負傷者3人を出した。
大正時代の話の上、北海道でおきた事件のため、俺とは全く関係性はないが、俺が出演したドキュメンタリー番組でつい最近、この事件を取り扱っていたため、
よく覚えている。
俺が夢で見た熊のサイズは、テレビで見たモノと酷似していた。今の日本には、猟銃を持っている一般人なんていない。それこそ、猟友会に相談するべきだ。
俺は、起き上がるとすぐに村上さんに連絡した。
俺の夢の話を伝えると、電話越しの村上さんの声色に
流石に動揺をおぼえた。
「すぐにそこから離れるべきだ。近くに既に猟友会の方を呼んである。私の方から連絡しておくから、君は彼らを君が夢で見た場所まで案内してくれ。もし、証拠が揃えば、彼らを連れて行った警官たちと施設の方と交渉しよう。」
「わかりました。」
俺は、先生たちに体調が戻ったことを伝え、ただ、万全ではないことから少し歩いてくると言った。
ただ、一人では危ないからと宮崎先生がついてきた。
宮崎先生は、他の教師達から離れると開口一番…
「なにか、未来が見えたのか?」
「…どうしたんですか?いきなり。」
「お前が未来が見えるっていう話は、聞いている。番組も観たしな。だからこそ、あのとき何か見たんじゃないかと思ってな。」
「実は…」
俺は宮崎先生に理解されないと思いつつも、夢で見た内容を打ち明けた。
「…そりゃ大事件だな。確かにそんな熊が現れたら、ここの職員たちだけでは対処できないだろう。」
「でも…証拠示しても信じてくれますかね?」
「信じないだろうな。特に施設の連中は、それを認めれば、誰も来なくなるからな。」
「でも、ここにいたら確実に死人が出ます。」
「とりあえずは、猟友会の方たちと調査をして、証拠を集めよう。そのうえで、施設職員と教師陣を含めて打ち合わせをする。それでも残るとかいう連中はもう知らん。」
「宮崎先生もついてきてくださるなら、お送りしますよ。近くに自衛隊の特殊部隊も車両付きで待機してくれているので。」
「それなら、俺はクラス持ってないからな。避難する子達の同伴をめいもくとして帰るとするかな。」
「お願いします。」
「心配するな。俺はお前の味方だ。」