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仕事に疲れて家に帰ると、座敷童がいた  作者: 白熊 猫


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11/11

第11話 音楽

みなさんはどんな音楽が好きですか?

「……疲れた」

直人は、電車のドア横にもたれながら小さく息を吐いた。

時刻は22時。

今日も帰りは遅かった。

トラブルはなかったが、新しいプロジェクトに向けて打ち合わせや資料作成などでいろいろとごたごたしたのだ。

肩が重い。

周囲を見れば、同じように疲れた顔の会社員たちが揺られていた。

静かな夜の電車。

ガタン、ゴトン、と規則的な音だけが響いている。

少し気分を変えたい。

直人はポケットからスマホを取り出した。

それから、イヤホンを耳につける。

ぽん、と軽い音。

次の瞬間、最近流行っているバンド曲が流れ始めた。

テンポのいいギター。

耳に残るサビ。

SNSでもよく流れてくる人気曲だ。

「……はぁ」

少しだけ気が緩む。

別に熱心な音楽好きというわけではない。

ただ、たまに気が向いたときに聴く程度だ。

そのまま電車に揺られ、アパートの最寄り駅へ着く。

改札を抜け、夜道を歩く間も、直人はイヤホンをつけたままだった。

涼しい夜風。

耳の中だけが少し賑やかだった。

アパートへ着き、鍵を開ける。

「ただいまー」

すると。

「おかえり、おじさん!」

いつもの元気な声。

部屋には、赤い着物姿のしきちゃんが待っていた。

直人は軽く手を上げながら靴を脱ぐ。

すると、しきちゃんが不思議そうに首を傾げた。

「おじさん?」

「ん?」

「みみ、なんかついてる」

「あー、これ?」

直人はイヤホンを指差した。

「音楽聴くやつ」

「おんがくって、てれびの?」

しきちゃんの目がぱちぱち瞬く。

「まあ、そんな感じかな」

すると、しきちゃんは興味津々で近づいてきた。

「なにきいてるの?」

「最近流行ってる曲」

「すごそう!」

言葉だけでなんとなくすごそうに感じたらしい。

しきちゃんは、じーっとイヤホンを見つめている。

「聴いてみる?」

「いいの?」

目が丸くなった。

「しきちゃんも?」

「うん。片耳だけな」

直人はイヤホンを片方外した。

――が。

ふと、少し考える。

さっきまで聴いていた曲は、失恋だの恋愛だのを歌っている曲だった。

しきちゃんにはもっと違うやつがいいかもしれない。

「……あー、ちょっと待って」

直人はスマホを操作する。

「?」

「こっちの方が分かりやすいかな」

選んだのは、最近動画サイトで流していたアニメの主題歌だった。

明るくてテンポのいい曲。

冒険もののアニメらしい、元気なメロディだ。

それを再生してから、しきちゃんへイヤホンを渡す。

「おぉ……」

しきちゃんがぴたりと固まった。

数秒後。

「……!」

ぱあっと目が輝く。

「どう?」

「なんか、すごい!しゅばーってしてる!」

語彙はふわふわしているが、テンションは高かった。

曲に合わせて、しきちゃんの身体が小さく揺れ始める。

「たのしい!」

どうやらかなり気に入ったらしい。

直人は思わず笑った。

「アニメの曲だからな。元気な感じだろ?」

「これ、すき!」

しきちゃんは耳を澄ませながら、きらきらした顔をしている。

歌が盛り上がるたびに「おぉー!」と忙しい。

完全にライブ会場の初心者みたいな反応だった。

その様子が妙に面白くて、直人は吹き出す。

「ははっ」

「わらった!」

「いや、反応がすごいなって」

「だって、たのしいもん!」

しきちゃんはにこにこしていた。

それから曲が終わる。

「……おわっちゃった」

少し名残惜しそうだった。

「他のも聴く?」

「きく!」

即答だった。

次は少ししっとりした曲。

優しいメロディが流れ始める。

すると今度は、しきちゃんが静かになる。

「……おちつく」

「優しい曲だもんな」

2人で並んで、同じイヤホンから流れる音を聴く。

「おじさん」

「ん?」

「これ、いいねぇ」

嬉しそうに笑うしきちゃんを見て、直人も小さく笑った。

「……そうだな」

2人で笑いながらいろんな音楽を聴いた。

しきちゃんに聴かせる音楽をどんな感じにするか迷いましたが、プ○キュアは自重しました笑

しきちゃんにはぴったりな曲かもですが笑


誤字脱字などあったら、教えてください><

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