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聖女?の娘  作者: いぶさんた
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若奥様

次の日の午後、大奥様の所へ若奥様がいらっしゃった。

「お婆様、昨日王都から戻りました」

「お帰り。大変だったね」

「はい。実はお婆様に報告があります。あの、懐妊いたしました」

「まぁ。まあ。おめでとう」

「ありがとうございます」

大奥様はとても嬉しそう。


「「おめでとうございます」」

私と母もお祝いの言葉をかける。今ハナノイさんは侍女長の仕事のため留守にしている。


「お婆様には3年もの間心配させてしまって申し訳ありませんでした」

「何を言っているの。こんなにおめでたい時に」

「はい」


大奥様は優しいお婆ちゃんの顔になっている。


「それで体調はどうなの」

「今は大丈夫です。王都にいる時には気持ち悪い時や食事があまり食べられなくてトーリ様を心配させてしまいましたけれど、最近では食べられるようになりました」


「良かったわ。沢山食べるのよ」

「わかりました」


「大奥様1つよろしいでしょうか」

大奥様と若奥様が仲良く話をしているところに母が話しかけた。


「マーシャ、ヨーコとサーヤは知っていますか」

母は大奥様付き侍女なので さん 付けはしない。嫌がっていたけれど説得した。


「昨日お会いしました。聖女様とお聞きしました」

「侍女として扱う聖女様ですけれどね」

大奥様が母を見てクスクス笑いながら話す。

母も苦笑しながら

「大奥様、話をしてもよろしいですか」

と聞いた。大奥様は意外な事に良く冗談を言うお茶目なお婆ちゃんだと思う。


「今若奥様は紅茶を飲まれていますが私達の国では妊婦に紅茶はあまり勧められません」

「そうなの」

私が驚いた。

「そうよ。カフェインが入っているから1日2.3杯と貴方がお腹にいる時に言われたわよ」

「へぇ」

「何ならいいのかしら」

大奥様が心配そうにテーブルの上の紅茶をみる。若奥様がいらっしゃった時にお出ししたものだ。


「1度沸かした水とか果実水です」

「ワインは駄目ですか」

若奥様から聞かれる。ワインが好きなんだろう。

「私はお酒が好きでないことも有り飲みませんでした。どうでしょう。一杯くらいは良いのかしら」

母が少し悩んでしまった。


「侍従医は何か言っていましたか」

「嗜む程度ならばと言われました」

母の質問に若奥様が答える。

「あまり我慢をしても胎教に良く有りませんからその辺りは臨機応変で」

「胎教とは何ですか」

大奥様に聞かれる。この世界には胎教という言葉は無いんだろうな。


「御子様と一緒に音楽を聞いたり、話しかけられたり若奥様がゆったりとした気持ちでいる事が御子様の成長に良いと言われています」


大奥様も若奥様も頷いている。

「また、いろいろと教えてくださいね」


その後も若奥様は大奥様の部屋に良く顔を出して大奥様や母に話を聞いていく。

時には奥様も混じり女子会のようになっている。


朝食の時。サントロさんが

「伯爵が最近大奥様、奥様、若奥様が仲良くしていて喜ばれている」

と言っていた。


ハナノイさんからは

「侍女達が大奥様が癇癪を起こさなく優しくなったと言っています」

と言われた。


若奥様の懐妊がクロナン伯爵家の家族関係をよくしている。


『子はかすがい』

ってこういう事を言うんだろうな。



若奥様のお腹が目立ってきた頃から動いてはいけないと言う大奥様と動かなくてはいけないと言う母が言い合う事があった。

この世界は妊婦を大事にするあまり8ヶ月くらいからベットでの生活をさせるようで若奥様も必要な事以外動かなくなった。


母が説明をして初めのうちは散歩をしていたけれど生まれ月に近づくにつれ大奥様が若奥様を動かさなくなる。


母は奥様に夢見の話をする事にした。

何故大奥様でなく奥様だったのかと言うと、大奥様は頑固になっていて話を聞いてくれないだろうと思ったためだ。これは日本のお婆ちゃんの時に経験しているから。


奥様に相談して大奥様の昼寝の時間を使おうと決めた。

若奥様も散歩をしていた時の方が体の調子が良かった。食事が食べられた。と言ってくださった。


若奥様の散歩は大奥様の昼寝の時間。若奥様は部屋にいる時もこまめに動く事になった。

大奥様を騙して気が引けてしまうけれど仕方がない。




若奥様が無事に男の御子様を出産された。若奥様の産後も調子が良さそう。

産後も母の知識が役に立った。伯爵や奥様に若奥様のお母様を呼んでもらい産後3日はお母様が側にいられるようにした。


その後もゆっくり若奥様は普通の生活に戻る。御子様がいるので今迄通りでは無いけれどこの世界では産後体を休める事を重視していなかったため随分驚かれた。

御子様も元気に育つ。若奥様の精神的な安心感が御子様にもわかるのだろうか。


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