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聖女?の娘  作者: いぶさんた
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前聖女キョーカ


「それにしても計画がこうも上手くいくとはな」

伯爵がぽつりと呟く。


「そうなんです。陛下も同じ事を仰っていました」

トーリさんが私達を見る。


「御二方には本当に申し訳ないのですが、教皇は聖女様を召喚出来たと言う実績を欲しがっただけだったので聖女様を探す事に積極的では無く…」

トーリさんがいい淀み、ぐっと手に力を入れて話を続ける。

「あの時、聖女様がいなくなった時の警護は教国がしていました。ここで聖女様が居なくなったというのは教国の落ち度になります。

それもあり、教皇は早々に聖女様は自分の世界に帰られたと結論付けたようです」


皆が私達を申し訳なさそうに見ている。今にも頭を下げそう。



「ノースリー国の皆様には感謝していますのであまり気にやまないでください」


「ありがとうございます。ヨーコさん」

トーリさんが母に向かい包みを出す。

「陛下からヨーコさんへ渡すように仰せつかりました」

「なんでしょう」

「250年前の聖女様、キョーカ様の物です」

母は急いで中の物を取り出すと羊皮紙が何枚も紐で綴ってあるノートのようなものだった。

「失礼します」

母がテーブルの上にノートを置く。古い物なのでそっと何も書いていない1枚目をめくる。


「あっ」

誰かが声を出した。


「これは」

「読めない」

伯爵やタクトさんが羊皮紙を覗き込んでいたけれど読めないようだ。


「読めませんか。沙彩こっちに来て」

母に呼ばれてテーブルへ近づくとトーリさんとタクトさんが場所をあけてくれる。

「沙彩、これ」

母に言われてノートを見てみると『石川京香』の文字が見えた。

「お母さん」

母を見ると頷いた。



私と母はこの世界の文字が全て日本語に見えている。書く文字も日本語で書いているのだけれど皆に読んでもらう事が出来るのでこちらの文字になっていると思う。


だから、この石川京香さんのノートも読めるけれどどちらの文字で書いてあるのかわからない。石川京香さんは文字の使い分けが出来たようだ。


「私の国の言葉で書いてあります」

母が部屋にいる人達にノートについて読みながら説明していく。




###前聖女キョーカのノート


この世界に来て2年経つ。この2年の出来事を書いておこうと思う。

私の名前は石川京香。16歳 

 ○○○(住所)○○○(生年月日)○○○学校名。

2年前、中学2年14歳の時、私は授業中急に眩しい光を見たと。光が収まった時にはセイナコウ国にいた。

聖女様召喚だ。と周りが騒いでいたけれど私は家に帰りたくて教皇と言われている人に頼んだが話を聞いてくれず、よくおいでくださいました、と言われ今いる聖女の宮に連れてこられた。


ノースリー国が私の世話係りになっておりテオイト王子やキャス公爵令嬢などノースリー国の中でも高位の人達が部屋の中にいた。

「家に帰りたいです」

私が言うと

「申し訳ありません」

二人が頭を下げる。

そんなやり取りが何度あっただろうか。


日にちが経つにつれた私も落ち着いて来たと思う。テオイト王子やキャス(お互い名前で呼ぶようになった)

の話を聞いて聖女の役割をしようと思った。


テオイト王子が教皇に聖女の仕事を聞いたところ何もしなくてよいと言われたそうだ。

私は何故召喚されたのか。


それでも何か出来ないかと本を読み話を聞く。


ある時、夢で見た事が現実に起こっている事に気がつく。大した事では無いし、毎日でもない。

訪ねてくる人がわかる。

食事の内容がわかる。

天気がわかる。など。

そして

テオイト王子が怪我をする夢を見た。

剣の訓練中に相手の槍をかわしきれず目のすぐ横を怪我をする。


テオイト王子は私が話をした日から兜をかぶって剣の訓練しはじめ5日後、目のすぐ横を槍で突かれた。兜があったためにテオイト王子に怪我はなかった。


聖女の力が夢見とわかった。


起こることがわかっていても何も出来ない、というのではなくて対策をすれば結果が変わるというのは嬉しい。


夢見ばかりに頼っていてもいけないと思い自分で何か出来ないかと思ってトイレの改良を始めた。

水洗トイレが当たり前の日本に住んでいたので『壺』は嫌。和式トイレや肥料にする事を書き教皇へ渡してもらった。しかし、相手にされなかった。読んだ跡もなく私に戻ってきた。

テオイト王子やキャスは『素晴らしい』とノースリー国へ届くように手配してくれた。


植物紙も作ったけれど目が粗く羊皮紙に書くほどでもない時に使っている。

ノースリー国でも作り始めたと聞いた。時が経てば日本の和紙のようになるだろうか。

日本の知識を使って教皇に何度もいろいろな提案をしたけれどどれも読んで貰えなかった。


先日日食が起こった。日中なのに太陽が月に隠れてしまう現象。

私は日食の夢を見ていたのでこの現象は問題は無い事を教皇へ進言した。

案の定、見向きもされなかった。

テオイト王子はノースリー国へ連絡する。


日食当日。

セイナコウ国は酷く荒れた。さすがに私のいる王宮の敷地は大丈夫だったけれど市井では教会に我先にと詰めかける人、入りきれない人達からは怒号。暴動、強盗もあったらしい。


私の意見を聞かなかった事を問題にする人達が出てきた。教皇の反対勢力はここぞとばかりに声を上げる。


そして今日、聖女の宮の井戸に毒が入っていた。夢見で知っていたので井戸水を使う時には銀のスプーンを使って毒を調べていたから飲んだ人はいない。


教皇の自業自得なのだけれど教皇の地位を脅かしたからではないかと思われた。教皇にとって私は邪魔なのだろう。






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