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聖女?の娘  作者: いぶさんた
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田中富子②

宅配弁当を頼んで2週間が過ぎた。味は思ったよりも美味しいのでこのまま続けていけると思う。


春子も花子もあれから家に訪ねて来ない。電話をしても忙しいと言ってすぐに切ってしまう。


さっちゃんの旦那さんが調子が悪いそうだから無理して来なくていいと言っておいたのだけれど

「とみちゃんとも話をしたいからね」

と言ってくれて、3日おきくらいに来てくれる。


それでも人と話さない日が何日もあるのは寂しい。出かけようかとも思ったけれどなんだか面倒になってやめてしまった。

何もやる気がおきない。食事や洗濯はしないと食べる物や着るものがなくなってしまうのでやるけれど掃除はやる気にならない。

テレビで見る汚部屋ほどではないと思うが、洋子がいた時とは比べ物にならないくらい汚い。


朝起きて部屋を見渡すとため息が出る。洗濯をして干してそのままなので部屋の中が洗濯物だらけ。片付けようとは思う。そう、思う。けれども『どうせ着るから』とそのままにしてしまう。


庭の草も伸びて来たからとらなければとは思うけれどなかなか出来ない。やる事ばかりで嫌になる。




日曜日、だらだらと寝ていたら

「お母さん、調子はどう」

春子が部屋に入ってきた。


「春子、よく来てくれたね」

やっぱり娘は忙しくても来てくれる。

「お母さん、部屋が汚いわよ」

「なんだかやる気がなくて」

「駄目よ。こんなに洗濯物をためたら。後、ごみも分別してないからこんなに溜まってても出せないし」

「分別って何だい」

「知らないの。だから全部燃えないゴミ袋に詰めてるのね」

「ごみは片付けてあるんだから後は捨てにいくだけだろう」

「違うわよ。今は分別をするの。今日は私がやるからよく見てて」

春子は燃える物、燃えない物、プラスチックと袋をいくつも出してきてごみを分けている。

「前はそんな事してなかった」

「お母さん、前っていつよ。分別が始まったのは随分前からよ。洋子さんに全部まかせていたんでしょう」


「そんなの知らないよ」

洋子が勝手にやっていたから知らない。



「春子、庭の草も取ってくれないか」

「無理よ。ごみ袋も足りなくて今から買いに行くんだから時間がないわよ。そうだ。除草剤を一緒に買ってきて撒いておくわ。それならいいでしょう」

「ああ、悪いね」

本当は草を抜いて欲しいけれどそこまで言っては忙しい春子に悪いから除草剤を撒いてくれるならそれで充分だと思おう。



「さっちゃんおばさんにごみを捨てる日を教えてくれるようにお願いしておいたからちゃん捨ててね。そのうち虫がわくわよ」

そう言って春子は帰って行った。


玄関脇にごみ袋がたくさんあった。虫はまだ湧いていないのを確認。良かった。



次の日曜日の朝は花子が来てくれた。

花子には米や醤油が少なくなってきたので買い物を頼む。一緒に行こうと思っていたら

「お母さんは家の掃除をしてて」

花子に言われたので家に残る。何をやろうか。あ、今日は洗濯がまだしていなかったから洗濯をしよう。


花子が買い物から戻って来た。車だから重い米も買って来てくれて助かる。私は車に乗れないから買い物も行くのが大変だ。


「お母さん、あのスーパーは買い物代行をしているそうだから申し込み用紙をもらってきたわよ」

「なんだいそれは」

「電話をすれば品物を配達してくれるのよ。10000円以上買えば無料よ。それ以下だと一回500円だけれど届けれくれるから便利でしょう」

「支払いはどうするんだ」

「持ってきてくれた時に払うのよ。そういえば最近お金を引き出しに行っていないけれど足りてるの」

「そうだね。また頼めるかな」

「わかった。その書類を持って行きながら行ってくるわ。ATMなら日曜日でも大丈夫だからね」

花子にはいつもお金の引き出しを頼んでいる。嫌な顔一つせずに行ってくれるから助かる。洋子には嫁には通帳は渡せない。





昼過ぎ、春子もやって来た。二人共、忙しいのに私に会いに来てくれた。


「花子、聞いて来たわ」

春子と花子が話しているけれど何の事なのか。


「お母さん、ヘルパーさんを頼もうと思うの」

「ヘルパーさん?なんで」

「お母さん、部屋は汚いしごみはきちんと片付けられないでしょう。週に一度、1時間だけだけれどヘルパーさんに来てもらってやってもらうといいと思う」


他人を家に入れるのか。


「あんた達が助けてくれないのか」

「勿論、私達もここに来るけれど毎週は無理だと思う。友達にケアマネージャーの子がいて聞いてきたんだけれどお母さんの要支援でもヘルパーさんが頼めるそうなの。一度頼んでみない」

「そうよ。嫌だったらやめればいいんだから。洋子さんが帰ってきたらすぐに断ればいいんだからね」

春子も花子も強く勧めてくる。



「他人を家に入れるのは嫌なんだ」

「一人で全部やらないといけないのよ。お母さん湯船しか洗ってないからなんだか風呂場全体が汚いでしょう。お母さんの手が届かない所の掃除もしてくれるのよ」


「わかった」

とりあえず、頼んで嫌なら断ろう。


春子に手続きを全て任せた。



ヘルパーさんはとても良い人で話し相手にもなってくれるので来てくれる日が待ち遠しいくらい。


ヘルパーさんが来るようになってひと月は経つのだけれどあれから春子も花子も家に来ていない。忙しそうだから仕方がないのだけれども。









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