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聖女?の娘  作者: いぶさんた
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本当の理由

本日3話目です。


「私達は帰れないのですね」

母は私を見て呟いた。

「前回の聖女様は亡くなってしまいました。召喚の儀式も私達では詳しい事はわかりません。申し訳ないですが帰れるとは言いがたい」


マキト様が頭をさげる。

その後母と私を見て

「お二人をノースリー国へお連れして聖女とは関係無く過ごして頂きたいと思っております」




母と私はマキト様の案に乗ることにした。この先どうなるかわからないがセイナコウ教国にいるよりは良いと思った。




今、聖女召喚が成功したため酒宴が開かれており、マキト様達もこの後そちらに向かう。

(教会で酒宴なんていいのか)

と思ったけれど異世界だからと納得する。


マキト様達と交代で教国の護衛が何人か来るが『就寝します』と言えば部屋に侍女を置いて護衛は扉の外に出た。

部屋に残る侍女はノースリー国の影の人。母と私は侍女服を着て黒髪を隠すための鬘をつけて侍女と代わる。






酒宴も宴もたけなわになった頃

「教皇様、大変です。聖女様の部屋が…」

聖女の護衛にあたっていた騎士が慌てて部屋に入ってきた。

「何があったんだ」

「兎に角急いで来てください」


酒宴に参加していた教皇や教会上層部、各国の来賓、全員が聖女の部屋へ向かう。

扉の前には護衛と侍女がいた。護衛が扉を開けると


眩しい光が部屋中に溢れている。


「「「聖女様」」」


教皇や国王が部屋に向かって叫ぶ。眩しくて目が開けていられない。


「お母さん」

「沙彩」



「「きゃあ」」



光がおさまって部屋を見るが聖女が見当たらない。


部屋の中に入って探すが誰もいない。


「聖女様はどうしたのだ」

教皇は護衛を問いただす。

「侍女が聖女様が光り出したと言って部屋から出て来ました。中を見ると聖女様が光っていたので急いで教皇様を呼びに」

護衛は唖然としながらも起こった事を説明する。自分の責任にされては困る。

教皇は侍女を睨みつける。

「恐れながら聖女様は就寝の準備をしていた所、急に身体が光りだしました」

侍女も懸命に説明する。


そこに、

「聖女様は召喚に応じられましたが…もしかしたらお戻りになられたのでしょうか」

ノースリー国王弟マキトが皆に聞こえるか聞こえないかの声で呟く。

それを聞いて

「戻られたのか」

「あれを見たらそうとしか思えぬな」

「そうだな」

集まった人々が同意するが


それでも教皇は何か思案している。教皇が決断しなければ皆は動きようが無い。



「聖女様は戻られてしまったが、250年振りに召喚に成功された教皇様は素晴らしいですね」

教皇の機嫌を損ねないように司祭が言うと

「今代の教皇様は素晴らしい」

「250年振りだからな」

など口々に言われ、教皇も納得したのか


「詳細は教会騎士団に調べさせる。皆様、本日はこれで終わりにしましょう。また明日話し合いの場を設けます」

皆を見回し話す。今は調査をする事を優先しなければならない。

皆、今起こった事を推察しながらそれぞれの部屋に戻っていった。









母と私は暗い中、馬車に揺られている。




あの時、侍女が灯りの魔道具の強化した物を使った。侍女と交代した母と私は、

「聖女様が光り出しました」

と護衛に言い皆が来るまで聖女を心配するふりをしていた。


「お母さん」

「沙彩」

「「きゃあ」」


侍女が叫ぶと部屋が眩しくなった。光の事を聞いていた私達は眩しい光を遮る布を目に当てていたので動く事ができる。


光の中、侍女が部屋から出て来たので交代して、ニーナ様に案内され、誰にも気づかれないようにノースリー国が用意した馬車へ向かう。


皆が部屋に注目していた事と酔っていた事が、良かったのだろう。


この話を聞いた母が

「私達がいなくなる事で誰かが罪に問われるのは本意ではありません」

と言った時、

「さすが、聖女様です。慈悲深い」

とニーナ様が呟いていた。



 

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