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記憶への旅   作者: gOver
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第4話 贈り物の箒

「フィオナ、どこへいっちゃったの?」

 私はちょっと心細くなりましたが、またいつものいたずらね、またどっかに隠れて私を驚すつもりなのね。私はそういって心を落ち着かせ外へ出ました。

 ジーナおばあちゃんの家の庭園には色とりどりの美しい花が咲き乱れていました。フィオナと一緒にいつも遊んだこの庭、私には思い出のいっぱいつまった場所です。

 ああ、ほんとうにいいお天気ねえ、風も心地いいし、そうだフィオナが来るまでちょっとこの木のベンチに座っていようっと。


 椅子に座ってまもなく私は頭上から"あはははは"という声を耳にしました。なあにいったいと私は空をみるとフィオナ、ジーナおばあちゃん、そしてみたこともない箒乗りの一団が箒に乗って、くるくるまわっていました。


 フィオナが下を見て「ヤッホー! スー。箒に乗って飛んでいると気持ちいいよ!この箒はジーナおばあちゃんからの誕生日の贈り物だよ。さあ、今、私が空中から投げるから飛んで受け止めるのよ」

と言いました。

 すると箒乗りの一団の中から一人の男の子の声がしました。

「へえ、おもしろい渡し方するねぇ! 僕、こんなの見るの初めてだよ」

 私は一瞬戸惑ってどういうつもりと思ってしまいました。

「フィオナ、どういうつもり?そんな高いところから落っことして私が飛んで受けとめるなんてできないわよ」

 フィオナは私のいうことを耳も貸さずに「さあ、いくわよ。スー」と言いました。

 箒が落ちてきます、どうしよう、私は箒目指して飛び上がりました。あらら、私は思ったより高く飛び箒を手につかみ一瞬にして箒に乗りました。これは神業どうしてこんなことができたのかしら。私が必死に箒から落ちまいと箒の棒の部分をしっかりつかんでいると、私の目の前にフィオナ、ジーナおばあちゃん、箒乗りの一団が私をぐるっと囲み、お誕生日おめでとうの歌を歌ってくれました。 私はとっても嬉しくなりました。


 私はその時フィオナがジーナおばあちゃんにたのんで箒をつくってもらったことを知りませんでした。

 私の住んでいるところではみんなといっていいくらい箒に乗れました。どっか遠くへいくのでも箒に乗って行き来したりしていました。そして箒で旅をしている旅芸人たちがいて、村のお祭りになると箒の華麗なる芸を披露してくれます。

 あと、私が12のとき聞いた本当にあった話なのですが隣の村のビリーとマイケルが地主の娘ミカエラを好きになり、二人の男性は箒でレースをし、どちらかはやくミカエラの家に着いたほうが彼女にプロポーズするという条件で競ったのです。これは「求婚レース」といわれて若者達のはやりになったとか。でもこの場合は、ミカエラは二人に好意があったからレースが成立したわけなのですよね。もしどんなに早くついてもミカエラが早くついたほうに興味がなかったら求婚してもOKされませんのもね。


今回の作者は忍足裕志さんです。

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