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【第四章連載開始!】エンデクライオンの騎士団   作者: E. C. ライリー
第一章 騎士団の開会式

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第一話 赤毛娘誘拐事件

はじめまして、E. C. ライリーです。

どうぞ、お読みください。

「超力者(サイリック)」あなたは、隣に座っている何事においても人より少しだけ優れた能力を発揮するあの人のことを不思議に思ったことはありませんか?例えば、成績が平均よりも良かったり、スポーツの才能が際立(きわだ)っていたり、あるいは人よりも病気にかかりにくかったりすることです。もしこれらすべてに心当たりがあるなら、その人は「超力者(サイリック)」である可能性があります。もっとも、その程度のレベルであれば何ら問題はありません。彼らは単に、人よりほんの少しだけ高い能力を持つ「普通の人」に過ぎないからです。しかし、「上級職超力者(ハイレベルサイリック)」の領域にまで踏み込むと、状況は一変します……。


 事の始まりは満月がニューヨークのスカイラインを照らしていたある真夜中だった。ほとんどの小さな店は閉まっていたが、この酒場は深夜の客に対応するためかなり遅くまで営業していた。その店内のテレビで深夜のニュースが流れていた:「ニュース速報です。警察は新たな行方不明者、アリアナ・レイさん17歳を発表しました。アリアナ・レイさんは過去2週間、ニューヨーク近郊で行方不明になったと報告された6人目の赤毛の少女で、警察は特に赤毛の少女は一人で外出せず夜は家にいるようにと呼びかけています…」


 酒場からそう遠くないところで月明かりが届かない薄暗い路地を黒い人影がこっそりと進んでいた。人影はやがてごく普通のコンクリートの壁にたどり着きあたりを少し見回した後壁を3回素早く叩き少し間を置いてから2回ゆっくり叩きまた少し間を置いてから再び3回素早く叩いた。すると、壁の中から声が聞こえた。


「合言葉は?」


「アポカロン・カオスへ栄光あれ」

 

 ガリガリという音とともにコンクリートの壁のブロックがいくつかずれて隠された扉が現れた。黒い人影は中に滑り込み入室を許可した警備員に軽く会釈をした。


 入り口から続く通路を抜けると、そこには巨大な倉庫が広がっていた。暗い色のローブとフードを身にまとった二十人ほどの男たちが、奥に停められた5台のトラックへ木箱を運び込もうと、あたりを動き回っていた。最初のフードを被りローブをまとった人物は倉庫の北側にある高いバルコニーへと向かった。バルコニーの上ではさらに2人のフードを被った男たちが会話を交わしていた。


「報告しろ」明らかに監督者らしき男の一人が言った。「色は?」


 もう一人の男は首を横に振った。「青です」


「くそが!」監督者は壁に拳を叩きつけながら叫んだ。「それに、彼女は上級(ハイレ)職(ベル)ですらないんだろうな?」


「残念ですが下級職(ローレベル)です」


 監督者は歯を食いしばった。「もし今後、数日のうちに標的の女を見つけられなかったら俺たちはボスに処刑されるぞ!」


「失礼ながら、ボスが要求していることは不可能です!そもそも上級職超力者(ハイレベルサイリック)は極めて希少な存在です。それに加えて赤毛で女性の上級職超力者(ハイレベルサイリック)を探せと要求しているのですから――」


「緊急事態!緊急事態!」倉庫に入ったばかりの男がバルコニーに登ってきた。「緊急事態です!エンデクライオンの騎士が近くにいるのを目撃しました!」


「エンデクライオンの騎士」という言葉を聞いた途端、男たちは足を止め倉庫内はたちまち静まり返った。


「エンデクライオンの騎士だと?」監督者の声にはかすかな恐怖が滲んでいた。


「ただのエンデクライオンの騎士ではありません」と使者は言った。「ローラン・エカルドです!自らの目で彼を目撃しました!」

 

 監督者は完全にパニック状態に陥った。「騎士団長本人だと?」少し立ち止まった後、彼はバルコニーの端まで駆け寄り「全員、緊急避難の準備をしろ!10分以内にこの倉庫から脱出するぞ!」と叫んだ。


「閣下、それは必要でしょうか?」と使者は尋ねた。「エカルドは私たちがここにいることをまだ知りません。隠れたままの方が良いのではないでしょうか――」と言いかけたところで監督者は振り向いて彼の顔をバックハンドで平手打ちした。


「馬鹿者め!」彼は怒鳴った。「貴様はローラン・エカルドをただ『見かけただけ』なわけがない。奴は貴様を『見かけさせ』たんだ。奴は必ず貴様の居場所を突き止めて、今まさにこの倉庫に向かっているに違いない!」

 

***


 壁を3回素早く叩く音、少し間を置いて、2回ゆっくり叩く音、少し間を置いて、さらに3回素早く叩く音。壁の中から声が聞こえた。


「合言葉は?」


「アポカロン・カオスへ栄光あれ」


 軋(きし)む音とともに隠し扉が開き始めた。人が入れるほどの開口部(かいこうぶ)ができたまさにその時、暗闇から拳が飛び出し警備員の顔面に叩きつけられた。警備員は崩れ落ち意識を失った。


「おいおいまじかよ。『アポカロン・カオスへ栄光あれ』って定番の挨拶だろ?合言葉にしてはあからさますぎねえか?」

 

***


 最後のトラックへの積み込みが終わる頃ローブを着た男たちが赤毛の若い女性6人を引っ張って連れてきた。6人全員が縛られ猿ぐつわをはめられており、まるで薬を盛られたかのようにぼうぜんとした表情をしていた。


「囚人たちが我々の足を引っ張っている」と男の一人が言った。


「仕方がない」と監督者は言った。「下級職(ローレベル)のものはまだ多少役に立つかもしれないが、非超力(ひサイリック)者は使い道がない。処分しろ」


 その言葉を聞くと男の一人が少女の一人をひざまずかせた。少女は何が起こっているのか理解していないようだったが、男はローブから小さな拳銃を取り出し少女の頭に突きつけそして――


 頭上から巨大な火球が突然噴出した。銃を持った男は、火の玉が直撃して倉庫の反対側の壁まで吹き飛ばされる間、悲鳴を上げるのがやっとだった。他の男たちは一斉に振り返り、天井から人影が舞い降り、軽やかに着地するのを目にした。


 濃い青色の袖なしボディスーツを着た若い男だった。それは武道着に似た深いVネックのボディスーツでその下には真っ赤な長袖のクルーネックシャツを着ていた。袖は肘のすぐ下まで届く白い手袋の中に続きその手袋には濃い青色のリストバンドのようなものが巻かれていた。赤いベルトがボディスーツを固定しスーツのズボンは明るい黄色のソールが付いた白いブーツの中につながっていた。乱れた濃い茶色の髪は前髪に隠れて額に赤いヘッドバンドを巻いていたものの自由に垂れ下がっていた。しかし、この若い男の最も目を引く特徴は着ている服ではなく彼の目だった。鮮やかな赤色に輝く目だった。


「よっ、みなさーん、ちょっと立ち寄ってもいいですか?」と彼はニヤリと笑いながら言った。「エンデクライオンの騎士、ローラン・エカルドでーす」


 ローブをまとった男たちは一瞬驚きで身動きが取れなくなった。突然、そのうちの3人が我に返りマチェットらしきものを取り出し叫び声を上げながら彼らは突進してきた。ローランは戦闘態勢を取りながらただニヤリと笑った。最初の男が彼に飛びかかろうとしたまさにその時、ローランは掌底(しょうてい)で男の顎を突き地面に叩きつけた。二人目の男が近づいてくるとローランはくるりと向きを変え、相手のマチェットを持った手を蹴り飛ばしさらに回転蹴りを相手の顔面に叩き込んだ。三人目のローブを着た男はマチェットを振り回しながらやや慎重にローランに近づいてきた。ローランはマチェットの振り回しを軽々とかわし、頭上からマチェットで斬りかかろうとした男の腕を掴んだ。そして男の腹部に膝蹴りを入れさらに回転蹴りを顔面に叩き込んだ。その時、ローブをまとった男がさらに二人突進してきた。ローランは絶妙なタイミングで飛び出し二人に同時に二段蹴りを食らわせた。二人が驚いてよろめきながら後ずさりするとローランはくるりと向きを変え回し蹴りで二人を倒した。


「馬鹿ども、奴を撃て!」と監督者がバルコニーから叫んだ。残っていた男たちは突然銃を持っていることを思い出したかのように一斉に自動小銃を取り出し発砲し始めた。ローランは銃撃を避けようと走り出した。しかし、物陰に隠れようとしたまさにその時、突然激しい痛みが頭を襲った。


「ぎゃあああああああ!!!!!」彼は木箱の後ろにしゃがみ込み頭を抱えながら叫んだ。周囲では銃声が鳴り響いていた。「イテェ!イテェ!イテェ!まじでイテェ!撃たれたよ、ちくしょう!」と彼はつぶやいた。「頭を撃たれた、ちくしょう!うわっ、明日は跡が残るな」


「囚人たちだ!」監督者が叫んだ。「人質に取れ!」


 人質がいることを思い出したかのようにローブを着た男たちは銃を女たちに向けた。しかし、その短い銃撃の中断はローランにとっては十分だった。彼は物陰から飛び出し3回転前宙返りをした後、脚から炎を噴き出して空中に飛び上がった。体をひねって敵の上をムーンサルトしながら両手を伸ばして指から10個の小さな火の玉を放った。火の玉はそれぞれ命中しローブを着た男たちを吹き飛ばしたが女たちは無傷だった。そして彼はまだ意識のある男の一人を踏みつけそのまま着地した。素早い動きでローランはさらに2人の男を強烈なパンチで倒し、ついにすべての敵を打ち負かした。


「おのれ!」と監督者はバルコニーから吐き出した。彼は逃げる準備をしながらその場から離れ始めた。


「逃がさねえよ。」ローランはバルコニーに向かって右腕を上げた。バンという音とともに手袋の手首部分の手のひらの下から何かが飛び出した。それは細いワイヤーに取り付けられた小さな爪、グラップル・ショットだった。グラップル・ショットの爪はバルコニーの天井に向かって飛んでいき天井に引っかかり、引っ張られると、ローラン自身もバルコニーに向かって空中に引き上げられた。その勢いを利用してローランは監督者の頭上を飛び越え、小さな炎をきらめかせながら二本の指を彼の首に突きつけ壁に押し付けた。


「それで」とローランは顔にニヤリとした笑みを浮かべたが目には喜びの表情はなかった。「緑色の目をした女性は見つかったかい?」


「くそくらえ、エンデクライオンの騎士め!」監督者は吐き捨てた。「貴様はカオス・ジェネレーションズと遭遇したことを後悔するだろう。間もなく、その時が来――」監督者はローランが最後の一撃で彼をノックアウトしたことで言葉を遮(さえぎ)られた。


「はい、いませんでしたということにしましょう。」

 

***


 その後、現場には警察官、救急隊員、そして黒いスーツを着た別のグループが集まってきた。スーツを着た人々はある特定のロゴが入った腕章をつけていた。それは、稲妻を模した金色の「E」の文字だった。警察官とスーツを着た男たちがローブを着た男たちを連行する一方、救急隊員と数人のスーツを着た男たちは救出された赤毛の女性たちを診察していた。彼女たちは皆昏睡状態にあるように見えた。彼女たちを診察していた医師の中に白衣を着て同じく「E」の腕章をつけた若い女性がいた。彼女のウェーブのかかった長いブロンドの髪は背中の半分まで届く低い位置で三つ編みに結ばれていて、彼女の肌は陶器のように白く、青い瞳は水晶のように澄んでいた。要するに彼女はとても美しかった。


「ドクター・マッカーサー」とスーツを着た男の一人が言った。「救出された人質たちの健康診断は完了しましたか?」


 ドクター・マッカーサーと名乗る女性はプレッツェルスティックを口にくわえ、ぼんやりと噛み始めた。「予備的な検査は済ませましたわ」と、彼女は独特のスコットランド訛りで言った。「身体的な健康状態に関してはほとんど無傷ですがそれでも病院に連れて行く必要があるわ。他に外傷(がいしょう)があるかどうかは確かなことは言えないけど。」彼女は男性の方を向き「団長はどこに?」と尋ねた。


 男はバルコニーの方を指さした。女は階段を上っていった。バルコニーの最上階ではローランが木箱に座り、目を閉じ、両手で顎を支えてまるで深く考え込んでいるかのようだった。女の存在を感じ取った彼は微笑みながら顔を上げ、瞳ははっきりと茶色に染まっていた。「エリザベス」と彼は言った。「答えはもう分かっていると思うが報告はどうなんだ?」


 エリザベス・マッカーサーは深呼吸をした。「茶色の目が四人、青い目が二人。」


 ローランは目を丸くした。「つまり、緑色の目の人は一人もいないってことか?」


「それだけじゃないわ」とエリザベスは言った。「下級職(ローレベル)が2人、非超力者(ひサイリック)が4人いるの。上級職(ハイレベル)は一人もいないわ。」


 ローランは呆然とした表情を浮かべた。「カオジェンはたまたま道幅で出会った赤毛の少女を片っ端から誘拐していたのかよ?」と彼は叫んだ。「まあいい。残りの仕事は現場の警察騎士(ポリスナイト)に任せるから俺はこれで終わりにする。」


「少々お待ちください、団長」とエリザベスは言った。「現場の警察騎士(ポリスナイト)たちは作戦中にあなたが苦痛の叫び声をあげたと主張しています。一見すると怪我はなさそうですが、一体何があったのですか?」


 ローランは心の中でギクッと思った。「あー、えーと、それについてなんだけど…うん…えーと…それで、えーと…頭を銃で撃たれましたので。」彼は最後の言葉を無邪気なてへっ顔を浮かべながら早口で言った。


 エリザベスはプレッツェルスティックを強く噛みしめた。「ローラン!」彼女は怒りと苛立(いらだ)ちが入り混じった表情で叫んだ。「あなたねえ、もしも上級職(ハイレベル)じゃなかったら普通頭を撃たれたら大抵の人は即死だってこと忘れていないわよね?私は医療部隊長として作戦中はもっと注意するようにと何度も言っているのにあなたはいつも――」


「はいはい、わかった、わかった」とローランはため息をつきながら言った。「次はもっと気をつけるから。君の説教をもう一度聞きたい気持ちは山々だけどもう行かなきゃいけないんでね。明日は学校があるから。」


 エリザベスは目を丸くした。「あぁもう」と彼女はつぶやいた。「高校生を上司にしているから本当に苦労するわ。」


「あんた、俺より年下じゃないか?」とローランは言い返した。

再び、はじめまして、E. C. ライリーです。

この度、『エンデクライオンの騎士団』をお読みいただき、誠にありがとうございました。

物語はまだ続きますので、ぜひこの先もお読みいただければ幸いです。

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