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エピローグ
王宮の牢屋に閉じ込められた王妃は、隠し持ったナイフで指先を裂き、床に遺書を書いた。
愛するシオンの横に葬ってほしい
あの子のいない世界では生きて行く意味がない
王妃は自決した。
何も知らなかったリリーはシオンの死と王妃の死を知って戸惑ったが、シオンの死の原因を知って、納得した。
力を持った魔術師だからこそ、人を殺める魔術を使ってはならない。
リリーを守った魔術は、防御魔法だった。
力は人の為に使いたいと心から思った。
ビエントは、日々の練習で、ペンを浮かせることができるようになった。
努力家の彼なら、きっと乗り物も浮かせるようになるに違いない。
ビエントが描いた理想の国はできあがりつつある。
きっと国民が住みやすい国になるだろう。