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秘密基地には、たまに幻獣がやってくる。

作者:久世こはる
最新エピソード掲載日:2026/09/06
水守県月白町、花守地区。

山と川に囲まれたこの小さな集落では、季節が巡るたび、少し変わった生きものたちが姿を見せる。

春、角に小さな花を咲かせる花角。
夏、青い尾で水面に泡を残す泡尾。
秋、木の実を求めて山を歩く大きな蜜熊。
そして冬、雪の気配とともに里へ下りてくる雪玉。

小学三年生の森川ひなたにとって、それは昔から知っている花守の季節の一部だった。

そんなある日の放課後、ひなたは友達のすず、海斗、実、絵麻と一緒に、山の中で古い炭焼き小屋を見つける。

五人で使える秘密基地にしよう。

そう思って中を覗いた小屋には、小さな足跡と薄桃色の花びらが落ちていた。

そして、積まれた木箱の向こうから聞こえてきた、小さなくしゃみ。

どうやら秘密基地には、ひなたたちより先に「先客」がいるらしい。

山で遊び、川へ入り、季節のものを見つけ、ときには大人に教えてもらいながら、知らなかった花守を少しずつ知っていく。

たくさん遊んでお腹がすいたら、秘密基地でパンをかじったり、家へ帰って旬のご飯を囲んだり。

幻獣はペットにはならないし、山は子どもたちだけのものでもない。

それでも毎年、春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来る。
去年と同じように見える季節の中で、子どもたちは少しずつ大きくなっていく。

現代日本の山里を舞台にした、秘密基地と幻獣と四季のおいしい日常冒険譚。
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