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-73- すること

 することがなければ、ただボケェ~っとしていればいい訳ですが、その状態が安らぎなのかどうか? は別物です。その状態が安らぎなんだ…と言う人もあるでしょうが、働いて一日を終え、疲れを癒す風呂に入り、至福の酒を飲むことこそが安らぎだと言う人もいますから、どちらが安らぎを得るのか? は人それぞれと言えるでしょう。

 室川は今年の春、定年を迎えた一サラリーマンである。送迎会も終わり、課員達から見送られて会社での生活を終えた室川は次の日、朝早くからバタバタと、いつものように出勤の準備をしていた。ネクタイを締めながら焼けたトスートを齧(かじ)っていた室川はハッ! とした。昨日で退社したことを思い出したのである。さて、そうなると、バタバタと急ぐこともない。室川は締めたネクタイを緩めながらキッチン椅子にドッカリと腰を下ろした。すると、ポカ~ンとした空虚な気分が室川の内心を覆った。その気分は安らぎではなく生活のリズムを失くした空白だった。しばらくして、我に返った室川は、ふたたびとトーストを齧りながらハムエッグを食べ、ミルクを飲んだ。ミルクはすでに冷たくなっていた。朝食を終え、食器の後片づけを済ませた室川は、背広を脱いでクローゼットへ収納すると、身体の軽さとともに、なぜか心も軽くなった。このとき、安らぎが室川の心に訪れた。

『自由なんだ…』

 そんな心境が思うでなく室川の心に芽生えたのである。室川は、しみじみと自由な時間の安らぎを味わった。

 まあこれは、安らぎを得た室川さんの心理ですが、別の仕事を探して、バタバタすることで安らぎを得る人々もいることでしょう。^^

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