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-38- 好み

 本人の好みが満たされれば安らぎの気分に(ひた)れます。逆に言えば、いくら周りの環境がよくても自分の好みでなければ安らげない・・ということになります。

 キャリア・ウーマンで課長補佐の月城冴子は今日も頑張っていた。婚期を逃した彼女ににとって、今や会社の仕事だけが安らぎの場となっていた。

「…月城さん、三日前にお願いした書類、出来てますか?

 課長の日下(くさか)は、たぶんOKなんだろうが…と思えたから、小声で訊ねた。

「はいっ! 自信ありげな大きな声で即答した。

「見せて下さい…」

 日下は、やはりな…という顔で、ふたたび小さな声で言った。

「はいっ!」

 月城の大声が、何が彼女を…という疑問を日下に抱かさせた。彼女には仕事への意欲を大きくさせる一つの秘密があった。花瓶に挿す花である。彼女は好みの花を自費で花屋で買い、飾るのが日常だった。花瓶に飾られた自分の好みの花を見ているだけで月城は安らぎを覚え、仕事への意欲が増大したのである。日下はこの事実を知らなかった。

 安らぎを覚えるこういうことって、ありますよね。^^

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