90/345
小話33 走る男
とある貿易都市の、ある酒場。
ここは酒も料理も美味いと評判で、多くの人々が訪れる。中には、冒険者や衛兵達の姿も。そのために、不思議と騒動が起こるのだが。
早朝。都市は深い霧に覆われていた。時たま起こる自然現象だが、今日はいつにも増して、一段と深かった。そんな街で1人。背の低い男が走っている。彼は息を乱しながら走っていると、何かに気づいてふと足を止めた。その彼の視線の先には、一件の酒場。開店中を示す看板が立てられ、どことなく香ばしい香りが漂ってくる。走っていた男は、釣られる様に酒場へ足が伸び、そして店の扉を開けた。




