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小話31 直して壊して2
「マスター!!」
酒場の扉をバンっと勢いよく開け、工具を持った男は不機嫌そうに入って来た。いきなりの怒声に客達は、「なんだなんだ!?」と騒ぎ立てる。男はためらいも無くカウンターの前に着くと、マスターと対峙。
「おい、なんなんだよ! あれは!」
男はそう言って、天井を指差す。その先には、ポカッリ空いた大きな穴があり、外の太陽が顔を覗かせていた。穴には薄い膜が張られており、時折光を反射して虹色に輝く。これは魔法による効果だろう。反射すると小さな魔法陣が浮かび上がる。
「処置は間違っちゃいない。が、ほんの数日前に直したばかりなのに、なんでもうだめになっているんだ!?」
指さされた穴を見て、客達も理解する。外からでも穴は見えるのだが、この天井は数日前にも破壊され無残な姿になっていた。それを修復し再び訪れて見たら、同じ場所に同じくらいにまた壊れている。大工を生業とするらしい彼には、苦労が水の泡になったが如く心境なのだろう。
「これは仕事だ。直すのが職務なのはわかっている」
男はテーブルを力強く叩くと、男泣きを始めた。
「わかっているけど、こんな仕打ちはねーよ!!」




