閑話 常連客のつぶやき6
とある貿易都市の、ある酒場。
ここは酒も料理も美味いと評判で、多くの人が集まる。その中には冒険者や衛兵達の姿も。その為に不思議と騒動も起こるだが。
「よ!」
「お互いお疲れ様!」
人で賑わう昼間の酒場。今日も冒険者であり常連客の2人は、酒場へと来ていた。お決まりのカウンター席に座り、注文して待つ。
「今日は、調子良さそうね」
「まぁな。なんというか、元気がありあまっとる」
普段と違い、やる気に満ち溢れていると言うのだろうか? 疲労や苦労を感じさせない。女にしてもいつもより、表情が明るい。
「同意。あまり考えなくて済んで、今は気分がいい」
「だな。勤務中の衛兵共とか見ていると、周囲を警戒しながら疲れた顔してかわいそうだ」
「若い子の悩みとか、微笑ましくて平和だななんて考えちゃうわ!」
心に余裕があるのか、ほのぼのとした穏やか表情で過去を思い返しながら、そんな会話をしていた。お互い切羽詰まった様子も無く、平穏そのものだ。
「そういえば、以前妙な話を聞いたんだよ」
「妙な話?」
「なんか、早朝に黒い鶏に出会ったダチがいてな」
「うん」
「その鶏に道を聞かれたらしい。”酒場を探している”って」
「あははっ。それ、夢じゃない?」
「本人も眠気を伴ってたから、夢だと思ったらしい」
常連客の2人は声を揃えて笑い会う。
心の奥底では「こんな日々が続けばいいのに」と、ため息をつきながら。




