73/345
小話28 「こっけい」なお客人。
とある貿易都市の、ある酒場。
ここは酒も料理も美味いと評判で、多くの人が訪れる。その中には冒険者や衛兵達の姿も。そんな店では、よく騒動が起こるのだが。
早朝。そいつは鳥の鳴き声とともに、やって来た。開店準備を始めようとしたマスターは、夜と朝が混じる外へと視線を投げる。
コンコン。
扉を叩く様な音がして、入り口の扉へと足を運ぶ。
「朝早くにごめんねぇ。ちょっと、中に入れてくれないかな?」
軽薄さを帯びた男の声。少し考え込んでから、マスターは店の扉を開く。
「おー、ありがとう」
感謝の声がする。しかし、開けた扉の先は、人の姿は見えない。その為、視線を少しずつ下へ移していく。すると。
視界に「一羽の黒い鶏」がいた。
そいつはクチバシを動かして、人語を喋る。
「お邪魔するねー!!」
二本足でスタスタと酒場に侵入し、カウンター席に見事な跳躍力で飛び乗る。顔だけを振り向かせて、黒い鶏がいう。
「さ、早く注文をお願いするよ」




