小話19 ライバル宣言!?3
「にしても、なんでこんな大物が酒場に敵対してるんだ?」
常連の男が腕を組みながら呟く。確かに酒場も料理店も食べ物や飲み物を扱う。しかし、料理店はあくまでも「料理」がメイン。「酒」が主な酒場とは違うのだ。
「うーん。何か理由でもあるの」
「そうなのです! 理由があるのです!」
「「うわっ!?」」
2人の会話に割り込むが如く、年若い活発そうな青年が顔をヌッと出す。
「いやはや、驚かせて申し訳ない。話が聞こえたもんで」
青年は頬を指先でかきながら、謝罪する。2人の常連客は胸を撫で下ろし、青年にたずねた。
「心臓に悪いわよ。それで、理由って何?」
青年は神妙な面持ちになると、人差し指を立てる。
「その、理由とは」
「「理由とは?」」
緊迫感をはらんだ言い方に、2人は唾をのみくだす。一体、なんだろうか?
「そっ…」
「お前、そんな所で何をしている?」
突然、青年の背後に鬼の形相になった料理服の男が立っていた。青年はびくりと肩を反応させ、恐る恐る後ろを振り向く。
「営業中に雑談とは、いいご身分だなぁ?」
「り、料理長」
「下っ端が、こんなにもお喋りだとは思わなかった。さ、行きましょうか?」
有無言わせない、表面上の笑顔に青年は従う。
ポカンとした表情で、常連客は2人を見送った。
結局、どんな理由だったのだろうかと。
「料理長。本音でマスターに言わず、良かったのです?」
「私が彼を尊敬している事か?」
「えぇ」
青年の言葉に、男はわらう。
「とっくに気づいている。尊敬しているからこそ、競い合いたいとね」




