27/345
小話11 天然お嬢様2
遅れて申し訳ないです。
大勢の前で恥をかいたお嬢様だが、赤面しつつ立ち上がると何事も無かった様に席に座る。ドレスについた埃を払い、マスターに視線を送った。
「知人から聞いたのですが、メニューは無いのですね?」
「あぁ」
「では、おおすすめを」
「酒か、飯か?」
「え、えっと両方」
ぎこちない会話でなんとか注文を果たし、お嬢様はホッと一息をつく。慣れない場所に、慣れない注文。彼女の常識とは違った世界だ。注文するにも緊張していたが、内心では酒場に足を踏み入れた瞬間からドキドキだ。更に大勢の前で転ぶという大失敗。威厳も何もない。
「お水をいただこうかしら?」
喉が渇いてしまい、キョロキョロと周囲を見渡す。しばらく待っても水が出て来る気配が無い。もしこれが我が家であれば、誰かが用意してくれるのだが。焦れてもう一度を声をあげようかと思っていると、突然、肩を軽く叩かれる。
「ねぇ」
「きゃぁぁ!」
驚きの声を上げると、声をかけた女性客もびくりと手を離す。申し訳ないことを下と思い、お嬢様は再び顔を赤く染め上げる。
「あ、ごっごめんなさい!」
「えぇ。大丈夫よ」
ペコペコと何度も謝り始めたお嬢様に、女性客も困った様に返した。




