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小話⑧獣人族は、飲む。
貿易都市にある、とある酒場。
ここは酒も料理も美味いと評判があり、多くの人で賑わう。勿論、オフの衛兵もいれば冒険者も。それだけ色々な人が集まる場所では、良くも悪くも自然と騒動が起こる。
「邪魔するぜ! マスター」
日も沈み、外の街灯が灯り始める時間帯。すでに酒を飲んで盛り上がる酒場に、1つの声が響いた。その声の主は、鼻歌を歌いながら気分良さそうに、カウンター席の中央へ座る。黒と茶色が混じった毛並みに、金色の瞳。上にピンッとのびた、耳に片方だけ金輪のピアス。服の上からでも分かる分厚い胸板と、ズボンを突き抜けてフサフサと揺れる尻尾。その姿はまさしく狼。けれども人の言葉を解し、人と同じ様に生活できる種族。
その名は、「獣人族」。
「っは! 今日もいい汗、掻いた! さて、飲んで飲みまくるぜ?」
鋭い牙の隙間から舌なめずり。瞳をギラリと輝せ、その獣人は口端を吊り上げる。そのニタッと極悪そうな笑みに、周囲の酔いは醒めていった。
『あー、またやばいのが来たぁぁ!!』と。




