22.発見
「アリス! 起きてご飯だよー!」
うう、隆はご飯はと言えば私が起きると思ってる。なんだよどっかの犬かよ。まあ、起きるんだけどさ。朝の弱い私には辛い生活です。そろそろなれろって、まだ来て、えーっと、一週間くらい? 慣れないよまだ。ってか! もう一週間もいるのここに! ガバッと起きたら隆はビックリしてます。
「どしたのアリス?」
「ううん。別に気合入れて起きただけ」
洗面所から出てきた類が私を見て言います。
「今日はアリスの言うとおり、あの道行くからな」
「うん」
立ち上がり洗面所へ。
何となく言えなかった。もう一週間もここにいること。王都まで一ヶ月何だから覚悟はしてるんだろうけど……いいのかな? 本当に。
あ、ヤバイ時間かけると怒られる! 急いで身支度整えます。
時間ないので朝食取りながら会議です。
「次の目的地移動距離が全くわからないからな」
「どっちにする? 戻る? 進む?」
あーと道の選択です。戻った道の脇道か王都へ進んだ脇道か。
「戻った方がいいんじゃない? 草がわかってるし」
出来るだけ時間短縮しないとね。
「そうだな。そうしよう」
「あとは時間だけど、お昼になったら引き返そう。戻れるかわからないからね」
「そうだね」
というわけで、今日の予定決定。折り返して戻ってくる以外いつもの歩き旅になんら変化はないんだけどね。
*
朝食後は急いで入った門へと引き返します。
出るのは簡単。札もなし。
「王都へ進んむと札がいるんだね?」
「そんなになんで王都へ行かしたくないんだろいね?」
いろんな推測立てますが、もちろん正解なんて知りません。ただの憶測です。王都に行けばわかるのかな?
それからはこの先について、昨日の続きの話でひと盛り上がり。昨日のどんよりしたムードはなくなった。二人とも覚悟を決めたようです。
お昼までにつくのかな? 門から出て最初の脇道を選んだんだけど、どうなることやら。
遠くに山が見える森はない。なるほど、そうだよね。市民皆が店持ってる訳でも商人でもない。たまにすれ違うのは荷車。街へ向かってるのは何か積んでる。やっぱりなにか作ってるんだ。
隆も類も気付いて少し黙り加減だった話がまた盛り上がります。
「だよなー。食べ物いちいち森に行ってたらあの値段じゃ食べれないって!」
「じゃあ、牛や豚やニワトリみたいなのがいて家畜されてるってことだよね?」
「多分そうだろ」
「王がいなくんなるたびに飢餓に苦しんでたら困るだろ。住民いなくなるぞ!」
「だよねー」
「じゃあ、この先は農家だね」
「さっきの荷車には家畜っぽいの乗ってなかった……あー」
多分何かの動物だろうかんじのが荷車乗って通り過ぎて行ってた。どうやら魔法で大人しく眠ってるのか静か。これじゃあ今まで気づかないよね。
「乗ってたね」
目隠しあってよかった。どんなの食べてるか見てないから良かったけど、凄いのだったら嫌だな。
ロイリの店の乾燥された動物を思い浮かべてゾッとする。そういえば動物を見てないな。街から街への旅だったからかな。
お昼が近づいている。類も隆もチラチラ私を見てる。もう先には何があるかわかったろって事だろう。
でもでも! 最貧層だって言った男の人まだ余裕がありそうだった。ジュンさんを思い出す。魔法が使えるんだ女でも農業出来るだろう。家畜はちょっとキツイけど、どちらもちゃん需要がある。なんで、皆王都に行くのか? そしてなぜそれを阻もうとするのか不思議なの。
確かに移民の受け入れは嫌がる国が多いからそこは納得できるんだけど。自国民ならいいじゃない? なんでダメなんだろう。
この先に行けば答えがあるんじゃないかと思ったけど、あー時間切れ!
太陽? は真上に到着。
「アリス、ここが限界だよ」
「うん。お昼食べよう」
隆のちょっと言いにくそうにしてくれてたのに感謝しつつお昼です。実は朝ごはんのお店でテイクアウトして来ました。なにせ、あの乾燥食材がいつも手に入るか疑問だったので、大事に取っておくことにしたんだけど、パリポリご飯よりやっぱりこれだね。
一瞬さっきの荷車がよぎるけど、気にしない気にしない。細かい事、気にしてたら、異世界でなんて旅できない!
食事が終わって折り返しで帰ります。仕方ないよね。
んー。二人とも静かです。
「ねーねー。明日は街で買い物だよね!」
「ああ、足りないからな。食糧」
「寝る時の着替えも!」
「ああ、そうだったな」
私が元気だしてるのに類ったら! まあここまで完全に無駄足だったんだけどね。
「とっとと草取って帰って、宿で休もうー!」
一応計算上は夕方前に着く予定。ゆっくりお風呂は無理でも、ゴロゴロぐらいはできる予定。毎日ギリギリまで歩き回ってるんだから一日ぐらいいいよね?
私は何とか二人を盛り上げる帰り道。なんで二人のが凹んでるのよ。
*
さあて、草取りタイムです。やっぱこれは盛り上がる。あとでお金になるから俄然やる気につながる。
「そろそろ門へ行くか」
「うん」
「そうだね」
山盛り取れるのに取れないこの悲しさ。うう、もっと取りたいのに。
ではでは、ロイリの店へ。
「今日は早いから少ないね」
「お腹減ってる?」
そうそう宿はもう取ってるから直行しなくてもいいんだよね。
「んー。まだ減ってないな」
「ちょっと店見歩いて見る? それか宿で休むか」
んー。毎日歩き回ってるせいかまだまだいける。一度休んでの方が面倒だなー。
「店見てみようか?」
そう、乾燥した食材かそれに変わるのがあるかやっぱり気になるしね。ご飯屋さんも選べるし。
最近は急ぎ急ぎで選んでる暇なかったんだよね。まあ、どれも美味しいんだけどさ。
「そうだな。何があるか見て見たいしな」
やっぱり類も気になってたみたいです。
一こ前の街はほぼ通過だったのと、小さかったんで店屋の数も少なかったけど、今度は多いです。港町程ではないけど。
港町はご飯屋や宿屋がやっぱり多かったし、土産物屋的な感じのも多かったんだけど、こっちは日用品とかが多いな!
「あれ! 類、隆!」
見つけちゃった荷車屋さん。まあ買っても乗れないけど。いくらか興味があるんだもん!
「おお! いくらかな?」
「いくらだと思う?」
「えー。日本円の十分の一でしょ? 五万とか」
「でも、今日ので三万五千ペギーだぜ」
「あ、そっか。歩きの人も結構いるもんね」
いくらだろうと全く買わないけれど、さんざん見せつけるようにして通り過ぎてく荷車! はたしていくら?
「うわ、結構するな」
「そりゃ歩きの人もいるわ」
「まあな、引っ張るんじゃないもんな」
五十万ペギーでした。十倍だった。車感覚だね。ってか車か。いやでもちょっと高いね。物価上がってるのかな?
「買えるのに買えないこの悲しさなんだろう」
「だな」
「うん」
と、店の奥を見たら、おお!
「類、隆! あれ!」
「ん? うお!」
「マジで?」
三人で店の奥に入って行きます。




