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私的解釈で詠む万葉集  作者: あ
4巻~
73/117

8/1518 天漢 相向立而 吾戀之

題詞:山上<臣>憶良七夕歌十二首

題訓:山上臣憶良が七夕(なぬかのよ)の歌十二首

校異:巨→臣 [類][紀][細] / 歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌

8/1518

原文:天漢 相向立而 吾戀之 君来益奈利 紐解設奈 [一云 向河]

訓読:天の川 相向き立ちて 我が恋ひし 君来ますなり 紐解き設けな

仮名:あまのがは あひむきたちて あがこひし きみきますなり ひもときまけな

(一云)

原文:天漢 向河 吾戀之 君来益奈利 紐解設奈

訓読:天の川 川向き立ちて 我が恋ひし 君来ますなり 紐解き設けな

仮名:あまのがは かわむきたちて あがこひし きみきますなり ひもときまけな


***私的解釈***


修正:天漢 向相而立 吾戀之 君来益奈利 紐解設奈

訓読:天の川 向き合ひて立てる 我が恋ひし 君来ますなり 紐解き設けな

仮名:あまのがは むかひてたてる あがこひし きみきますなり ひもときまけな


(一云)

修正:天漢 向河而立 吾戀之 君来益奈利 紐解設奈

訓読:天の川 川向きて立つ 我が恋ひし 君来ますなり 紐解き設けな

仮名:あまのがは かはむきてたつ あがこひし きみきますなり ひもときまけな


~~~~~~


8/1519

原文:久方之 漢<瀬>尓 船泛而 今夜可君之 我許来益武

訓読:久方の 天の川瀬に 舟浮けて 今夜か君が 我がり来まさむ

仮名:ひさかたの あまのかはせに ふねうけて こよひかきみが わがりきまさむ

校異:漢 [京] 天漢 / <>→瀬 [類][矢]


***私的解釈***


修正:久方之 漢<>尓而 船泛 今夜可君之 我許来益武

訓読:久方の 天の川にて 舟浮かばし 今夜か君が 我がり来まさむ

仮名:ひさかたの あまのかはにて ふねうかばし こよひかきみが わがりきまさむ


~~~~~~


8/1521

題訓:(8/1520の)反し謌

原文:風雲者 二岸尓 可欲倍杼母 吾遠嬬之[一云 波之嬬乃] 事曽不通

訓読:風雲は 二つの岸に 通へども 吾が遠妻の 言ぞ通はぬ

仮名:かぜくもは ふたつのきしに かよへども あがとほづまの ことぞかよはぬ

(一云)

原文:風雲者 二岸尓 可欲倍杼母 吾波之嬬乃 事曽不通

訓読:風雲は 二つの岸に 通へども 吾が愛し妻の 言ぞ通はぬ

仮名:かぜくもは ふたつのきしに かよへども あがはしつまの ことぞかよはぬ


***私的解釈***


(一云)

訓読:風雲は 二つの岸に 通へども 愛しき吾妻の 言通はぬぞ

仮名:かぜくもは ふたつのきしに かよへども はしきあづまの ことかよはぬぞ


~~~~~~


8/1522

原文:多夫手二毛 投越都倍<吉> 天漢 敝太而礼婆可母 安麻多須辨奈吉

訓読:礫にも 投げ越しつべき 天の川 隔てればかも あまたすべなき

仮名:たぶてにも なげこしつべき あまのがは へだてればかも あまたすべなき

左注:右天平元年七月七日夜憶良仰觀天河 [一云 帥家作]

校異:伎→吉 [類][紀]


たぶて:つぶて


~~~~~~


8/1523

原文:秋風之 吹尓之日従 何時可登 吾待戀之 君曽来座流

訓読:秋風の 吹きにし日より いつしかと 我が待ち恋ひし 君ぞ来ませる

仮名:あきかぜの ふきにしひより いつしかと あがまちこひし きみぞきませる


***私的解釈***


訓読:秋風の 吹きにし日より 何時しかと 我が恋ひ待ちし 君来ませるぞ

仮名:あきかぜの ふきにしひより いつしかと あがこひまちし きみきませるぞ


~~~~~~


8/1524

原文:天漢 伊刀河浪者 多々祢杼母 伺候難之 近此瀬呼

訓読:天の川 いと川波は 立たねども さもらひかたし 近きこの瀬を

仮名:あまのがは いとかはなみは たたねども さもらひかたし ちかきこのせを


***メモ***


訓読:天の川 いと川波は 立たねども さもらひかたし 近きこの背子

仮名:あまのがは いとかはなみは たたねども さもらひかたし ちかきこのせこ


~~~~~~


8/1525

原文:袖振者 見毛可波之都倍久 雖近 度為便無 秋西安良祢波

訓読:袖振らば 見も交しつべく 近けども 渡るすべなし 秋にしあらねば

仮名:そでふらば みもかはしつべく ちかけども わたるすべなし あきにしあらねば


***私的解釈***


修正:袖振者 見可波之都倍久 雖近毛 度為便無 秋祢安良西波

訓読:袖振らば 身交しつべく 近くとも 渡るすべなし 秋音あらにしは

仮名:そでふらば みかはしつべく ちかくとも わたるすべなし あきならにしは


~~~~~~


8/1526

原文:玉蜻蜒 髣髴所見而 別去者 毛等奈也戀牟 相時麻而波

訓読:玉かぎる ほのかに見えて 別れなば もとな恋ひむや 逢ふ時までは

仮名:たまかぎる ほのかにみえて わかれなば もとなこひむや あふときまでは


もとな:わけもなく、しきりに。


~~~~~~


8/1527

原文:牽牛之 迎嬬船 己藝出良之 <天>漢原尓 霧之立波

訓読:彦星の 妻迎へ舟 漕ぎ出づらし 天の川原に 霧の立てるは

仮名:ひこほしの つまむかへぶね こぎづらし あまのかはらに きりのたてるは

校異:<>→天 [類][紀]


***私的解釈***


訓読:彦星の 妻迎へ舟 漕ぎ出づらし 天の川原に 霧の立てるは[霧波立たし]

仮名:ひこほしの つまむかへぶね こぎづらし あまのかはらに きりのたてるは[きりなみたたし]


~~~~~~


8/1528

原文:霞立 天河原尓 待君登 伊徃<還>尓 裳襴所沾

訓読:霞立つ 天の川原に 君待つと い行き帰るに 裳の裾濡れぬ

仮名:かすみたつ あまのかはらに きみまつと いゆきかへるに ものすそぬれぬ

校異:還程→還 [類][紀]


***私的解釈***


修正:霞立 天河原尓 待君登 爲徃<還>尓 裳襴所沾

訓読:霞立つ 天の川原に 君待つと 行き帰らすに 裳裾湿らゆ

仮名:かすみたつ あまのかはらに きみまつと ゆきかへらすに もすそしめらゆ


伊→為。


~~~~~~


8/1529

原文:天河 浮津之浪音 佐和久奈里 吾待君思 舟出為良之母

訓読:天の川 浮津の波音 騒くなり 我が待つ君し 舟出すらしも

仮名:あまのがは うきつのなみおと さわくなり わがまつきみし ふなですらしも


***私的解釈***


修正:天河 浮津之浪音 佐和久奈里 吾待思君 舟出為良之母

訓読:天の川 浮津の波音 騒くなり 吾が待ちし君 舟出すらしも

仮名:あまのがは うきつのなみおと さわくなり あがまちしきみ ふなですらしも

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