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スパチャ職人とガチャ芸人 ~ダンジョンではギャルを指導するオタク、私生活では世話される~  作者: はむばね


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第1話 オタク、配信中に出会う

「はいどうもー、ダンジョン簡単攻略チャンネルのダンオタでーす」


 地球各地にダンジョンが出現して幾年。


 現在では、ダンジョン内で発見されるマジックアイテムは高額で取り引きされている。

 ダンジョン内には強力なモンスターも跋扈するけど、昨今では配信目的で訪れる者も多数存在していた。


 俺もまた、そんな配信者の一人と言える。


「本日は、新宿ダンジョンの 136階を探索していこうと思いまーす」


 『誰でも出来るダンジョン攻略』と銘打って、こんな感じで毎日配信を行っている。


 配信時に使っているダンジョンネームは、『ダンオタ』。

 ダンジョンオタクというそのままの意味と、『オタ』の部分は本名である戌亥(いぬい)直孝(なおたか)からこれまたそのまま重ねたという安直な名前だ。


「 136階は、いわゆるオーソドックスな遺跡型のダンジョンスタイルですねー。135階までしばらく続くマグマエリアに比べると、格段に過ごしやすくなっていまーす」


〈 マグマフロアは、まず探索するのに高温対策が必須だからな…… 〉


〈 マグマ系のトラップはワンミスで即死なのが多いしな 〉


〈 それに比べば、癒やしフロアってところか 〉


「はいはいそうです、癒やしフロアってやつですね」


 コメントを拾いながら、仄暗いダンジョン内を進んでいく。


 行く先をライトで照らしているのは、俺の頭上辺りを浮遊しながら付いてくるドローンだ。

 カメラやマイクも内蔵していて、これ一つで配信セット兼ダンジョン探索補助の役割も担ってくれる。


 基本的に自走するこれはダンジョン産の技術を用いているらしいけど、詳しくは知らない。

 出た当初は目が飛び出る値段だったそうだけど、今となってはお手心価格なのも多数あってダンジョン配信者の必需品となっている。


〈 癒やしと思わせて、即死系ギミックの率が急上昇するって罠なんだよなぁ…… 〉


〈 その割には、さっきから何事もなくサクサク進んでない? 〉


〈 そこはまぁダンオタだから 〉


「トラップの類は、引っ掛からなければ無いのと同じですからね」


 駆け出しだった頃はコメントどころか視聴数の一つも増えずに、心折れかけてた時期もあったけど。

 今では視聴者数も安定し、コメントしてくれる人もいてありがたい限りだ。


 なにせ、俺の固有スキルに視聴者の存在は必須(・・・・・・・・・)だからな。


「新宿ダンジョンといえば、ダンジョンに呑み込まれる前の新宿駅もダンジョンって呼ばれてたらしいですね。なんでも今の新宿ダンジョンよりも複雑な構造で、年間何人もの遭難者が……っと」


 雑談を交えながら探索していたところ、前方に気配を感じて足を止める。


 そんな俺に合わせたかのようなタイミングで、少し先の天井から巨大な雫が垂れてきて……地面に落ちた瞬間から、不気味に蠢き始めた。


「早速出ましたね。 136階の厄介モンスター筆頭、ミミックスライムでーす。今のように壁や天井に擬態しているので、初心者は注意が必要ですね。気付かずに下や横を通ろうとすると、頭に飛びつかれて窒息させられます。取り付かれた場合は、自分の防御力ギリギリの威力に抑えた魔法系のスキルやアイテムで吹き飛ばすのがオススメですね」


〈 なるほど、参考になります! 〉


〈 いや、動き出すまで完全にただの水にしか見えなくなかった? 〉


〈 注意してもどうにもなんねーから厄介モンスター筆頭なんだよなー 〉


〈 窒息させられかけてる状況で、冷静に威力調節とか出来るのか……? 〉


〈 百超えの階層に潜ってる奴らなら大抵出来るだろ(出来ない奴はそこまでに死ぬため) 〉


 軽く解説していると、ソフトが読み上げてくれるコメントが耳に入ってくる。

 流石に戦闘に入るといちいち画面を確認するのは危険なので、基本的にはこれを頼りにしていた。


 戦闘中はコメントを完全にシャットアウトする配信者も多いけど、俺はむしろ戦闘中こそコメントを(・・・・・・・・・・)気にする必要(・・・・・・)がある。


 戦闘に関する質問を拾って実戦を交えながら解説したりもするし、何より……。


【 136階初バト記念 ¥10,000】


 これ(・・)を見逃す影響の方が、俺にとっては遥かにデカいからな。


「エレガンスドラゴンさん、いつもスパチャありがとうございます。それじゃ、早速使わせてもらいます(・・・・・・・・・)ね」


 ダンジョン内でのみ使用出来る超常の力、スキル。


 これは誰もが初めてダンジョンに入った瞬間使えるようになり、選ぶことも変更することも出来ない。

 ダンジョンにおける最初の、そして最大のランダム要素と言えるだろう。


 その効果は様々で、現在確認されている中で重複するものは存在しない。


 全てがユニークスキルと呼ぶべきもので、俺の場合は──


「今回は、こちらの風操剣(ふうそうけん)を使用していきます」


 手の中に一振りの剣を出現させたのが、スキル『スパチャ』の効果だ。


 初めてダンジョンに踏み入った際、スキルが発現すると同時に頭の中に流れてきた説明は『スパチャを力にする』というそのままのものだった。


 ざっくり言うと、投じた金額に応じて様々な武具を召喚出来るというスキルだ。

 ただし、投入出来る金額はダンジョン内で得たスパチャの分だけという扱いづらい類ではある。


 しかしその分リターンも大きく、例えばこの剣なんかも普通は一万円程度じゃとても入手出来ない代物だ。

 流石に一万じゃ短時間『レンタル』出来るだけとはいえ、見返りとしちゃ十分と言えた。


「ミミックスライムに限ったことじゃないですが、スライム系統といえば炎で蒸発させるのが一番簡単な対処法でしょう。スライムは、基本的に身体が水分で構成されていますからね。でも、炎系統のスキルやアイテムを持ってないのにスライムに遭遇しちゃったよーって時もありますよね? 今回は、そんな時の対処法をお見せしたいと思います」


 視聴者に向けて喋りながら、ミミックスライムと対峙する。


 強く前方へと踏み出しつつ剣をその場で振るうと、刀身から突風が吹き荒れた。


 風が、スライムの液体部分を吹き飛ばす。

 それと同時、風に乗って前進を加速させていた俺は露出したスライムのコアを貫き通した。


 スライムは、コアが無事な限り無限に液体部分が湧き出てくるんだけど……コアごと光の粒子になって消えていったことで、撃破完了を確認。


「このように、風で液体部分を吹き飛ばしている間にコアを破壊するのが一番簡単ですね。あ、ちなみになんですけど……」


 補足のために今度はその場でニ度ほど剣を振るうと、その度に強く風が迸った。


「この風操剣ですが、振るとこのように風が自動で発生します。これがなかなか強力で、一般的な中級アイテム程度の威力はあると言っていいでしょう」


 ノーコストでそこそこの付加攻撃を発生させられる辺り、流石は『スパチャ』産の武器と言えよう。


 とはいえ、一万程度の価格帯じゃメリットばかりというわけじゃない。


「ただし、この風はオフにすることが出来(・・・・・・・・・・)ません(・・・)。つまり、普通に剣として使いたくてもこのように……」


 再度、その場でブンブンと剣を振り回してみた。


 その度に発生する強風のせいで剣筋は安定せず、体勢も流れてしまう。


「少々扱いづらい仕様になっています。だからさっきのように、風の発生に合わせて自分も動く必要があったんですね。風の発生方向は毎回違いますが、見てから合わせればいいので難しくはありません」


 そんな解説をしているうちに、前方の天井や壁からワラワラとミミックスライムが湧き出してきた。


「それでは、もう一度実践してみましょう」


 これ幸いにと、再び風操剣を構える。


 その場で空振ると強い風が生じ、それに乗る形で跳躍。

 風が液体を吹き飛ばし、露出したコアを貫く。


 後は、それを繰り返すだけだ。


 振る、乗る、壊す。


 振る、乗る、壊す。


 振る、乗る、壊す。


 振る、乗る、壊す。


 しばらく繰り返していると、周囲に動くものが存在しなくなった。


「無策では強敵扱いされるスライム系モンスターも、このように武器の効果を利用すれば楽に処理出来るわけですね」


 一息吐いて呼吸を整えてから、まとめに入る。


「これが、スパチャの力です」


 そう締め括ると、人工音声ソフトが次々とコメントを読み上げてくれた。


〈 なるほど、参考になります! 〉


〈 ソウダネ、参考ニナルナー 〉


〈 なんだ、ランダムで発生する風に即座に合わせて動きながら荒れ狂う暴風の中で適切にスライムのコア位置を見極めて一点攻撃すればいいだけか 〉


〈 人間をやめるだけで解決 〉


〈 い つ も の 〉


〈 実際、スパチャの力ではある(スキルがあれば他の人間でも出来るとは言っていない) 〉


 有名配信者なんかとは、比べるべくもない数だけど。


 温かいそれらの言葉を受け取るのは、やっていて良かったと思える瞬間だった。


【普通に買える武器では、同じようなことは出来ませんか? ¥10,000】


「おっとエレガンスドラゴンさん、追いスパありがとうございます。いえいえ、一般に流通している武器でも風を発生させるものは沢山ありますからね。お好きなのを選んでいただければ大丈夫ですよ」


風神剣(ふうじんけん)でも問題ないですか? ¥5,000】


「風神剣? 風系統の武器じゃほぼ最上位じゃないですかー。はは、もしそんなのがあるなら十分すぎますね」


〈 初めて来たけど、この生主ってスパチャじゃないとコメント拾ってくれない人なの? 同じ人がめちゃめちゃスパチャ飛ばしてるけど 〉


〈 ついさっき通常コメも拾ってたやろがい 〉


〈 エレドラさんは、スパチャ以外にコミュニケーション方法を知らない悲しきモンスターだから…… 〉


 コメントを拾って雑談するのは、配信のメインパートが終わった後のいつもの流れだ。

 コメントしてくれるのがほとんど常連さんばかりなのもあって、慣れたもんである。


「ミミックスライム以外のモンスターは普通に倒せばいいだけなので、特に解説することもないかなー。というわけで、適当にやっていきますねー」


〈 なるほど、参考になります! 〉


〈 普通に……?  136階層のモンスターを……? 〉


〈 実際、新宿ダンジョン 136階は特殊なギミックのないモンスターがほとんどらしい。だからこそ、工夫でどうにかなる余地が少なくて地力が問われるとか 〉


〈 確かにダンオタも、普通に避けて普通に殴ってるだけだけだな 〉


〈 A級以上のタンクを編入してのパーティーが推奨される階層なんですが、それは 〉


〈 当たらなければどうということはないからな 〉


〈 さっきから速すぎてモンスターが何やってるか全然見えないんだけど 〉


〈 後でスロー編集入りの切り抜きが上がるからそれで確認しろ 〉


〈 なんでスローじゃないと見えない攻撃を肉眼で全部避けてんですかねぇ…… 〉


「や、流石に攻撃全部見えてるわけではないですよ。この辺のモンスターは特殊な攻撃してこないので、『起こり』さえわかれば後はその軌道を読んで避ければいいだけです」


〈 だ け 〉


〈 そうだね、それだけだね 〉


 そんな風に、穏やかに喋っていた中。


〈 つーか、新宿ダンジョンの 136階なんて今更ダンオタが攻略する階層じゃなくない? 今日なんでそんなとこ潜ってんの? 〉


「良い質問ですね!」


〈 うわぁ! 急に満面の笑みでカメラに近づくな! 〉


 実は待っていた質問に食いつくと、悲鳴に近い調子でコメントが読み上げられた。


「昨日、この階層で新種のアイテムドロップが報告されたんですよねー」


〈 あー、アレか 〉


〈 知ってるのか雷電! 〉


〈 銀糸の涙飾り、だっけ? 〉


「そうそう、通称『スライム殺しのネックレス』!」


 流石と言うべきか、マニアックな情報をしっかりキャッチアップしているウチの視聴者に俺のテンションも上昇気味だ。


「身に付けてるとスライム特攻が自動的に発動する代わりに、他のモンスターへのダメージが半減するってアクセサリですね!」


〈 それは有用……なの、か……? 〉


〈 スライムだけが出現する階層ではクッソ有用(ただし該当の条件に合致する階層は現在名古屋ダンジョンの5階しか確認されていない) 〉


〈 なるほどネタ装備ね、了解 〉


「今のとこ、この階層のミミックスライムからしかドロップが確認されてないんです!」


〈 なんでスライムがスライム殺しの装備をドロップすんだよ 〉


〈 自分を殺す装備があるなら自分で持ってるのが一番安心だろ 〉


〈 まずスライムが首飾りを所持していることに疑問を抱け 〉


〈 ダンジョンのドロップがガバなのは今に始まったことじゃないから…… 〉


「と、いうわけで! 今日の配信は、『噂の新ドロップ品をゲットするまでダンジョンに潜ってみる』です!」


〈 新宿ダンジョンの 136階層って、初めて攻略されたの半年くらい前だよな? なのに、昨日初めてドロップってことは……これから半年間潜る……ってコト!? 〉


〈 言うて好んでミミックスライムばっか狩る奴なんていなかったろうから、もうちょっとは短く済むだろ……一ヶ月くらい? 〉


〈 それをずっと見せられる俺らの方が地獄では? 〉


〈 かつてドロップ率0.3%と言われているアイテムをゲットする耐久配信で三日間ダンジョンに潜った男とそれを見守った視聴者たちだ、面構えが違う 〉


〈 ダンオタって、基本的にドロップはクソ引きだよな 〉


「さて、何日くらいでドロップするのか……楽しみですね!」


〈 最低でも日を跨ぐことは確定してるのか…… 〉


〈 それを本当に心から楽しそうに言うダンオタのメンタルが一番モンスターだよ 〉


「ちなみに、ここまでのミミックスライムからは『スライム液』しか出ていません。いわゆる通常ドロップってやつですね」


 ダンジョン内のモンスターを倒すと光の粒子となって消えていくわけだが、その光も消えた後に何かしらのアイテムを残していくことがある。


 そしてこれまでに確認されている限り、ドロップの種類は一つのモンスターにつき最大三種類。

 ドロップ率の高い順に、『通常』『希少』『秘宝』と呼ばれている。


〈 スライム系って、どの種類でも通常ドロはスライム液だよな…… 〉


〈 上位のスライム種が嫌われる原因の一つである 〉


〈 スライム液自体は便利だから……接着剤代わりになったり、絆創膏代わりになったり、食べたらゼリーみたいな食感で美味しいし…… 〉


〈 接着剤と絆創膏とゼリーで良くない? 〉


「や、ダンジョンにおいて持ち物が圧縮出来るっていうのはかなり優秀ですよ」


〈 言うてダンオタはマジックバッグ持ってるんだし、あんま関係なくね? 〉


「俺の持ってるやつは、そこまで容量デカくないですからねー」


〈 説明しよう! マジックバッグとは……ダンジョン産の、なんか見た目よりいっぱい入るバッグのことである! 〉


〈 そのくらいなら、解説するまでもなくみんな知っとるやろ 〉


〈 マジックバッグの原理を解説してくれるわけじゃないのか…… 〉


〈 それをガチで説明出来たらノーベルダンジョン賞確実やで〉


 コメントと雑談を交わしながら探索すること、しばらく。


「おっ、またいましたね」


 前方にミミックスライムの擬態した姿を見つけ、俺は武器を構える。


 先ほどと同じ要領で、素早く処理。


「さーて、ドロップは?」


 光の粒子が消えていった後を、期待と共に見つめる。


 コメントでも言われていた通り、スライム系モンスターの通常ドロップは共通してスライム液。

 俺の狙いは、秘宝ドロップに当たる銀糸の涙飾りなわけだけど……。


「……おっ、レアドロですね」


 今回は、そのどちらでもなかった。


「誤差の王冠、でーす」


 チャリンと地面に落ちたコインを拾い上げ、カメラに向けて見せる。


 元々知ってるアイテムではあったけど、手にしたことで頭の中に概要情報が流れ込んできた。


「指定した任意の確率が1%分アップする、消費アイテム」


 それを、そのまま読み上げる。


 概要情報はあくまで概要なので、そこに書かれていない効果を秘めたアイテムも珍しくない。

 しかし誤差の王冠の場合はかなり検証も進んでおり、額面通りの性能であるとほぼほぼ結論付けられていた。


〈 任意の確率、って……具体的に、どういうの? 〉


「状態異常付与確率とか、逆に状態異常回避確率とか、装備やスキルに発動率が設定されてる場合は、それとかもですねー」


〈 もしかして……ドロップ率も上がったり? 〉


「その通り。単純にアイテムがドロップする確率はもちろん、希少ドロップや秘宝ドロップの確率も上昇させることが可能と言われています」


〈 元が10%だとして、10.1%になんの? それとも11%になんの? 〉


「その場合、11%になります」


〈 マ? 数値分アップは強いな 〉


〈 じゃあもう今回の配信、勝ち確じゃん 〉


〈 1%上昇程度で、ダンオタのドロ運がどうにかなるとでも? 〉


〈 0に何を掛けても0なんだよなぁ…… 〉


「ははっ、やかましいわ。でもまぁ効果が発生するのは使用後の一ドロップにのみなんで、これ一つでどうにかなるかっていうと微妙ですかねー」


 とはいえ珍しいアイテムではあるので、コメント欄は盛り上がり気味だ。


〈 ……閃いた! そのコインを100個集めて一気に使えば、100%になるくね? 〉


「残念、重複はしないという検証結果が出てるんですねー」


〈 そんなガバ計算が通用するわけないわな 〉


〈 ていうか、さっきから全部の疑問にスッと答えられるダンオタは何なんだよ 〉


〈 ダンジョンのオタクだろ 〉


 ダラダラ喋りながらも、索敵は欠かしていない。


「おっと、ここにもミミックスライムがいますねー。あっちにも……」


 数をこなさいと本当に数ヶ月とか籠もることにもなりかねないので、とにかく目に付くミミックスライムを片っ端から始末していく。


 が、しかし。


「……こっちにも? これもあれも、そいつもミミックスライム……流石におかしいな」


 この辺りで、違和感を覚え始めた。


〈 おかしいって、俺には全く見分けのつかないミミックスライムを次々見つけてぶっ潰してるダンオタがってこと? 〉


〈 普通に、この密度でエンカウントするのがおかしいって話では? 〉


〈 一番あり得るのは、次々ミミックスライムに襲われて囲まれるような形になってた人間がここにいた(・・)って線かな 〉


〈 あっ……(察し) 〉


 正直、そのパターンならまだいい。

 いや良くはないんだけど、その場合は不幸な方のご冥福をお祈りするだけだ。


 問題は、もっと想定外の何か(・・)が起こっている場合。

 ここは、最大限の警戒を……。


「助かった~!」


「っ!?」


 油断なく周囲に気を配っていたつもりだったのに、反応出来なかった。


 すぐそこの角に隠れていたらしい何か(・・)に飛びつかれ、頭の中にこの後の動き方について幾通りもの選択肢が駆け巡る。


「ホント死ぬかと思ったよ、ありがと~!」


 けれど、次いで耳に届いたのが人語……若い女性のそれと気付いて。


 予想外の事態に、一瞬自分の脳がフリーズしたように感じられた。

本作を読んでいただきまして、誠にありがとうございます。

「面白かった」「続きも読みたい」と思っていただけましたら、少し下のポイント欄「☆☆☆☆☆」の「★」を増やして評価いただけますと作者のモチベーションが更に向上致します。


本日中に、第4話まで投稿致します。

よろしくお付き合いいただけますと幸いです。

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