第十一話:二つ返事で説明不要
前に09の奴と話をしていた。
奴:「ECUの書き換えが効くらしいよ」
自分:「よく聞くチューンだよね。09の場合、Aモード以上にはならないし、STDならAモードに近付くだけじゃねーの?」
奴:「でも、かなり乗りやすくなるらしいよ」
自分:「ふ~ん、そうなんだ」
その時は、そんなに効く訳もないと思い、その程度で終わっていた。
その後、しばらく経ってから、09ならもともとマッピングが3つあるけれど、マップが1つしかない07だったら、どんな感じになるんだろう?
そう思ったら、気になってしまい、何も見えなくなる性分。
ネットで「MT-07 ECU 書き換え」を日々検索して、いろいろ調べてみた。
ネットで検索した07のECU書き換えの話を、いろいろ読んだが、マイナスに書いてる人は誰もいない事がわかって来た。
まあ、マイナスに感じた人は、ネットに書かないから、話半分としても、悪いようにはならないようだ。
そう思ったら、気になってしまい、何も見えなくなる性分はさらに加速して行く。
しかし、書き換えには、大体5万円くらいかかる。
「う~ん、5万円は無理」「う~ん、しかし乗りやすくなるなら」
「う~ん、でも5万円は無理」「う~ん、マフラー変えたら10万コースだしなぁ」
「う~ん、でも5万円は無理」「う~ん、足回りもいじったら20万コースだしなぁ」
「う~ん、でも5万円は無理」「う~ん、いいタイヤを入れたら5万円くらい。タイヤは絶対入れ換える時が来る」
「う~ん、でもECUに5万円は無理」
そんな葛藤をしばらく続けた。
しかし、何も見えなくなる性分とは困ったもので、思いきって、やってしまう事にした。
どの業者に頼むかを選定。ネットの評判、やり取りの簡単さ、諸々考慮した結果、千葉にあるショップに決定。
最初にWEBのフォームから問い合わせをしたところ、メールにてオーダーシートが添付されて送られて来た。
オーダーシートには、主に下記のような設問に答える。
・自分のマシーンの年式や型式
・吸気・排気の変更点
設定は下記のようにした。
・レブリミッター:残す
・スピードリミッター:解除
・ファンの設定温度:100℃
・アクセル閉じた時の燃料カット:解除
・フリー記述式の要望事項:
車検対応・レギュラー仕様・トルクフル・パワフル・フケ上がりが速い・安定性がある・乗りやすい。
と書いた。
本来、パワフルにするということは力の出る範囲を絞ってそこに特化するということで、「安定性がある」とはトレードオフと考えられる。
また、トルクフルも同様で、ある範囲でトルクが出るということは、「乗りやすい」とは矛盾する話になると思われる。
従って、この要望の部分は、どのあたりの回転数で?とか、どのくらいのパワフルを求める?とか、話し合いで詰めてから決める事になるんだろうなぁと思っていた。
とりあえず要望なので、この内容でオーダーシートを送ってみたところ「車検は、今まで通らなかった例はないですが、絶対とは言えないですよ」との話し。
こちらとしては、車検云々の前に、要望事項の部分の全て満たすのは無理だろうと思っていた。
一応「要望事項は問題ないのですか?」と聞いてみた。「わかりました。それでやります」と二つ返事。
「え~、そんなに簡単に引き受けていいのぉ」って感じだった。
「明らかに矛盾した要望だろう」と内心思っていた。
早速、仕事から帰えった夕方。相棒のECUを取り外し、クロネコヤマトに持ち込む。
翌日にはショップから到着連絡。すぐに作業してくれて、その日のうちに返送したと連絡が入る。
そうして、土曜日の朝には手元に帰って来た。早々に相棒の脳みそを元に戻す。
エンジンを掛ける。
アイドリングは、特に変化もなく、回転数もいつもと同じ。音も変化なし。
とりあえず、走り出してみる。
半クラでスタートしようとした時点でトルクがグーンと出てる感じ。マシンがグンと前に出る。
一速・二速くらいで、ギアの繋がりがとってもスムーズな事がわかる。多分、燃料カットを止めた事で、ギアチェンジの時のアクセルを戻した反応が緩やかになったせいなのかと思った。
三速・四速と加速して行くと、回転の上昇が速い。アクセルに付いてくるって感じだ。と同時に回転の上昇とシンクロするようにパワーがモリモリっと出てくる。ストレスなく上の方まで回って行く感覚。
とにかく加速が鋭くなった。スムーズにスピードが乗り、すぐにスピードの到達点に届く感じだ。
でも、扱いきれないようなシャープなレスポンスになった訳ではない。あくまで範囲内なのだ。
トルクフル・パワフルという表現を使っているが、最高出力が上がる訳ではないので、回転の低い位置からトルクが出ていて、回転数の上昇に比例してパワーが出ていると言った表現が正しいのかもしれない。
減速の時も燃料カットを止めた事で、ギアダウンもスムーズ。エンジンブレーキの効きが唐突にゴツっとくるのではなく、グーンと効くようになった。
まさに、要望に書いたように、「トルクフルでパワフル」でも「安定感があって乗りやすい」という内容を満たしてくれるチューンだ。
矛盾した要望だと思っていたが、ちゃんと両立している。
ECUを書き換える側の人が、乗り手がパワーというものを、どう感じるかをよく理解しているという事なんだろうなぁと思う。奥の深さを感じる。
ショップの店長が二つ返事で引き受けて、その通りの体感だった。
総合的に、とにかくネガティブな要素は全くない。「やらなければ良かった」と感じる部分はない。
ネットで読んでいると最高出力が上がったかのように書かれているが、そこは、車検を考慮せず、ハイオク仕様にしたらそうなるのかも知れない。
しかし、コストパフォーマンスとしてはどうなのだろう?と考えると、この書き換えでかかった費用は、ほぼ6万円。それだけの価値を感じるかどうかは、人によりけりかな。
確かに値段は高いのだが、これだけ乗り心地が変わるチューンは他にはないのではないだろうか。
ノーマルに見えて、実は速いというのが、俺の目指すチューンナップ。まさにそんなチューンナップが出来た。
さらに愛着が深まる俺の相棒07。
信じるか信じないかは、あなた次第!!




