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彼方の島の夏休み ―不思議系少女と過ごすネットゲームの夏―  作者: 広瀬凉太
第四章 スローライフ

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60/60

第60話 続・スローライフ

 山道の先が気になるが、眠っているカズハをおいて進めたら怒るだろう。


 まずはこのエノキの広場の周辺で木を切って材木を確保する。


 斧は先日カズハの店で買ってあったが、結構消耗が激しい。


 木を切り倒して、ガイドフォン内のアイテムボックスに収納する。

 本来ならば枝を落として皮をむき、整形、乾燥などの工程が必要なのだろう。

 だが、さすがにゲームだけあって、木を切るだけで材木が完成する。


 耐久度を失った斧が3本消滅したところで、休憩にする。こっちの耐久度もだいぶ減った気がする。


 こうなったら、温泉なんかも欲しいなあ。拠点レベルをさらに上げたら湧きそうな気もする。カズハが一緒に入ろうとか言い出しそうなのが難点だ。


 材木は、94本たまった。

 後6本作ろうかと思ったが、ちょうど斧も壊れたのでここまでにする。ログハウスまで、後200本以上。家具もいるから、まだ先は長い。


 カズハは……まだ寝ているな。

 疲労を示すデバフのアイコンが消えたところで、次の作業に移る。


 農業、いや昆虫採集が先か。

 このゲーム、昔の夏休みゲームとか開拓ゲームみたいに、昆虫採集もできる。

 単なるコレクションや図鑑づくりだけでなく、武具の素材を手に入れたり、虫系モンスターに対する攻撃力が上がったりもする。

 それと、害虫駆除をすると作物の収穫が増えた結果、種が手に入るみたいな設定がある。

 

 そうしてワタ、ジャガイモ、ゴマ、トウガラシの種を新たに入手した。

 ジャガイモは普通は種芋から育てることが多いが、種もちゃんと存在する。

 それから、いにしえの麦畑で採れたムギも、少しこちらにも撒く。解放したばかりの麦畑である程度採れたが、近いところでも育てておきたい。

 本拠地内の湧き水からジョウロに水を汲む。

 ジョウロもカズハの店で買っておいた物だ。


 しかし、それにしてもやる事が多い。これのどこがスローライフなんだ。


 種まきと水やりが終わったら、木行の魔法、【グロウプラント】で成長させる。


――ゲンのキャラクターレベルが9になった!――


 後1レベルで、サブの職業が付けられるようになるらしい。そうすればかなりパワーアップできるはず。


 カズハは、まだ起きないな。そんなに疲れてるのだろうか。


 さて、そろそろ日も傾き始めた。

 広場を支配していたセミの声も、ミンミンゼミからヒグラシへと代わりつつある。


 やりたいことはまだまだある。

 例えば、食材として卵と牛乳。

 畜産とかしないのいけないのか?


 ひとまず夕食の準備としよう。

 畑から、広場の中央にあるエノキの大樹のそばに移動する。そこには、カズハが運んできた錬金釜が設置されていた。


 また料理人に転職する。食事の度に転職はちょっと面倒だな。


 さて、何を作ろう。小麦が手に入ったのでうどんか中華麺かパスタかパンでも作りたい。


錬金術[うどん]

・[塩] ×1ビン

・[小麦粉] ×《《2袋》》


 待てよ。うどん作ってもつゆがない。

 海でカツオと昆布を探さないといけないのか。

 中華麺は、たしかかん水とやらが必要なはず。

 じゃあパスタならどうだろう。


錬金術[パスタ]

・[塩] ×1ビン

・[小麦] ×2袋


 何か変だと思ったら、パスタは小麦でうどんは小麦粉が材料だった。小麦粉もたぶん、錬金術で小麦から作るんだろう。


 まあいいや。今夜はパスタにしよう。

 それなら、今収穫したばかりの素材が使える。


――[パスタ]を3人前作った!――


 あれ、1セットじゃないのか。


 続けて焚き火を準備、鍋で湯を沸かしながらパスタの材料を用意する。


 唐辛子は、包丁でみじん切りでいいか。

 油は……あぶら!?

 しまった。今ある材料だとゴマ油ぐらいしか作れない。


錬金術[胡麻油]

・[ゴマの種] ×1袋


 何と言うか、これもう錬金釜じゃなくて万能調理機だよな。

 しかし胡麻油はクセが強すぎてパスタには向かない。

 アブラナかオリーブも探さなきゃならないのか。


 待てよ。確かワタの種も入手したので畑で育ててていた。綿実油が作れる。

 布団作るつもりだったが、綿は別に収穫できている。少しだけ油にしよう。


錬金術[綿実油]

・[ワタの種] ×1袋


――[綿実油]を1ビン作った!――


 これでよし。

 ニンニクも欲しいが、ないものはしょうがない。


 鍋でパスタをふたり分茹でる。

 フライパンで綿実油と唐辛子を熱し、味と香りが油に移ったところで、茹で上がったパスタを投入する。パスタの茹で汁も少々加え、塩と醤油で味を整える。


――[特製ペペロンチーノ]を2人前作った!――


 カズハはまだ眠っている。心配になって近くで顔を見たが、ちゃんと寝息をたてていた。


 しょうがないな。プレゼントを使おう。


 フレンド以上の仲間に、アイテムを贈る機能。

 ガイドフォンからプレゼントアプリの、リボンの掛かった箱のアイコンをタップする。開いたウィンドウに、パスタを1人前入れ、封をする。

 送り先にフレンドリストからカズハを選択、そして送付。


 これで、カズハが開封すれば、出来立ての料理が出てくるわけだ。


 そして、ようやく自分の夕食の時間。

 単純に思える料理だが、味のバランスが難しい。

 材料も足りないが、それなりのものはできた。 

 これならカズハも文句は言うまい。


 さて、夕食も食べたし、辺りも暗くなってきた。

 カズハは相変わらず起きる気配もない。

 いつもならログアウトするところだが、今夜はやりたい事がある。

 カズハを起こさなかったのはそのため。彼女についてこられると、やりづらいこともある。

 少々疲れていたが、こういういい機会はなかなかない。


 その目的とは……夜の昆虫採集。

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