表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼方の島の夏休み ―不思議系少女と過ごすネットゲームの夏―  作者: 広瀬凉太
第二章 ふたりの冒険

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/57

第25話 竹細工

「さて、始めるか」

 カズハを見送った後、俺も竹林を見上げる。


 まず作るべきは……。


 カズハから預かったノコギリを振るい、まず1.5メートルほど、俺の身長より少し短いくらいの竹の棒を切り取った。

 そしてその片方を、斜めに切り直す。


――[タケの槍]を作成した!――


[タケの槍]  ★★

種別:武器/槍

攻撃力:32  重量値:3  耐久値:20/20

攻撃(小)

解説:|竹から作られた槍。古来より受け継がれし、伝統の武器。


 これで結構攻撃力も上がった。カズハの店でも武器は売っていないようだし、今のところ入手できる最強の武器だろう。


 ……最強武器、竹槍か……。


 まあいいや。次!


 手ごろな竹を選び、節のすぐ下で水平に切る。

 そして節と反対側を、10センチほど、いやもう少し長く切る。


――[竹のコップ]を作成した!――


 そういえば、カズハは食器とか持っているんだろうか。

 あとでいろいろ言われそうだから、もうひとつ作っておくか。


――[竹のコップ]を作成した!――


 それと、前から作りたかったものがある。


 こんどはコップより少し長く、両端に節を残して竹を切り落とす。

 片方の節にナイフで穴を明け、別の木を削って作った栓でふたをする。


――竹の水筒を作成した!――


 これは多めに作っておこう。

 ポーションとか、薬の容器に使える。

 他のゲームだとガラス瓶だったりするが。


 はて、カズハ遅いな。

 なんか問題でもなければいいんだが。


――竹箸を作成した!――

――竹串を作成した!――

――竹のフォークを作成した!――

――竹の食器を作成した!――


「……ただいま」

 調子に乗って色々作っていると、ようやくカズハが帰って来た。


「……ええと、作りながらでもいいから、聞いて」

「ああ」

 ある程度はできたし、作業は中断する。


「……まず、カエルのときの『事故』なんだけど」

「お、おう」

 目と目が合うと、カズハの顔が赤く染まる。

 戦闘中は興奮状態のせいか気にならなかったが、時間が立つと急に恥ずかしくなったんだろう。

 なぜわかるかというと、俺もたぶん同じだから。いつになく顔が熱い。


 さ、最近のVRのアバターは出来がいいなあ。


「……あれは、純粋な事故ってことになった。ただし、今後アップデートで修正されるまで悪用しないようにって」

「悪用する気はないが、あれ、痴漢行為前提みたいなもんだからなあ。やろうったってできるもんでもないだろ」

「……痴漢行為前提ってわけでもない。ふたりの同意があれば……怒られるだろうから、やらないけど」

 なんか言ってるが、深く考えないことにしよう。


「……その2。ああいう丸呑み系のモンスターは、キャラクターひとりずつしか入れないような調整が決定した」

「やっぱりあれも問題だったのか。さすがにふたりは狭すぎた」

「……ああいうのって、外から攻撃して助けるのが普通なのかな」

「いや、今回カラスに攻撃されてあの状況だから、うまく動きを止めないと中の人が大変なことに」

「……ゲンと一緒だったからまだマシだったけど、ひとりだったらパニックになってかも」

「それは、俺も否定できないなあ。このゲーム、まだ調整の余地があるんじゃないか」

「……まあ、うん……こちらからは、以上、かな」

「じゃあ、もう少しだけ竹の加工をしたら帰るか」

「……ん」 


――竹の棒(長)を作成した!――


「……それは?」

「テントの支柱用。そういえば、布とか売ってる?」

「……あんまり高級なのはない」

「それでいい。拠点にテント張るだけだから」

 多めに作っておいた棒アイテムも、追加でカズハに売る。そうして得たお金で、ノコギリ、そしてテント用の布を購入し直した。


「あ、そうだ。これも渡しとく」

 先ほど作った竹のコップを1つ取り出し、カズハに渡す。


 それを受け取ったカズハは……。

「……ふ」

「ふ?」

「……ふおおおおぉぉぉぉ」

「何事!?」

 突如、カズハのガイドフォンから、えらく大げさなファンファーレのような曲が大音量で流れ出す。

「だから何事!?」


 竹のコップを大事そうに両手で包み、どこか焦点の合っていない目つきでカズハはつぶやく。


「……家宝にする」

「いやゲーム内アイテムを家宝にするな! 普段使いしろ!」

 まだコップを見つめ続けるカズハに、俺は呆れた声を掛ける。


「さて、拠点のエノキの広場に帰るぞ」

最後までお読みいただきありがとうございます。

よろしければ感想・レビュー・ブックマークもお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ