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細川ガラシャになる前の明智玉でした。父の謀反を止めないと私が燃えるので必死です  作者: れんれん


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第二百二十二話 「新たなる関東の形」

常陸・太田城。

明智光秀は一枚の地図を前に、長い間考え込んでいた。


関東は変わり始めている。

小田は滅びた。

宇都宮は織田方へ入った。

里見は港を中心に力を増している。

蘆名もまた、こちらの動きを無視できなくなっている。

だが。

光秀には一つだけ問題があった。

「形がない……」

今の関東には、全体をまとめる明確な仕組みがない。

かつて存在した関東管領。


しかし、それはもう実質的な力を失っている。

上杉が名を持っているとはいえ、関東全体を動かす力はない。

ならば。

新しい時代には、新しい仕組みが必要だった。

光秀は筆を取る。

宛先は安土。

信長へ。


内容は慎重に書き始める。

「関東の情勢について申し上げます。」

「現在、佐竹、里見、宇都宮、そして今後加わるであろう諸勢力により、関東の安定は進んでおります。」

「しかしながら、一つ懸念がございます。」

「これら諸家をまとめる役目が未だ定まっておりませぬ。」

「かつて関東には管領という役目がございました。」

「しかし今や幕府の力は失われ、朝廷の役職にも該当するものではございませぬ。」

「そこで恐れながら申し上げます。」

「織田家が新たに関東を治めるための役職を設けることは叶いませぬでしょうか。」

光秀は一度筆を止める。


そして書き記す。

「その名を――」

「関東総奉行」

「関東総奉行とは、関東諸国の安定を図り、各地の調整を行う役目。」

「戦のためだけではなく、交易、治安、民政を含めた統治の役目にございます。」

「関東を織田が直接支配するのではなく、織田の威光の下、現地の者たちが豊かになる仕組みを作る。」

「その中心として佐竹を置くことが最善と考えます。」


さらに光秀は続ける。

「ただし。」

「関東を長く安定させるには、織田家の確かな拠点が必要にございます。」

「港には船を置き、城には兵を置く。」

「そして関東総奉行を支える、織田家より派遣される者が必要となります。」

「関東総奉行の上に立つのではなく、織田家との橋渡しとなる者。」

「その任を担う者を派遣いただければ、関東の統治はより強固になるかと存じます。」

書状はすぐに安土へ送られた。


数日後。

安土城。

信長は光秀からの書状を読み終えた。

しばらく沈黙する。

そして。

「……関東総奉行か。」

口元が少し緩む。

隣にいた家臣が尋ねる。

「お気に召されませんでしたか?」

信長は首を横に振った。

「逆じゃ。」

「光秀め……よく見ておる。」

信長は再び書状を見る。

そこには単なる役職の提案ではない。

新しい天下の形が書かれていた。


今までの武士の考え。

土地を奪い。

領主が支配する。

その形ではない。

織田の力で秩序を作り。

その土地の者が豊かになる。

それを制度化しようとしている。

「関東管領ではなく、関東総奉行……」

信長は呟く。

「古い名を借りるのではなく、新しい時代の名を作るか。」

笑う。

「光秀らしい。」

しかし、一つ問題がある。


関東総奉行を置くならば。

その上に立つ織田側の責任者。

誰を送るか。

信長は考える。

柴田勝家では北陸がある。

羽柴秀吉は中国方面。

滝川一益は東国に詳しい。

だが。

関東だけを見るなら。

政治。

軍事。

外交。

全てを見ることができる人物が必要だ。

信長は静かに呟く。

「さて……誰を置くか。」

「関東はこれから天下の鍵になる。」

「半端な者には任せられぬ。」

そして信長はもう一度、光秀の書状を見る。


最後の一文。

「関東を織田のものとするのではなく、関東の民のための地とする」

その言葉に、信長は目を細めた。

「天下とは、こういうことかもしれぬな。」

新たな制度が、静かに動き始めようとしていた。

本能寺まであと百六十二日。

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