第四十一話
本日の後半になります!
「バロック、カシア。二人はこのまま侯爵家の後ろに退避しておいて。私は戦艦二を叩く!」
「お、おい、おい。何もお前が行かなくても、このまま、フェルマント侯爵閣下に任せておけば負ける事はないぞ」
バロックが慌てて、直美を止めに入る。
「こっちは、バッド・ドーラとデス・ホーネットとアイアン・ジャッカルが沈められたんだ。だからせめて、ちびっこ海賊として、仇は取らないとね。それに下手すると、戦艦二だけ離脱してワープして逃げるかも知れない。ここで逃がすわけには行かないよ」
直美の迫力に、思わずバロックも圧されてしまった。
「はぁー。ったく、これじゃ、どっちが海賊か分かんねぇな。わぁーたよ。その代わり気を付けろよ。俺たちは安全な所から守ることにするからよ」
「うん。任せておいて! オオサカ、機関最大戦速! リム=ザップ、第一、第二主砲は大丈夫よね?」
「おう!」「……おう!」
グリムリーパーが使えるのは第一と第二主砲のみ、対艦ミサイルも第三主砲も使えない。亜空間魚雷はあるが、これは切り札として残しておくつもりだ。
他の海賊は居ないが、切り札は最後まで見せない方が良いに決まっている。セレナの祖父であるフェルマント侯爵は信用しているが、その部下たちまで絶対に裏切らないとは限らない。だから切り札は、この期においても見せたくはなかった。
「銀翼の艦隊、鋼の獅子艦隊。共に攻撃が始まりました。銀翼の艦隊は鋒矢の陣で鋼の獅子艦隊の右側を崩しにかかりました」
シノが両艦隊の動きを知らせてくれる。
直美は、操縦桿を左に倒して、進路を大きく変更し、鋼の獅子艦隊がとる“臆病者の陣”の左翼側を回り込んで行く。
侯爵の艦隊が右側を攻めるなら、流れ弾が来る可能性の低い左側から攻めることにしたのだ。
グリムリーパーの動きに気がついたのか、駆逐艦一も左に進路を変えて正対してくる。
「防御シールド前面に集中展開! 第一、第二主砲、目標、駆逐艦一。真正面から行くよ!」
直美が噛みつくような勢いで言い放つと、操縦桿を中央にもどす。駆逐艦一から砲撃がグリムリーパーに向かって飛んでくる。直美は微妙に操縦桿を動かし、防御シールドの真正面で砲撃を受けるのを避ける。
駆逐艦一の砲撃が防御シールドの右寄りの位置に当たって逸らされて行く。
防御シールドによって逸らされた砲撃が赤い光の帯となってグリムリーパーの右舷を赤く照らす。
「第一、第二、連射砲撃、ようーい! ――撃ち方始め!」
ドン! ドン! ……
グリムリーパーの前面に配置された二つの主砲から連続して砲撃が発射されて、駆逐艦一に突き刺さっていく。駆逐艦一も防御シールドを前面に構えて向かってくる砲撃に耐える。
何度目かの砲撃が繰り返されたその時、駆逐艦一の防御シールドが突破された。一発が艦体に突き刺さると、二発目も容易く直撃した。
駆逐艦一は一瞬、その艦体を膨張させたかのように見せたが、大きな火の玉となって爆散していく。
その火の玉をものともせずに、直美が操るグリムリーパーは突っ込んでいく。火の玉を抜けたその先に、戦艦二の姿を捕らえる事が出来た。
戦艦二もグリムリーパーの脅威が目前に迫っているので、対処しないわけには行かない。
「戦艦二から砲撃来ます!」
「こんにゃろ!」
直美は変な掛け声と共に艦体を右に倒す。大きく右に傾斜したグリムリーパーの腹下を戦艦の砲撃が通過していく。
直ぐに操縦桿を戻して、今度は大きく左に倒す。戦艦二の後方で大きく蛇行しながら、近づいていく。その間もリム=ザップの砲撃が戦艦二の防御シールドを叩く。
それでも直美は戦艦二に追い迫っていく。
グングンと迫って来る戦艦二の後部。モニター越しには手が届きそうな距離に見える。
「やっぱり、戦艦は硬いな」
戦艦二に特攻するかのように見えたその時――
「でも、手が無い訳ではないんだよ!」
直美が吼えるような叫び声と共に、戦艦二に追突する寸前で操縦桿を強く倒し、左足のフットペダルだけを強く踏み込んだ。
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