第三十七話
昨日と同じく、朝と夕方に投稿しますね!
グリムリーパーは三方向を戦艦に抑えられ、左舷側に重巡一隻と駆逐艦一隻、右舷側にも駆逐艦一隻によって囲まれてしまっていた。
「駄目だ。ここで足を止めたら終わる。戦艦相手に横を見せるわけには行かない! このまま直進して戦艦四に攻撃を仕掛けるよ」
直美は、バロックとカシアに行動予定を伝えたが、艦内には別の指示も出すことにした。
「オオサカ、亜空間魚雷の準備をしておいて」
「ええんか? デカブツ対策用の切り札を、ここで出しても?」
オオサカの言葉を聞いて、一瞬直美も言葉に詰まる。亜空間魚雷の存在が帝国軍にバレたら、何らかの対策を考えてくるだろう。
そうなったとき、直美にはデスカリオン級の超大型戦艦を相手にするのは極めて難しくなる。
「出し惜しみして死んだら元も子もないないからね。帝国軍は完全に殲滅して、レッド・レクイエムとブラッディ・ローレライの乗組員の事は信じるしかないのかもね」
「うーん。ワイの予測では、それでも情報が漏れる可能性が高いみたいやで」
「なるべく、超接近して撃ちこんでいくしかないかな?」「いや、それは亜空間魚雷の意味がないやん。それやったら、対艦ミサイルでもええがな」
高速ツッコミがオオサカから返って来る。
「うん。本当にいよいよとなるまで、温存しておくけど、今のところ、この戦局をひっくり返す手が思いつかないよ。とにかく生き残れる可能性が高いのは、手負の戦艦四に攻撃を集中させつつ、その先に居る重巡四もダメージはあるはずだから、重巡四だけは撃沈してしまおう。対艦ミサイル四発用意しておいて」
「全艦、第一目標は重巡四を叩くよ。その手前の戦艦四は牽制して反応をみる感じで行こう。対艦ミサイルを出来るだけ戦艦四に投げ込んで」
そう言うと、直美は操縦桿をやや左に傾け戦艦四の真正面ではなく右舷寄りに近づいていく。その間も戦艦四から砲撃が来るが、その先の重巡四からの砲撃が来ていないことに気がついた。
「艦長はん、重巡四の砲塔って死どるんちゃうか? エネルギー反応も弱いままやから、主砲撃たれへんのちゃうかな」
直美としても、これはチャンスだと思ったが、その前に立ちふさがる戦艦四が、さすがに戦艦だけあった凄まじい砲撃が向かってくる。
「艦長! 戦艦三が左舷から接近中です。戦艦三から高エネルギーが!! 本艦が狙われています!」
「全艦、急速回避! 最大戦速度!」
直美としても、それだけ叫ぶの精一杯だった。ほぼ正面から戦艦四の砲撃、斜め後ろから戦艦三の砲撃。
操縦桿を右に傾けながら強く押し込む。グリムリーパーの艦体は大きく右に傾けながら、天下方向に避ける。
ズガガガガン!
グリムリーパーの後方から迫って来た戦艦三からの一斉射撃だった。まだ、距離が開いていたから、一撃で撃沈という事態は避けれた。それでも後方の主砲、第三主砲を失ったうえ、艦隊の後方上部の装甲と対艦ミサイルの発射口がゴッソリと削られてしまったのだ。
防御シールドを集中させていない方向からの攻撃。軽巡の紙のような装甲では戦艦の砲撃は防げない。戦艦の主砲を装甲だけで、勝負出来るのは同じ戦艦クラスだけだ。
後方の主砲と対艦ミサイルが発射できなくなったことで、グリムリーパーの戦闘能力は著しく低下した。それでも、エンジン回りが無事でだったことは幸いだった。
そして、大ダメージを受けたのはグリムリーパーだけでは無かった。最後尾についていたアビスも砲撃に巻き込まれていた。こちらは、戦艦たちの砲撃ではなく、戦艦の陰に隠れながら接近してきた駆逐艦七によって近接でミサイルを打ち込まれてしまったのだ。
アビスも頑張って、副砲で迎撃活動は行われたが、一発だけ副砲の攻撃を避けてアビスに命中してしまったのだ。
「バロック! 被害状況は?」
「よう、ちょっとミスったわ。エンジンが、やられた。最大出力は七割まで落ち込んでしまったよ。これじゃ、直美の機動にはついていけない。すまんが、アビスはここまでだ。隊列から離脱するよ」
「だ、駄目だよ。こんな所で離脱なんてしたら、袋叩きに遭うわよ。こっちも速度を落とすから、何とか付いて来てよ……」
直美は、今まであまり通話モニターの方を見ていなかったが、ここでバロックの顔をモニター越しに見た。バロックの顔には疲れが見えた。
「それは、出来ないな。こっちの速度に合わせていたら、確実に沈められる。……さぁ、早く逃げろ! 戦艦に挟まれるぞ。……なあ、直美、セレナ様を頼むな。それで、お前は……絶対に生き残れよ!!」




