第三十五話
本日は、趣向を変えて、朝と夕方に分けて投稿しますね!
グリムリーパーの艦長、直美が率いる形となってグレムリン、アビスの三つの艦体が一列に並んで、アンヌたちに攻撃を加えている帝国軍の艦隊に背後に襲いかかった。
しかし、これは敵も想定していたのか、チャフを受けて目くらましをかけたつもりだったが、艦隊から重巡三の一隻が逆に最後尾のアビスに向けて砲撃を開始した。
「マズいで! 戦艦三は時計回りに旋回中やし、戦艦二は反時計回りで旋回しとる。おまけに背後から、重巡三が向かって来ている! 戦艦二隻と重巡一隻を使って包囲殲滅を狙ってるわ」
オオサカが敵艦体の動きを予測してモニターに表示した。アンヌ達を襲っていた艦隊の最後尾にいた二隻の戦艦が、直美たちを向かい入れるようにグルリと弧を描くように旋回を開始している。
このままでは、右舷側に戦艦三が、左舷側に戦艦二が、そして後からは重巡三に囲まれることになるとモニターに表示された。
「ううん、違うよ。これはチャンスなんだ。包囲網ってね、完成する前は、すごく脆いんだから」
直美はモニターの横に表示されているオオサカに向かって言った。
「私たちは、このままスピードをあげて旋回中の戦艦三の後ろを突っ切って、そのまま、アンヌさん達を襲っている重巡二の背後を突く。戦艦二隻が私たちを追って旋回して、アンヌさんたちへの攻撃が緩んでいるこの隙に、重巡を落とす!」
直美はオオサカが導き出した戦術の斜め上に進みだした。
「はぁぁ? いや、まぁたしかに……間に合えば……あ、行けそうやな!? さすが艦長はんや。伊達に戦闘シミュレーションで三千回も死んでへんな」
「いやー、あれだけ死ぬとね。常に生き残る方法を考えるのがクセになるんだよね。おっと、今は時間が大事だ。シノ、ジェンガ―さんとアンヌさんに連絡。我々が重巡二は貰うので、そちらには重巡一を差し上げますと伝えて」
直美は、そう言うと、艦長席のマイクを握り、後列に続いているカシア、バロックに作戦を伝えた。二人からは呆れた声が聞こえてきたが、相手にしている場合では無い。
これは足が遅く小回りも効かない戦艦二隻が旋回などしている、その隙に戦力が衰えた艦隊を叩くのだ。
「旋回中の戦艦三の背後に向けて、機関最大戦速! 防御シールド前方。第一、第二主砲は左舷二十度、仰角十度で構えておいて。第三主砲は左舷八十度、仰角ゼロ度」
直美の指示にリム=ザップが短く返事を返す。
「全艦、最大戦速で行くよ! 上下に揺らすフェイント付きだから、しっかりついて来てね」マイクに向かって叫ぶ。
直美は、操縦桿を右斜め前方に倒して天下方向に進んだと思えば、おもむろに操縦桿を引いて、やや天上方向に進める。その間も旋回中の戦艦二、三からの砲撃が来るが、戦艦たち自身も旋回中のうえ、直美たちが不規則な上下運動をしているため、戦艦の主砲は直美たちを捕らえる事が出来ないようだ。
「全艦、重巡二に向けて射撃用意――撃ち方始め!!」
重巡二の背後に三隻分の砲撃が飛び込んでくる。重巡二も直美たちが背後から向かってきたことに気がついていたので、防御シールドを後方に展開していた。
重巡二の防御シールドが直美たちの砲撃を受けて真っ赤に染まりながら、辛うじて光の束を辺りに飛び散らせていく。その状況を少しでも打開しようと後方の主砲で反撃を試みるが、防御シールドの硬さには自信がある直美が、先頭で全ての砲撃を逸らせていく。
しかも、まともに反撃出来ているのが、わずか重巡一隻の後方主砲だけでは、直美の防御シールドを撃ち抜くのは不可能であった。
本来であれば、重巡二の僚艦の位置に居る重巡一が、射角を変えて、防御シールドが不十分な角度から砲撃を加えたいところだが、そっちは、そっちで戦艦レッド・レクイエムと軽巡ブラッディ・ローレライからの砲撃を受けて防戦一方に追い込まれていた。
軽巡のブラッディ・ローレライだけなら、重巡の方が打ち勝つだろうが、古くても戦艦のレッド・レクイエムが出し惜しみなく全主砲と副砲まで使って重巡一の動きを抑えていた。
そのレッド・レクイエムの副砲によって、牽制役の駆逐艦三隻までもが防御に徹する状態となってしまっていた。
帝国軍は、駆逐艦三隻、重巡二隻に対して、海賊側は戦艦一隻、巡洋艦一隻、揚陸艦一隻、軽巡二隻という互角の戦力に持ち込まれた挙句、直美たちに対して包囲殲滅を狙ったが抜け出されてしまい、逆に挟撃を受けるという徹底的に不利な状況に追い込まれてしまっていた。
えっと、既にお気づきでしょうが、四十話で終わりそうにありません。まだまだ続きます!




