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第1話 緑の台地

「う…。頭が痛い…」

俺はか細い声でそうつぶやいた。


頭の痛みがひいた後、俺はゆっくりと目を開けた。


俺の目の前には大草原が広がっていた。


果てしなく広がる青い空…。そして青々と生い茂る木々…。まるで楽園のような世界だ。


「ここはどこなんだ?」


俺はとっさにそう思った。


「ダメだ…。何も思い出せない。本当に何もかも…自分の名前すらも…」


いったい自分の身に何がおこったというのだろうか。


この場所に来る前の記憶がまったくない。


「うぅ…。ダメだ。やっぱり何も思い出せない。」


俺はどうしてしまったんだろうか…。


「ここじゃあ何もわからない。とりあえず移動しよう…。」


そう思いながら俺はゆっくりと歩きだした。



どのくらい歩いたのだろうか…。風景は一向に変わらない。同じような世界が広がっている。


「はぁはぁ…。疲れたな。一休みしよう」


そう言った後、俺は木陰に座った。


それにしても綺麗な場所だ。まるで夢の中の世界のようだ。


今のところ人が暮らしているような痕跡は何もない。まるでこの世界にいるのは俺ただ1人のようだ。

騒がしいような音はまったく聞こえず、聞こえてくるのは小鳥のさえずりと風の音だけだ。


「あぁ…。俺はどうしちまったんだ…。ここはどこなんだ、俺は誰なんだよ…」


青空を見上げながら俺はそう呟いた。


その時だった。青空に何かが飛んでるのが見える。


プロペラ機のようなその乗り物はたしかに俺の頭上を真っ直ぐ北に向かって飛んでいる。


「おぉ~い!ここだ!助けてくれ~!」


とっさに俺はそう言いながらプロペラ機に向かって手を振った。


しかし、プロペラ機は俺に気が付かないのか北の方角へ飛び去ってしまった。


「くそ…。俺に気付けよ…。あ~!いったいここはどこなんだよ!!」


イライラした俺は大声でそう叫んだ。


叫んだ後、俺には新たな希望がうまれた。


プロペラ機が飛んでいるということは、この世界のどこかに必ず文明をもった人間がいるということだ。


「よし…。とりあえずプロペラ機と同じ北の方角へ行ってみよう!」


そう決めた俺はゆっくりと歩きだした。




「あっあれは…!?」

俺は思わずそう叫んだ。


それは北へ1時間ほど歩いた時の出来事だ。


かすかではあるが遠くで煙があがっているのが見える。あれは煙突から出てる煙のようだ。小屋ようなものも見える。


「やっと自分以外の人と会える…!?」

そう思うとなんだか無性に嬉しくなった。


いてもたってもいられなくなった俺は思わず走って煙突の方向へ向かった。



「こんにちは…。誰かいませんか!」


小屋の扉をノックしながら俺は大声でそう言った。


しかし、小屋の中からの返事はない。


「誰もいないんだろうか…?」


そう思ったまさにその時だった。


「どなたかのぅ」


その声と同時にゆっくりと扉が開いた。


「あっ突然すいません。いろいろと聞きたいことがありまして…」


「そうか…。まぁ、立ち話もなんだから中でコーヒーでも飲むかのぅ」


小屋の主の老人は笑顔で俺にそう言った。



「ほぅ、おぬし昔の記憶がないのかのぅ」


「えぇ…。そうなんです。自分が誰なのかを知りたくて…」


コーヒーを飲みながら俺は老人に自分の状況を話した。


「それは大変じゃのぅ。しかし、ワシもこの歳でのぅ。おぬしに教えてやれることは限られているのぅ」


老人は真剣な顔で俺にそう言った。


「いえいえ、こうやってお話しできて良かったです。コーヒーご馳走になりました」


「コーヒーくらいいつでも飲みに来なさい。おぉ、おぬしにワシが知っているこの付近ことを教えてやろう。今、この小屋がある場所は緑の台地と呼ばれているところじゃ。ここから北へ真っ直ぐ進むと川が見えてくる。川には橋がかかっているから渡りなさい。そして道なりに進むとハーシオンという町がある。この辺りでは一番大きな町じゃ。まずはそこに行ってみてはどうじゃ?ハーシオンには占いの館もあるぞ?」


「占いの館ですか…。ありがとうございます。とりあえずハーシオンという町に行ってみます」


「おぉ、そうか。しかし、もうすぐ日が暮れるぞ。夜は危険じゃ。今日はうちに泊まりなさい」


「そうですね…。ありがとうございます。そうします。」


こうして俺は老人の小屋に泊まった。



「何から何までありがとうございました。コーヒーおいしかったです。では、行ってきます」


「おぉ、気を付けてな。いつでもコーヒー飲みに来なさい」


老人は微笑みながら俺にそう言った。


「そういえば、いまさらですがあなたの名前教えてもらってもいいですか?」


「ワシか?ワシの名前はエルトゥールじゃ。お主も自分の名前思い出せるといいのぅ」


「はい、頑張ります。エルトゥールさんありがとうございました」


こうして俺の自分探しの旅が始まった。






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