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いわくつき。  作者: 山手みなと
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「いわくつき。」 伝説の11番

[第57話] 伝説の11番


私の地元の高校には、ある都市伝説がある。


高校サッカーの全国大会を何度も制覇している強豪校なのだが


なぜかゼッケン11番は存在しないらしい。


それは、一昔前にFWのエースが伝説の11人抜きを見事にやってのけた全国大会決勝戦での事...。


ゴールを決めて喜ぶメンバー。


しかし、ゴールを決めた選手は直後にその場に倒れ込んでしまう...。


意識は無く、息も無い...。


病院に運ばれるも、残念なことに帰らぬ人になっとしまった。


彼はエースである一方、ある病と闘いながら試合に出ていたのである。


医師からは、体力的に無理をしないように言われていたのだが...。


その時に、限界を超えてしまったようで命を削ってまで11人抜きをして勝利を決めた彼の姿は伝説となって語られている。


そして、彼のユニホームは部室の額縁の中に静かに眠っている...。


学校としては11番を永久欠番として扱っており、その番号を背負う者は存在しない。


だが、ある大会で妙な出来事が起きる。


前半戦を終えた控え室では...。


スタメン選手が怪我をしてしまい代役をどうするか監督が悩んでいた。


このまま10人で戦うのか...?


そこで白羽の矢が立ったのは、万年補欠だった控えの選手。


急遽、代役出場することが決まったのだ。


監督としては、あくまで補助的に動いてくれれば...。と「ただ無事にパスを繋いでくれれば良いんだぞ!」と彼に助言。


そして、なぜか彼のゼッケンは11番。


当然、ユニホームは用意していなかった。


どうしようかと悩む...。


監督は急に何かを閃いたのか口を開く...。


チームの誰かが彼を悼んで11番をレプリカとして自作した物が監督の手元にあったのを思い出した。


監督はそれをそっと差し出した。


イレギュラーな事態が起きたが彼は伝説の11番の袖を通すことになった。


そして、再開した後半戦。


最初は動きが固くて心配していたのだが...。


しばらくすると...。


彼の動きが急に輝きを放ったのだだ!!


パスを繋ぐどころか、1人でゴールに向かって突き進んでいる!!


そして、あれよあれよと言う間にフェイントや股抜きを披露。


見事に11人抜きを達成し、初出場で初ゴールをやってのけたのだ!!


こんな奴は見た事ない!!


一体どうしたんだ!?


まるで伝説のアイツみたいだ!!


しかし、ゴールを決めた本人は記憶が無いそうだ。


無我夢中でゾーンに入っていたから覚えてないんだろう...。


次の場面でも、パスがキレている。


また1人で駆け抜けてゴール!!


代役の彼はチームの勝利に貢献することが出来た。


その活躍が認められて、彼はスタメンに選ばれた。


ゼッケンは7番が与えられることになった。


しかし、数日後の試合では


伝説のような動きは一切見られず、動きもキレが無い。


全く別人のようだ...。


チームメイトからは、「11番を背負ってないからね...」と意味深な発言。


じゃぁ、「次の試合で着せてみせるか!」と冗談まじりではあったが、監督は彼に賭けてみた。


そして、11番に袖を通したその試合で...。


彼は期待通りにゴールを決めてみせた。


しかし、そのゴール直後に帰らぬ人になってしまった...。


見事な伝説の11人抜きを披露した後だったのに...。


まるで伝説のアイツと重なるな...。


あの時と同じような場面に全員が寒気を感じていた...。


うちのチームは11番に取り憑かれているのか??


いや、きっとアイツが背中を押してくれているんだ!!


実は、このような現象は初めてではなかった...。


過去に補欠選手はたくさんいたが、ユニホームが足りない理由で偶然にも11番に袖を通した彼らは


本人の記憶が無い位に実力以上の動きをしていたのだった。


一方で違う番号の時は試合には全く役に立たないそうだ。


仕事に例えるなら、スーツに袖を通すと気持ちが切り替わるのと同じか??


いや、それとは何か違う...。


恐らくアイツの念みたいな物が染み付いているのかもしれない...。


きっと活躍出来ない選手を見て背中を押してくれているんだと全員が思った。


ただ、最後まで試合をさせると体力の限界まで持って行って11番を着ている本人が犠牲になる心配がある。


アイツはまだ成仏してない可能性があるな...。


でも供養したら選手が育たないような気がする...。


11番を着て帰らぬ人になってしまったこの一件...。


それ以来、この高校では育成期間だけ11番を着てもらい最後まで試合をさせないよう配慮しながら補欠選手をスタメンへと育てているそうだ。


ちなみに...。


11番に袖を通した彼ら曰く、着た瞬間に何かゾーンに入って記憶が曖昧になるそうだ。


脱いだ瞬間は意識がはっきり戻るそうで、なぜか着ていた時の俊敏な動きは体に染み付いて本人はプラスに感じているそうだ。


そんな現在もゼッケン11番は今でも天国から選手達の背中を押すべく力を貸してくれている。


やはり、念や魂は物に宿るのは本当みたいだ...。

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