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いわくつき。  作者: 山手みなと
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「いわくつき。」 携帯番号

[第25話] 携帯番号


私の趣味は懐かし家電を集めること。

家電というより、電子機器といった方が合っているかもしれない。

アンプや真空管、ゲームウォッチ

、折り畳み携帯電話などアウトレット店でいつもかき集めている。

しかも、携帯電話に関しては、新規契約ができるそうだ。

格安にて契約できるとあって私は迷わずに購入した。

店主いわく、その携帯は " いわくつき " かもしれないらしいが格安の誘惑に勝てなかった...。

ただし、物件と同じで " いわくつき " の報告義務は発生していない。

実は、ある事件に巻き込まれた持ち主の番号で、長年欠番となっていたが、時代的に番号件数がパンクしていることと年月の経過と持主の供養も完了していることから番号が世に復活したのである。

私には霊感みたいなものは無いと

思っているので、特にいわくつきであろうが関係はなかった。


携帯を購入した目的は、無線機のように使うことであった。

私の仕事は猟師で、獣を狩っては生態系を保持する業務に従事している。

無線も良いが、携帯だと画像を送れる利点がある。

無線だと通信の切替え音が獣にバレてしまうのを防ぐ意味もあるんだよね...。

明日から、その携帯は活躍することになる...。


今日の猟仕事は、廃村になった山間部で狩りをすることだ。

そこからしばらく下山すると、国道があり、道の駅もある開けた地域なのだが、山の中は180度様子がおかしい...。

廃村だけに、人の気配は全く感じられない...。

なんだか幽霊でも出てきそうな雰囲気に早く仕事を終わらせたい気持ちになっていた。

しかし、獣が下山する可能性もあるだけに、ここはしっかり仕事をしなければならない...。

仕事は順調に進んだが、やはり今日は何だか不気味だから早く仕事を済ませて日が落ちる前に撤収することを目標に頑張った。

ようやく仕事を終えて無事に麓へ下山することになった。

その帰り際に、妙な看板が目に入った...。

気になった私は、道中を行き急いでいたため、立ち止まらず歩きながら写真に収めることにした...。

数日後、携帯に着信が鳴った...。

猟仲間ではない番号だ...。

よく見ると、自分の番号からだ...。

自分の番号なんて、まず有り得ないんだけど...。

一応........電話に出てみた........。

無音で何も喋らない...。

よく耳を澄ますと、鈴虫の鳴き声の奥に女性のうめき声が聞こえてきた...。

その瞬間に電話は切れてしまった...。

ふと、下山の時に撮った写真が気になり確認してみると...。

" この周辺は立ち入り禁止 "

" 過去の事件現場でいわくつきの場所 " だという看板であった...。

まさかと思うが、あの現場と携帯の持主が一致することは無いよな...?

もう一度携帯の写真を見返すと、看板の向こうに黒い影が佇んでいる.......ように見える........。

あの時間は許可を得て入っているし、猟師以外は入山できない筈なんだが...。


次の日、私は仕事が休みであったため、家でのんびり寛いでいた。

そんな時、携帯から着信があった...。

「今日は休みなんだけど、うるさいなぁ〜。掛けてくんなよ!」

と愚痴を言いつつ、(番号を見ずに)仕方なく受話器をONする...。

相手の声は無言...。

「イタズラ電話なら、いい加減にし........」

無言かと思ったら、また鈴虫が鳴いている向こうで女性のうめき声が聞こえる...。

そして、最後に...「私の携帯、返して........」

と言って電話は切れてしまった...。

買ったばかりの携帯にしては、イタズラが過ぎるな...?

もしかして、格安携帯だから、中古品として謎のルートから流れてきたのかと思った...。

番号管理くらい、きちんとしてくれよと、アウトレット店にお尋ねした。

すると店主は、

「いや、番号はきちんと購入された際に証明書も添してありますからよくお確かめになっては?」

その返答に私は、

「いや、管理云々ではないんです!」

「着信履歴が自分の番号なんですよ!何なんですかね?」

「いや〜、私には分からないですね〜」

結局、解決とはならなかった...。

帰宅した私は、確かに証明書がある事を確認して目を通した。

一点もおかしな文面は見当たらなかった。


週明け、私はまた仕事に向かう。

その夕方、また同じように自分の番号から着信が鳴った...。

なんだか出るのも億劫になり、気付いたら留守電に切り替わっていた...。

帰宅後、留守電を聞いてみると、同じように、「私の携帯、返して...」とあの声がはいっていた...。

これは、証拠になる!と急いでアウトレット店に駆け込んだ。

「あ〜、確かに妙な感じだね〜」

「少しお待ち頂けますか?」

私は言われるがまま、受付で立ち尽くしていると...。

「この番号、怪しいのでブロックさせて頂きました。新しい機種にに買い替える他ありません...」

「もちろんタダで交換致します」

「あぁ...。お願いします...」

しばらくして、書き換え手続きは完了した。

「新しい番号と機種になりましたから、妙な現象は起きないと思います」

「安心してお使いください」

「実はあの番号を調べたんですが、過去に事件に巻き込まれた方の番号だったようで、もう時効のはずだったんですが、番号に念が宿っていたみたいです」

「霊媒師にも見て頂いたので、本当の出来事のようです。供養はこれからお願いするつもりです。だから今は誰の手にも渡る事はなくなりました」

「私も気が付くのが遅れた上、ご足労まで頂きまして、本当に申し訳ありませんでした」

これで無事に問題は完全に解決した。


しかし、数字後、店主が行方不明になる事件が起こる...。

あの番号をブロックしたせいで、霊の逆鱗に触れてしまったのか?

そんな不安をよそに仕事の日はやってくる...。

数日後、また仕事で猟をするためある山に入山する。

そこは過去に訪れた廃村跡が存在する山間部だった。

何かの運命なのか、あの看板を見るのは二度目になってしまった...。

仕事を一通り終えて、下山しようとした瞬間、あの看板の脇に男性らしき人が倒れている姿が見えた...。

恐る恐る覗くと、あの店主!アウトレットの店主じゃん!

まだ意識はあるみたいで怪我はしていなくて無事のようだ...。

彼に水分補給をさせてしばらく落ち着かせると、店主は重い口を開いた...。

「あの番号をブロックしたと話しましたが、あの後、ブロックしたはずの携帯が鳴り続けたんです...」

「よく分からないけど、気付いたらこの山に来ていたんです...」

「実は供養してもらう予定が、祈祷師の都合で明日に日程が伸びて、今はまだ供養は行われてないんだ...」

「あの携帯の念だと思うけど、明日になればもう大丈夫だから心配しないで...」

「僕も帰るから...」

「なら一緒に下山しましょう!」と私は声を掛けた。

ということで、麓まで一緒に歩いて車で送ることにした。


そして翌日、店主が心配で私は仕事そっちの気でお店に走る。

店内を見渡すと、店主は元気に接客する姿があった。

「もう供養は終わったみたいだから、これでお互い安心して過ごせますね」

と安堵の声を聞くことができた。


これで本当に解決して良かったが、あの店主の身に起きた出来事は、もしかしたら私が体験していたかもしれないと思うと、念が番号に宿るのは本当だと身を持って理解した出来事だった...。

そしてこれがきっかけで、後に私の馴れ初めになるのであった...。

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