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いわくつき。  作者: 山手みなと
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「いわくつき。」 古代のカーテン

[第24話] 古代のカーテン


私は最近、大学進学が決まり、春からは憧れていた華の女子大生になる。

迎えた2月、卒業前に物件を抑えることと、親元を離れて一人暮らしをするために、色々と準備に追われていた。

そして、無事に卒業式を終えて思い出に浸る間もなく私は引っ越しに向けて動き出す。

物件は既に契約済みで心配はないのだが、部屋に設置する家具や家電、生活用品など買い揃えるため、この週末は親と一緒に買物に

出掛けることになった。

ただ一人暮らしということで、お金はあまり掛けられない。

新品を買うと高く付くからと、敢えて家電以外は全てアウトレット店に頼る事にした。

いざ、アウトレット店に入ると目の前には購入目的の品が勢揃い。

思った通りだ!

ベッドや引き出し、テーブル、カーテン、絨毯など、目に入るものは全て味わいがあり、値段も安いとあって迷う事はなかった。

ただ、唯一気になる物があった。

それは、カーテン...。

なぜか一際異才を放つオーラを感じるデザインに息を飲んだ。

直感的に少しだけ買うのを躊躇するくらいに妙な雰囲気を感じた。

だが、その直感は強ち嘘ではなかった...。

その理由は、少しだけ霊感があると自覚している彼女の直感によるものであったのだ...。

そして私は、後にカーテンに纏わる逸話を知ることになる........。

見かけは一般的なカーテンとデザイン的には似ているが、実は500年前とされるこの代物は、ある国の民芸品の一つらしい。

カーテンといっても本当は巨大な一枚布。

民族のシンボルとして掲げる旗みたいな物らしい。

後に現代人がカーテンに加工したから本来の使用目的は分からなくなっちゃったけどね...。

製作に使われた染料は、砕いた石から抽出したもの、薬草から抽出したもの、そこに生贄の血液を混ぜた物らしいのだ...。

古い時代には現代では理解できない儀式が執り行われていたのだが、民芸品の中には、民族の繁栄を願うため生贄の血液を染料にすることで祈祷品としての役割にしたらしい...。

私はそんな逸話を知らずに買ってしまったのだ。

ある出来事が起こるまでは、特にそれが " いわくつき " だとは気にしていなかった...。

私は買い物などの準備を終えると、ついに引っ越しの当日を迎えることになった。

両親と一緒に、買い揃えた全てを部屋に運び込んだ。

みんなで引っ越し蕎麦を食べて、今日の引っ越し作業を無事に終えることができた。

翌日、一人で生活準備を始めることになるが、段々と部屋に生活感が生まれてくる様子に胸がワクワクしてきた。

家具の配置も終わったし、あとはカーテンだけだ...。

朝から始めた作業だが、気付いたら西日が照る時間になっていた...。

「一日ってあっという間だなぁ〜」

「明るいうちに終わらせよっと!」

なんて言いながら最後のカーテンをつけ終わった。


全ての作業が終わり、何気に外を眺める...。

ベランダからは広大な緑と街並みの景色が広がる...。

ここは8階。景色がいい物件で良かった。

西日も雰囲気があって夕日が綺麗だな!

と、一息ついて、カーテンを閉める...。

すると、カーテン越しに人影が...!

誰もいないはずなのに、おかしい...。

いや、何か影だろ?と思い、カーテンを開けるがベランダには誰もいない。

やはり思い過ごしで、ただの光の加減による錯覚かもしれないと思った。

その後カーテンを閉めたが、妙な人影は現れなかった...。

ほら〜、西日による錯覚じゃん...。

だが、次の日、また西日をバックに人影が立っている...。

カーテンを開けるが、いない...。

この現象は3日続いた...。

これは錯覚ではなく、明らかに人が立っているんだよな...。

流石にこの物件は、 " いわくつき " なんじゃないかと不動産屋を疑い、思わず押し掛けた。

「ここは新築だし、入居者はあなたが最初ですよ」

と答えをもらうも、これは何か隠していると疑いは拭えなかった。私は自分なりに調べたが、土地自体には全く問題はなかった...。

じゃぁ、アウトレットで買った物が原因...?

あれは民芸品って聞いていたけど、まさかそんな事って...?

まぁ、アウトレット品は出処が不明で、 " いわくつき " がある場合があるからな。

しかも、アウトレットといってもカーテンだけは、店ではなく、店の片隅に居た露店から買った物だから、余計に出処が怪しいと言えば怪しいんだけど...。

やはりカーテンしか考えられない...。

そんな確信に近い思いで部屋に戻ると、カーテンに何やらシミが浮き始めていた...。

柄物だったデザインは、ジワジワと時間を掛けて赤く血のような物で占領されていった。

驚いて気がつくと、急に目が覚めた...。

どうやら、夢を見ていたようで、帰宅後に疲れて寝てしまったみたいだ...。

だが、カーテン越しの人影は確かに見た...。

しかし、夢に出てきた赤いシミの現象には何かメッセージ的な物があると感じていた。

私は急いでカーテンを取り外すと、心霊の専門家に調査を依頼した。

調査は2、3日かかるため、おのずとカーテン無しの生活になってしまう...。

風呂上がりの恥ずかしい姿が向かいのビルから盗撮されないか不安ではあるが...。


その専門家は信憑性を確認するため、自らの家にカーテンを吊るす事で霊現象を確かめたらしい。

やがて私は調査結果の知らせを聞く事になる...。

冒頭にあった、遠い昔ある民族が民芸品を作る過程で生贄として血液を染料に混ぜたという事実を知る...。

専門家も私と同じで人影を目撃し、赤く染まる現象を目の当たりにしたそうだ...。

専門家は除霊が出来るとあって、最後にはしっかり供養してくれた。

そして幽霊と話をしたらしく、

その生贄は、好きで生贄にされたわけではないらしい。

祈りを捧げるために生贄にされる儀式は昔の習わしだが...。

だがその民族は、ランダムに生贄を選ぶ風習があるらしく、それには逆らえないのだ...。

断ることは神への冒涜だという言い伝えを守っているらしい。

現代では到底理解出来ない事だが、昔の風習は恐ろしかったのだ...。

選ばれた彼は、まだ青年で、近々結婚を予定していたらしい。

生贄には反対する村人もいた時代であったようだが、最終的に抗えず、彼は神に捧げられてしまったのだという。

その後、村は時代と共に消滅...。

原因は疫病らしい...。

村は失われても、彼の念は残っている...。

どういう流れか分からないが、時代を超えて現代に彼の念がカーテン布に宿って蘇ったという...。

これが専門家の見解であった。


もし専門家にお願いせずに、部屋にずっと吊るしていたら、霊現象は私を巻き込んでいたはず...。

華の女子大生生活を危うく迎えられなくなるとこだった。

後日、そんな出来事を忘れるかのように私は、街を散策したり、カフェを楽しんだりして時間過ごした。

入学式までは少し日にちがあった

から、あのアウトレット店に寄ってみることにした。

あの日、店の隅っこにあった露店は既に出払っていた。

偶然にも買ってしまったカーテン布について聞き出してやろうと思っていたのにな...。

まぁ、終わった事はもういいか!と諦めて、本来の店内を散策した。

すると、民芸品コーナーがあり、スカーフや民族の衣装などが売られていた。

私は民族系の布関連はトラウマになってしまい、買う事はなかった。

その脇には彫物人形があった...。

なんだか見た目が可愛らしくて、

つい買ってしまった...。

それが古代民族の祈祷品だとは知らずに...。

そもそも、彼女は少し霊感があるだけに心配だ...。

それを持ち帰った彼女に何も起きないことを願いたい。


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