表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/31

第17話 巫イチコ(3)

前回、第17話として投稿した話は、実は第19話として予定していた内容でした。

全く話が繋がらず、読者の皆様には混乱を与えてしまったことをお詫びしますm(__)m

ギラリと光を放つ刀をこちらに向けて構える祖父。

まさか、その刀で私を斬るつもりじゃないでしょうね?


「うっ……あああぁぁ!」


そんな心配が一瞬頭をよぎった瞬間、それまで感じていたぞわぞわした不快感が一層強くなり、私の身体から何かが抜け出したような気がした。


「きぃええ~~っ!」


その抜け出た『何か』に向けて、祖父が刀を振り上げる。

しかしその煙のような『何か』は、刀身を掻い潜るように物凄い勢いで部屋の隅まで飛んでいった。


「な……何なのよ、あれ……?」


部屋の隅に集まった煙みたいなものが、ゆっくりと人間のような形に変わっていく。

しかし人間より遥かに巨大で禍々しい姿だった。


「……あれはこの地に古くから棲み付いておる祟り神、平たく言えば悪霊じゃ」


悪霊!?

そんなベタなオカルト的存在が本当にいたの!?

っていうか、今その悪霊って私の身体から出てきたよね!?


「……話さねばならん事は山ほどある。じゃが……」


祖父が刀を構え直す。


「全ては奴を滅した後じゃ!」


鋭い眼光で見据える先には、真っ赤に光る眼(?)をこちらに向ける悪霊の姿。

獣のような低い唸り声を上げるそれは、今にも私達に襲い掛かろうとしているように見えた。


「イチコ、決してその結界から出るでないぞ。その中におれば奴はお主に手を出せん!」


祖父がそう言ったのを合図にしたかのように、悪霊が滑るように向かってきた。

祖父もそれを迎え撃つように突進する。


青白い閃光が走り、祖父と悪霊が交錯する。

一瞬、目前まで迫った悪霊の姿に思わず息を呑む。

しかし悪霊はすぐさま反転し、右腕を振り払うように祖父の背中へ追撃を加えた。


「ぐぅっ!」


祖父も身体を反転させてその攻撃を刀で受け止めようとしたが、衝撃を受けきれず弾き飛ばされた。


「おじいちゃん!」


部屋の中央付近に置かれた神鏡をなぎ倒して、祖父の身体が向かい側の壁に叩き付けられる。

耳を(つんざ)くような大きな音がして、壁に穴が開く。

それほどの勢いで壁に衝突した祖父の身体が無事であるはずがない。

私は最悪の事態も想像した。


「……心配はいらん。儂がこの程度でくたばるものか」


祖父の声がして、ひとまず私は安心した。

けれど祖父は壁に上半身を預けて、その場に座り込んだままだ。

頭から血も出てる……!


「げっげっげ。ようやくシャバに出られたわ。15年もこんな小娘の中に封じ込めおって」


聞くだけで不快になるようなダミ声で悪霊が笑った。

話が全く見えないけど、どうやらこの悪霊はずっと私の中にいたらしい。

こんな汚らわしいものと今まで一緒に暮らしてたなんて……っ!


「こんな可愛いピチピチの娘と一緒にいられたんじゃ。むしろ感謝してほしいわい。なんなら儂が代わってほしいくらいじゃ」


こんな時に冗談言ってる場合かエロジジイ!

いや、あの人のことだから本気かも……


「げっげ。ならば我の腹の中でいつまでも一緒にいさせてやろう。その後は今まで喰えなかった分、思う存分人間共を喰らいまくってくれる」


冗談じゃない!

こんな奴が外に出たら街は大パニックだ。

何とかしてよ、おじいちゃん!


「残念じゃが、貴様はここから出ることはできんぞ。貴様の力では決して破れぬ結界で覆われておるからな」


そうだ、確かこの拝殿の周りにも結界は張られている。

それならこの悪霊が外に出るはずが……

ん?

今、何か聞こえたような……


「うわぁ!」


派手な音を立てて木戸が打ち破られ、何者かが転がり込むように室内に飛び込んできた。


「痛って~……って、(かんなぎ)……?」


目の前まで転がってきたそれが、頭を押さえながら上体を起こす。

乱入者の正体は大和タケルだった。

なんでこんなとこにいるのよ、アンタ。


「……なんで水着?」


大和タケルがいやらしい目付きで私の身体を舐め回す。

自分が場違いで恥ずかしい恰好をしていることを思い出してしまった。

でもだからって、そんな眼で見なくてもいいじゃない。

これだから男って嫌いなのよ!


「そうね。その質問に答える義理はないし、とりあえず死んでくれる?」


なんでミサキはこんな男のことが好きなのかしら。


「なっ……なんだこいつ!?」


今さっき大和タケルが飛び込んできた木戸の方から、ベルの叫び声が聞こえた。

考えてみればこの男が1人でこんな所に来るはずがなかったわね。

ということは、まさか……


「……っ! 来ちゃ駄目! ミサキ!!」


ベルのすぐ後ろでミサキが驚愕の表情を浮かべて立ち竦んでいた。

もしこの悪霊がミサキの方へ行ったら……っ!


「イッチャン……!? これは一体……」


「いいから! 今すぐここから逃げなさい! アンタもよ、大和タケル!」


驚愕の光景に、大和タケルは固まってしまっている。

無理もないとは思うけど、そんなこと言ってる場合じゃないのよ!

男だったらミサキを守りなさい!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ