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もしもクエストボードが生えたなら  作者: 和の恵
クエストボード爆誕

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4/4

天使は神様を褒めてちぎって罵って

※このepラストに若干のBL要素を含みます。苦手な方はサラッと読んでいただくか、次のepへジャンプしてください。

『『『ごもっともです』』』


1Rのアパートに眩い光が溢れ出し、3人の天使が降臨する。


『ノア様、勝手にアークシステムを使わないでください』

『そうですよ、その上うまいこと言って林サマに運営させてるじゃないですかぁ!』

『サボってどこに行ってたんですかね~?わざわざ人間の器まで用意してこちらの感知を抜けようとなさってたみたいですけど~?』


は、はははと乾いた笑いを神が出し始める。


「待ってくれ、同時に喋るな。あと頼むからこれ以上脳に語り掛けてくるなら姿見せろ。頭が割れる…」


『あぁ!大変失礼いたしました!』




そう言ってようやく姿を見せた4人に、いよいよ異世界()みてきたなと思った。

(神様はさっきノア様と呼ばれていたか。ノアの方舟…アークシステムなんて言ってたな。確か旧約聖書の中じゃ人間の悪意が蔓延したことを憂いて大洪水を起こした神様だったか)


ノア様は白い上等そうな長い羽織を着た、長めのキレイな白髪が印象的な男性だった。俺よりも身長も高く、やはり神様ってやつは上等な見た目になるらしい。

(この姿で星とか語尾に付けちゃう系男子なの、やっぱキモイな…)

軽く心の中でディスっておいた。


他の3人の天使達は、見るからにふわふわと心地良さそうな羽毛がわさっと生えている大きな羽を持っていた。




「セム、ハム、ヤペテ。なんでもうここにいるかな~?まだこっちで説明の途中だったじゃない」


神様がわざとらしくぷんぷんと怒っていると、

「貴方のお守りは大変ですからね」

「そうそう、仕事は早いくせにすぐどっかに消えるし!」

「おサボりノア様、監視を撒くのも上手~」

と3人の天使が口々に反論する。


(こっちの天使サマはセム、ハム、ヤペテというのか…セムと呼ばれている天使サマはしっかりした口調で喋るな。ハムは褐色の肌に白銀の髪がとてもキレイ。ヤペテはおっとりと喋っているが、一番何考えてるかわからないタイプかもしれないな)

などど、4人のやり取りを脳内でされていない分、ゆっくりと観察することができた。




「そうだ、林サマ。この度はうちのサボり神が大変失礼をいたしました」

「もっとサボり神に文句言っていいんだよ!」

「このクエストボードなるシステムも面白いですね~」


クソ神が問い詰められているのを眺めていたら、突然一斉に話題がこちらに雪崩れ込んできた。


「あ~、神様にこの報酬ももらえることになったし、これから継続依頼ももらえたらなぁなんて話をしようと思っていたんですよ」


「それはいい!」

「もっと毟り取っちゃえ~」

「ボクはお酒とか良いと思う!」


天使2人が最後に言葉を紡いだハムへとざっと振り向く。


「お前、ノア様の前でよくそれ言えるな…」

「カナンがいたたまれないよ…」

「えー?だってノア様、いっぱいお酒持ってるじゃない~。1本くらいもらっておけば、ノア様も泥酔するまで飲まないんじゃないかなぁ?」


「ハム…お前なぁ…」


わなわなと握り拳を作る神様に、一抹の不安を感じた俺は、

「お、俺酒はあんまり飲めないんス!」

と割り込んだ。アパートを壊されては困る。


「そっかぁ、お酒飲めないなら違うものがいいね~!」

「「「「はぁ…」」」」


提案者以外が溜め息ともほっと一息を吐いたとも取れる声をあげた。




ーーーもぐもぐもぐ。


姿を現した神様達は食べ物を食べることができるらしく、俺が休みに作り置きしているおかずと一緒に軽く食べられるものを出すことにした。

これで先の空気感が消えてくれるといいが…


「これ美味しい!」

「林サマが作られたのですか?」

「いっぱいあるね~、ボクこれが好き~」


「あぁ、アーモンドフィッシュですか。それは俺が作ったやつじゃないですよ。友人が酒のつまみにって持ってきたものが大量に置いてあるんです」


「酒のつまみだと!?お酒もあるのかい!?」


「やたらお酒に食いつきますね…一応その時飲まなかったお酒ならあります」


神様がお酒好きなのは分かったが、さっきの異様な空気感はなんだったのだろう。後で調べてみるか…




「いや~、食べ物まで出してもらっちゃってすまないね~。それで、クエストボードの継続依頼についてだったかな?」


「そうです。俺としては今の仕事以外に稼げる副業がほしい。借金を返済しない限り、この小さい1Rで暮らすしかないんですよ」


こじんまりとした1Rに4人がひしめき合って丸テーブルを囲んでいる。

天使サマの羽もぶつかっているし、明らかに手狭な我が家だ。


「うーん、林サマの料理が定期的に食べられるなら、もっとお部屋が広いと我々も嬉しいですね」

「どうせならボクらで広いお家作っちゃおうか!」

「大神様に怒られない~?ボク、怒られるのは嫌だな~」


「我々で家を手配するのは違うだろう。林クン自らの手でそのあたりは調達してもらわないとね。人間に加担しすぎるのは大神様にも怒られるし、林クンの為にもならないよ」


(おぉ…!神様がもっともらしいことを言っている。さっきのでだいぶ奮発したから手持ちがないとか、そういうことじゃないよな?)


「俺としても、そんな大きな物をもらうのは怖いし、何より贈与税とかで結局お金を国に持っていかれますから。逆にありがた迷惑かもですね」


「ほらね。だから継続依頼を出すとしても、金銭での支援が欲しいってことなんだよね?」


「はい」


「それなら神クエとして役所に、林クンへの指名依頼を出しておけばいいんじゃないかな?継続依頼として1週間の内2日間役所前に来てもらい、クエストボードの使い方や困っていることを聞いたり解決したりする支援員なんてどうだろう?」


「あー、役所だと土日が休みだし、屋外でも書類があるわけじゃないからなんとかなるわけか…」


「そゆこと~♪本業が休みの時に来る形でさ、しばらくはクエストボードの使い方で悩む人間や、使用人口を増やしていくことが重要だと思うんだよね♪」


「そして人間の不幸値をコントロールできれば神様はサボれるってことなんですね?」


ギクッ


「はいはい。ノア様がサボれる環境を作るのは分かりきってますからね~」

「逆にサボってるって分かる方が世の為人の為…?」

「ボクらの為ではあるよね~」


「神様や天使サマ達には俺の後援になってもらうことで、仕事をちゃんとしてるってことにもなるんじゃないでしょうか?俺は継続的に金が入るし、神様の加護があるないに関わらずWIN-WINになれるのでは」


「ふむ、とっても良い形にまとまりそうだ。キミに話しかけてやっぱり正解だったよ~♪」


神は嬉しそうに酒を煽った。


「こうして酒も飲ませてもらえるしね♪」


やっぱクソ神だった。




「ではこれからも定期的に林サマとお話することになりそうですね。改めて、私は長男のセムと申します」

「あっ、ボクはハムだよ~!」

「そういえば名乗ってなかった~。ボクはヤペテ~。こう見えて次男なんだ~」


ここまで話してやっと名乗ってくれたか。

「ご存じかとは思いますが、俺は林健人はやし・けんとといいます。」


「ボクはノア!気軽に神様って崇めてくれ☆」


「だから星キモイですって」


「何回もキモイって…!ひどーい!!」


「男ばっかでむさ苦しいんですから、そういうのやめてください」


「え?女の人が良かった?それなら次は女性の体で顕現するよ~♪」


やっぱ神様って性別ないんだな。よく神話とかでもそういうけど。

とはいえ、これまでクソっぷりを出してきた神様が女神になったとしても、俺はときめかない自信があった。


「え、そんなに俺を気に入ってくれたんですか?いやだなぁ、男女の仲になんて悪魔と繋がっただけでも俺は穢れてるっていうのに、神様まで穢しちゃ悪いですよ~」


「あっ、浄化してあげるって話だったね!今脱いでくれる?」


(は?このクソ神、身ぐるみ剝ぐ気か…!?)


「安心してね☆ボク人間を食べる趣味はないんだ~…♪」


「耳元で囁くな!!」


「WA☆ZA☆TO」


「知っとるわ!!!!」


男らしくスパーンと脱ぎ捨てた俺の体を神と天使がまじまじと見てくる。


「うわぁ…着痩せするタイプってよく言われません…?」

「筋肉ムッキムキだぁ♪」

「ノア様食べるんじゃなく食べられちゃう~」


「う、うわぁ…た、確かにムキムキだけどぉ…ボクだってまだそっちの経験は…」


ぽっ


「やめろ…男に頬を染められても嬉しかねぇ…きしょい」


「またきしょいってぇ!!いいから背中向けて!!!」


はいはい、と軽口を叩きながら神に背中を向ける。

これって背信行為じゃないよな?後から何にも言われたりしない?

そんな一抹の不安をよそに、背中に柔らかい感触がそっと触れた。


(な、なんだ!何が触れてるんだ…?なんかじんわりと温かいな。クソ神とはいえ、やっぱキレイだからドキドキすんのか…?いや、つーかこの触れてる柔らかい物はなんだ…!あー、もう!)

ドキドキと胸打つ鼓動が怖すぎて目を瞑っていた俺に、光がぽうっと差し込んだ。


「はい、これで完了♪」


「浄化するのにいちいち唇を合わせないといけないんですかぁ?」

「慈しみのある素敵な横顔だったね…!」

「ノア様キレイだった~。筋肉に口づけっていいね~」


顔が熱くなるのがわかった。

「く、くちび…!」

服を回収しながら神から後退る。


「すごかった…♪」


ほうっと赤ら顔で満足そうに微笑む神は煽情的で、男なのに妙にセクシーすぎた。


「からかってすみませんでした…」


これは先ほど女神になれると言った神を煽ったツケだ。というかまんまとやり返された。

謝ったことで神も赦したのか、いつも通りの表情に戻る。


「ボクは林クンとなら構わないよ…?男なのがダメっていうなら女になってあげるってば♪」


「勘弁してください…もういいです…」




悪魔の次に神様、果ては天使に目を付けられた俺は、性的にも若干狙われているのではと逡巡して悪寒を体中に走らせた。

鳥肌を見て神が微笑む。


「これからよろしくね、下僕クン♪」


まさかのBL展開、いや神様が女神になればワンチャン…?そんな未来は訪れないでしょう。きっと。メイビー。

安心してください。よくある中性的なキャラが男性的なキャラに過度なスキンシップを取っただけですよ、HAHA。


それはそうと、神様に続いて天使サマが出てきました。

ノアの方舟に登場する、最初の人類「セム、ハム、ヤペテ」です。話し方でなんとなく誰が話しているのか分かるようにしています。「カナン」という人物についても後ほど出てきます。

あとでこの辺りの旧約聖書内でのお話もまとめておきましょうかね。

登場人物が出揃ったらまとめます!

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