二十五章 タカルへの勲章
ウリズンに足を刺され、しばらく王宮の客間に住むことになったタカル。
荷物も管理され、シュガーホールとしてのノートも調べられました。
そしてタカルの物書きとしての才能が、ついに王様に報告されました。
王様が特に気に入ったのは、姫キリシアが夢見で見たマジックペンの話でした。
題名『チャロ・フクロウゲン』
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チャロという少年がいた。
家の手伝いで、とある彫師の一家と親しくなった。
そこには、八歳でもう腕にイレズミの入った娘チエリがいる。
「入れないの?」
「母が、イレズミを怖がるんだよ」
「じゃあ、しょうがないわね」
―――・・・十年後。
家の後継ぎになったチャロは、背中に湿布を貼って彫師の家に行った。
彫師として働きはじめたチエリに、湿布をはがして欲しいという。
はがれて見えたのは、「I❤YOU]の文字。
「君にささぐ」
「ふざっけんな。長年のよしみだと思ってたのに、誰に彫らせたっ?」
「違う違う。母の件で入れてない。これ、マジックペンだよ」
「え」
「僕と結婚してほしい」
「うん、わかった。それでいい」
そんなこんなで、ふたりは結ばれた。
―――・・・ある日、風邪をこじらせた妻のチエリが
どうも気になるとうながすので、台風でも来るのかと冗談めかしてみて、
チャロは娘のアケサトと実家に行った。
実家には強盗がいて、家宝はどこだと聞かれた。
『薬草』だと言っても理解はなかった。
チャロはマジックペンと湿布を見つけ、危険を知らせるすべを思いついた。
―――・・・どうにかアケサトが彫師の家に帰って来る。
まだ幼いそのこは、背中に湿布をしていた。
湿布が効き目を発揮して、子供にはつらいのか「背中が痛いよ」と泣いている。
そして母のチエリが湿布をはがしてみると、「Ⅰ❤YOU」の文字。
娘の証言で警察がチャロの実家へと向かう。
見事強盗は捕まり、留守にしていた両親も無事、
そしてチエリの不思議な力は認められて、二人目がお腹にいることが分かった。
無事に帰って来たチャロは、それからも幸せに暮らしましたとさ。
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他のお話もたいそう気に入った王様は、タカルに本の出版のご褒美を用意。
そして、今までのタカルの功績を知り、勲章をあげました。
ピカピカの金のメダルを渡されて、客間のベッドでながめているタカル。
「認められたんだぁ・・・」
メダルには、「シュガーホールことタカル・ファ・グライス」と記してあります。
タカルは嬉しさに、亡くなったもうひとりのタカルをしのんで泣きました。
世話係たちがその様子を見て、小さく何度もうなずいてタカルを認めました。
タカルの本が出版される準備が行われている中、キリシアの部屋にて。
姫の居住区を『紗塔:しゃとう』と言って、ダリアンが紗塔の局です。
「ねぇ、ダリアン、ミーミルチョコレートのお風呂なんてどうかしら?
タカルは気に入るかしら?」
「姫、お話したいことが」
「なぁに?」
「タカル様の言っていた奇特な者との結婚について、予備事項です」
「なにかしら?」
「運命のひとの子供を産むと治るんだそうです」
ぱちくりとまばたきをするキリシア。
「かまわないわ。タカルとなら」
「御意・・・ウリズンへの処罰についてはいかがいたしましょう?」
「そうだわ、タカルと対面したいわ」
「ほう。その件で?」
「そう。結婚前に。はしたないかしら?」
「いいえ、ダリアンはそうは思いませんよ」
「じゃあ、タカルに都合を聞いておいて?「あなた」って呼んでもいいかのことよ」
「御意」
泣き疲れていたタカルは眠りにつきそうでした。
そこに、姫との結婚の話が出てきます。
タカルは眠りにつく前に、ぼやきました。
「『あなた』って言う、作品を思いついた・・・あとでメモしておこう」
世話係が聞きます。
「結婚の件は?」
「それでいいです・・・」
タカルは重くなったまぶたを閉じて、そして数秒後には眠りにつきました。
世話係たちが、睡眠剤の効き目が強かったのかね、と相談します。
眠る時間指定の前にちゃんと飲ませたんだから我々に非はない、とひとりが言います。
それでいいです、って返事は、姫が誤解するかもしれないなぁと、もうひとり。
そのまま報告したほうがいいだろう、と別の者。
まぁそれでいいのだろう、と言って、世話係たちはタカルに毛布をかぶせます。
タカルは寝言で、「お気遣いありがとう」とぼやきました。




