表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月花蜜水夜 ペリドティ・アルーア  作者: タカル・ファ・グライス
29/31

二十五章 タカルへの勲章


 ウリズンに足を刺され、しばらく王宮の客間に住むことになったタカル。


 荷物も管理され、シュガーホールとしてのノートも調べられました。


 そしてタカルの物書きとしての才能が、ついに王様に報告されました。


 王様が特に気に入ったのは、姫キリシアが夢見で見たマジックペンの話でした。


 題名『チャロ・フクロウゲン』


 ==========


 チャロという少年がいた。


 家の手伝いで、とある彫師の一家と親しくなった。


 そこには、八歳でもう腕にイレズミの入った娘チエリがいる。


「入れないの?」


「母が、イレズミを怖がるんだよ」

  

「じゃあ、しょうがないわね」


 ―――・・・十年後。


 家の後継ぎになったチャロは、背中に湿布を貼って彫師の家に行った。


 彫師として働きはじめたチエリに、湿布をはがして欲しいという。


 はがれて見えたのは、「I❤YOU]の文字。


「君にささぐ」


「ふざっけんな。長年のよしみだと思ってたのに、誰に彫らせたっ?」


「違う違う。母の件で入れてない。これ、マジックペンだよ」


「え」

  

「僕と結婚してほしい」


「うん、わかった。それでいい」


 そんなこんなで、ふたりは結ばれた。


 ―――・・・ある日、風邪をこじらせた妻のチエリが


 どうも気になるとうながすので、台風でも来るのかと冗談めかしてみて、


 チャロは娘のアケサトと実家に行った。


 実家には強盗がいて、家宝はどこだと聞かれた。


 『薬草』だと言っても理解はなかった。


 チャロはマジックペンと湿布を見つけ、危険を知らせるすべを思いついた。


 ―――・・・どうにかアケサトが彫師の家に帰って来る。


 まだ幼いそのこは、背中に湿布をしていた。


 湿布が効き目を発揮して、子供にはつらいのか「背中が痛いよ」と泣いている。


 そして母のチエリが湿布をはがしてみると、「Ⅰ❤YOU」の文字。


 娘の証言で警察がチャロの実家へと向かう。


 見事強盗は捕まり、留守にしていた両親も無事、


 そしてチエリの不思議な力は認められて、二人目がお腹にいることが分かった。


 無事に帰って来たチャロは、それからも幸せに暮らしましたとさ。


 ==========


 他のお話もたいそう気に入った王様は、タカルに本の出版のご褒美を用意。


 そして、今までのタカルの功績を知り、勲章をあげました。


 ピカピカの金のメダルを渡されて、客間のベッドでながめているタカル。


「認められたんだぁ・・・」


 メダルには、「シュガーホールことタカル・ファ・グライス」と記してあります。


 タカルは嬉しさに、亡くなったもうひとりのタカルをしのんで泣きました。


 世話係たちがその様子を見て、小さく何度もうなずいてタカルを認めました。


 

 タカルの本が出版される準備が行われている中、キリシアの部屋にて。


 姫の居住区を『紗塔:しゃとう』と言って、ダリアンが紗塔の局です。


 

「ねぇ、ダリアン、ミーミルチョコレートのお風呂なんてどうかしら?


 タカルは気に入るかしら?」


「姫、お話したいことが」


「なぁに?」


「タカル様の言っていた奇特な者との結婚について、予備事項です」


「なにかしら?」


「運命のひとの子供を産むと治るんだそうです」


 ぱちくりとまばたきをするキリシア。


「かまわないわ。タカルとなら」


「御意・・・ウリズンへの処罰についてはいかがいたしましょう?」


「そうだわ、タカルと対面したいわ」


「ほう。その件で?」


「そう。結婚前に。はしたないかしら?」


「いいえ、ダリアンはそうは思いませんよ」


「じゃあ、タカルに都合を聞いておいて?「あなた」って呼んでもいいかのことよ」


「御意」


 泣き疲れていたタカルは眠りにつきそうでした。


 そこに、姫との結婚の話が出てきます。


 タカルは眠りにつく前に、ぼやきました。


「『あなた』って言う、作品を思いついた・・・あとでメモしておこう」


 世話係が聞きます。


「結婚の件は?」


「それでいいです・・・」


 タカルは重くなったまぶたを閉じて、そして数秒後には眠りにつきました。



 世話係たちが、睡眠剤の効き目が強かったのかね、と相談します。


 眠る時間指定の前にちゃんと飲ませたんだから我々に非はない、とひとりが言います。


 それでいいです、って返事は、姫が誤解するかもしれないなぁと、もうひとり。


 そのまま報告したほうがいいだろう、と別の者。


 まぁそれでいいのだろう、と言って、世話係たちはタカルに毛布をかぶせます。


 タカルは寝言で、「お気遣いありがとう」とぼやきました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ