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逃亡

 東京 新宿 歌舞伎町

 2027年7月9日


「ハァ…ハァ…」


 ビルとビルの狭い間を、一人の少年が息苦しそうに通る。そして、やっとの事で抜け出した。そこは、明るい繁華街《はんかがい》

 少年は膝に手を当て、下を向く。冷や汗を流し、酷く息切れていた。


「ここまで…くればっ……」


 そして、少年はその場で倒れた。通行人は足を止め、一人がスマホで電話をかける。


 歌舞伎町に、救急車の音が響き渡った…


 2027年7月7日水曜日 七夕


 門のある大きな学校に、多くの生徒が登校している。ここは、中高一貫校。

 

 《生徒会》と堂々と書かれた襷《たすき》をかけた5人の男女が、門の前に立っている。そして、登校する生徒達に向かって、大きな声で挨拶をする。


「「おはようございます!!!」」


「お、おはようございます…」


 登校する生徒の中に、あの少年は居た。

 少年の名前は藤宮《ふじみや》 昴《すばる》


 少し嫌そうな顔をしながらも挨拶を返して、少し早足になり門を通る。


昴(生徒会は入りたくねぇな俺は)


 昴は玄関で靴を脱ぎ、階段をゆっくり登りながら、教室へ向かった。


 昼休み 中学3年生A教室


 昴は、一人の男子生徒に近寄る。そして、声をかけた。

 

昴「意刄木《いばき》〜」


 昴は明らかに嫌そうな顔をしながら、意刄木の肩に自分の腕を置いた。


意刄木「どうした昴〜。あ、さては次が体育でリレーだからだろ」


昴「そうだよ〜」


 昴が声をかけたのは浦岬《うろみし》 意刄木。

 昴とは幼馴染で、同じクラス。父親と母親が有名な研究者で、そこそこ裕福らしい。


 意刄木は昴の手を肩から避けて、昴の手に、昴の好きなお汁粉缶《おしるこかん》を握らせた。


意刄木「これ飲んで頑張るぞ。」


昴「意刄木〜。お前ほんといい奴だな」


 昴はお汁粉缶を空け、一気に飲み干した。


昴「よし、頑張るか」


 昴はお汁粉缶を、校内の自動販売機横のアルミ缶用のゴミ箱に捨てた。


意刄木「お前、昔からバトンパス苦手だからな。お前の姉ちゃん陸上部なんだから、教えてもらえやいいのに」


昴「あいつ教えてくれないんだよ。俺が足だけは速いからって理由でね。羨ましいんだろうねw」


意刄木「おいおい、ここ中高一貫校だぞ?姉ちゃん高校生で隣の校舎だからと言って、いつ聞かれてるか…」


昴「ないない。ただでさえ人の話聞かないから」


 昴は顔の前で手のひらを振って、軽く笑った。


 放課後 昴の帰り道


 昴は、一人の女子高校生と喋りながら下校していた。


女子高校生「結局、リレーはバトンパス失敗して終わったの?」


昴「どうしても苦手なんだって。そろそろ、バトンパスのやり方教えてくれよ、姉ちゃん」


 女子高校生の名前は藤宮 真那《まな》。昴の姉で、高校2年生。


真那「嫌だね〜。だって、お前足だけは速いじゃん」


昴「陸上部でしょ姉ちゃんわ〜。まあ文化部の俺の方が足速いけど」


真那「黙れ」


 そう会話している間に、二人は家の玄関前まで来ていた。そして、昴が前に行き、玄関のドアを開ける。


昴 「ただいまー」


真那「ただいま〜」


母「おかえり昴、真那」


 玄関からまっすぐ行って、右に曲がったところにあるキッチンには、昴と真那の母 藤宮 津島《つしみ》が居た。


 昴と真那は白い学校用の靴を脱いで、スリッパを履いて二階へ行くために、正面の階段を使って上がっていく。そして、手前の部屋に真那が入り、その隣の部屋に昴が入る。それぞれの自分の部屋だ。

 

 昴は部屋に入ると、部屋の電気をつけ、肩にかけていたバッグを部屋の隅にある机の横に下ろし、机の上のスマホを手に取る。そして、ベットに横になって、スマホのパスワードを入れて、動画を見始めた。


昴「…疲れたなぁ……」


 昴はすぐに起き上がり、スマホを机の上に置く。そして、バッグから宿題を取り出し、机の上に積む。


昴「今日も多いな…」


 すると、下の階から声が聞こえた。


津島「二人とも〜。ご飯できたよ〜」


昴「はーい。今行くー」


真那「私は後でいいやー」


 昴は部屋の電気を消して、部屋を出る。そして、下の階に降りる。


 キッチンの奥にある四人用の机に、四つの椅子の前にはそれぞれの箸が置かれている。昴は座る。すると、津島がご飯と唐揚げを持ってきて、味噌汁とサラダを取りに戻る。


 そして、4品が昴の前に置かれると、昴は手を合わせる。


昴「いただきます。」


 すると、「ただいま」と、男の人の声が聞こえた。


津島「おかえり、あなた」


昴「おかえり父さん。」

 

 帰ってきたのは、昴と真那の父で、津島の夫 藤宮 近侍《きんじ》。サラリーマンで、電車で2時間の会社に朝早くから起きて仕事に行っている。


 近侍は昴の隣の席に座り、椅子の下にカバンを置いた。


近侍「ご飯、もうもらって良いか?」


津島「もちろん良いですよ」


 津島は、昴に出した物と同じものを、近侍の前に置いた。


 そして、昴は津島にご飯茶碗を差し出す。


昴「母さん、おかわり!」


津島「はい、分かりましたよ〜」


 津島は器をもらい、ご飯をさっきより多めに盛る。


 俺は、普通の生活を送っている。辛いこともあるけど、幸せだ。でも…そう実感するのは…幸せがなくなる直前だ。もしくは、無くなった後かも知れない…


昴「ふ〜」


 自分の部屋の窓を開け、夜風吹かれながら、昴は宿題を進める。


昴(今日は七夕か……)


 ここは、東京の都市からは少し離れている。だから、窓を覗くと、遠くの方が明るく光っているのがよく分かる。暗いところだから、より目立つのだ。


昴(願い事って言っても、そんな思いつかないな〜あるとしたら、あの光ってる都市に、行ってみたいかな〜……)


 その時、スマホの通知音が鳴る。


昴「お、《カイ》からだ。」


 カイとは、昴のやっているスマホのオンラインゲームでの、ネット友達だ。「チーム戦したいから参加してくれと」きたのだ。


昴「ま、宿題は朝でもできるからな。」


 昴はペンを起き、スマホのアプリを開く。そして、イヤホンをつける。


 すると、ゲームでのオンライン通話が始まった。


昴「今日はどのレベル?」


カイ「あ〜、ワンセルフレベルだ。武器はなるべく強い奴な。なるべく死ぬのを回避して勝ちたい。今死ぬと、チームでの無傷連勝記録の月間が途切れるからな」


昴「はいはい。あ、他のチームメイトは?四人チームだろ?ワンセルフなら」


カイ「newメンバーだ。ゲヒルフェって奴と、アリエって奴だ。ロジカルが得意な2人だから、俺らは基本的攻撃役だ」


昴「オッケー。」


 そして、ゲームが始まる。対戦系のゲームで、昴のアバターとカイのアバターがライフルを持つ。カイはすぐに敵を見つけ、姿勢を低くし乱射する。新しく入った2人は、物を倒して相手の邪魔をして、昴はその隙に敵をやっつける。時間はあっという間に過ぎて、0時を過ぎた。


昴「ヤッベ。カイ、ゲヒルフェ、アリエ、次ラストでいい?」


カイ「もう遅いもんな。」


 ゲヒルフェとアリエからは、チャット欄でグッドマークが送られてきた。その後、チェンジマークと、Bと2人から送られる。

             

昴「?」


 昴は不思議に思い、聞くことにした。


昴「なにこれ?」


カイ「明日から、メンバー変わるってさ。ゲヒルフェが用事でしばらくできないから、代わりのB?って奴を入れてって」


昴「なんだ、そう言うことね。」

 

 そして、またゲームが始まる。数十分後、昴はスマホを机に置き、眠りについた…


 2日後 2027年7月9日 朝


昴「意刄木おはよ〜」


 昴は教室に入って、椅子に座る意刄木に声をかける。意刄木の顔色は、少し悪かった。


意刄木「あ、昴、おはよう」


昴「どうした?体調悪いのか?」


意刄木「ちょっとね。でも大したことはないよ…」


 意刄木は立ち上がって、教室を出る。


昴「意刄木?」


意刄木「ちょっとトイレに行ってくるだけだよ。」


 しかし…意刄木がこの後、教室に戻ってくることは、無かった……


 一限目後の休み時間、担任の先生が教室に入ってきて、教卓の前に立つ。


先生「えー、意刄木さんですが、体調不良で早退しました。」


昴(やっぱ限界だったんじゃん。)


 校門前には、黒い車が止まっていて、後部座席に意刄木が乗る。


 意刄木は、運転席に座る、黒いフードを被った男に話しかける。


意刄木「上手く早退できました。」


黒いフードの男「当然だ。今日は、奴の捕獲の日だ。覚悟はついているな。今日の為に…」


意刄木「分かってますって!!!!……」


 意刄木は声を荒げた後、黙った。


昴「って事があってさ〜」


 下校時間、いつも通り昴は真那と下校していた。


真那「隠すもんだよ、仲良い人には余計にね。具合が悪いって、言いにくいよ〜。風邪引いた事がないあんたには、分からないか」


昴「俺、異常に健康だよね。怪我してもすぐ治るし」


真那「そうね〜。ゾンビだったりw」


昴「ないない。ゾンビだったら、姉ちゃんもゾンビにするぞ」


真那「あ〜怖い怖い。」


 そう言いながら下校し、いつも通り家に着いた。


津島「おかえり2人とも」


昴「ただいま母さん。」


真那「今日は私も早く食べるわ。明日友達と遊びに行くから」

 

津島「あら、聞いてないわよ?」


真那「大丈夫。友達の親が送ってくれるから」


津島「あらそう。お礼言うのよ」


 昴は2階へ上がり、真那はそのままキッチンの奥の椅子に座る。すると、津島がコンロの火を止める。それと同時に、近侍も帰ってきた。


近侍「ただいま〜」


真那「おかえりオヤジ〜。」


近侍「お、真那が早く食べるなんて珍しいじゃないか」


真那「明日早起きだからね〜。」


 

「……バタンッ」


 外から、車の扉が閉まる音が何回か聞こえた。


近侍「ん?荷物か?」


 近侍が玄関に向かおうとしたその時、急に玄関の扉が勢いよく開き、黒いフードを軽く被った男女5人が、ナイフを持って侵入してきた。


近侍「!?真那!!津島!!昴!!逃げ…」


 すると、カチャッという音が、キッチンの奥の方から聞こえた。


 そして、黒いフードを被った男女2人は近侍にナイフを突きつけ、1人は近侍を床に倒す。そして、近侍の上に乗って、動きを封じた。残り2人は、キッチンの奥に向かう。


津島「ご苦労様」


 そこには、拳銃を持ち、座ってる真那の頭に銃を突きつける津島が居た。真那は、今にも泣き出しそうになりながら両手を上げる。その手は、酷く震えていた。


真那「お…お父さん……」


津島「この子も取り押さえて。暴れないように」


 男女2人は椅子を倒して、1人は真那にナイフを突きつける。1人は真那の上に乗り、動かないようにする。真那は、恐怖で声が出なかった。


近侍「津島!!!お前何をしt……」


 すると、津島が銃口を近侍に向け、引き金を引く。


「バンッ」


 銃弾は、近侍の頬を掠った。


津島「黙ってくれる?」


近侍「っ!?……」


 近侍は冷や汗をかく。そして、なんとか動こうとするも、ナイフが首のスレスレにある。そして、上に人が乗っていて、上手い事動けない。


 その頃、昴


昴(何の音だ!?さっき父さんもなんか叫んでたし…)


 昴は部屋の電気を消さず、扉を開けたまま飛び出て、階段の途中まで降りる。


昴「え…」


 その視界に映ったのは。3人の男女に取り押さえられる父 近侍 2人の男女に取り押さえられる姉 真那 そして、拳銃を持った母 津島だった。


 そして、津島は銃口を昴に向ける。昴は、両手を上げた。


昴「母さん??」


津島「昴、よく聞いて。」


 津島はそう言って、引き金を引いた。


近侍「やめろぉぉ!!」


「バンッ」


 銃弾は昴の頭に直撃した。頭から出血しながら、昴は階段から転がり落ちて、倒れる。


真那「きゃあああ!!」


津島「うるさい黙れ!!」


 津島は真那の真横に発泡する。真那は、大量の冷や汗をかき、涙を流した。


真那「何で…お母さん……」


 昴の頭から血が流れる。


昴(うわあああぁ!!)


 昴は、とんでもないほどの激痛に襲われる。気絶はしていてもいい。しかし、何故か意識は保たれる。


昴(痛い…苦しい…)


 その時、昴の頭の出血は止まった。痛みも、段々引いていく…


昴「……え??」


 昴は、ゆっくりと立ち上がる。そして、銃弾が当たった辺りを焦って触る。しかし、傷口すらも、もう無かった。


昴「なん…で…」


 すると、津島は笑みを浮かべる。


津島「昴、あなたは、不死身の人間なの。」


昴「…は?」


 津島はゆっくりと、昴に近づく。昴は後退りする。しかし、何かクラッとした。


津島「ごめんね、隠してて。私ね、お金が欲しいの。だから、昴。分かるよね」


 昴は、冷や汗を流す。


津島「私、あなたを売ろうと思うの。ある研究チームが、貴方を欲しがってるのよ。1兆円で」


 津島は銃に、銃弾を入れる。


津島「これで、少し眠ってて」


 津島は、銃口を再び昴に向けた。そして、引き金を引く。


近侍「っ!!」


 その時、近侍が動いた。上に乗る男を無理やり振り落とし、首が少し切られながらも、横から津島を倒す。それと同時に発砲され、銃弾はギリギリで昴に当たらなかった。


近侍「逃げろ昴!!」


 その言葉に反応し、咄嗟に昴は階段を駆け上がる。そして、少し後ろを振り向いてしまった…


昴「!!」


 昴の視界には、ナイフで背中を刺され、血を流しながら倒れる近侍の姿があった。


真那「立ち止まらないで昴!!」


 昴は少し立ち止まったが、真那がそう言って、また走り出す。


 昴は自分の部屋に入り、鍵を閉める。しかし、ドアが強く叩かれ、今にも壊れそうだ。


 そんな時、視界に自分で開けた部屋の窓が目に入る。


「バンッ」


 部屋の扉がこじ開けられ、ナイフの持った男2人が入ってくる。昴は、スマホだけポケットに入れ、窓から飛び降りた。


「ドサッ」


昴「っ!!」


 骨が折れる。痛い。それでも、動く。痛みは薄れていく。


 家の柵をよじ登って超えて、昴は必死に走り出す。恐怖と絶望で、心は折れていた。それでも、逃げていた。


 息を切らし、必死に明るい町の方へ


「待て!!」


 黒いパーカーを被った男女3人が追ってくる。足の速さは、同格だった。


昴「ハッ…ハッ…」


 昴は、自分の小柄な体型を活かし、ひたすら狭いところを使って逃げる。男女は二手に分かれて、先回りをしようとしていた。


昴(なるべく早く…早く!!)


 狭い隙間の先に、やっと光が少し見えた。


昴(もうすぐ…)


 その時、人影が光を絶った。後ろの方からも、誰が来ている。


 昴は、挟み撃ちに遭った。


昴(クソ…クソ!!!)


 迫ってくる人影の手の辺りが、銀色にギラッと光った。ナイフだ。


昴(もう…やるしかない)


昴「うわああ!!」


 昴は、狭い隙間を抜ける。そして、待ち構えていた2人は、昴の首にナイフを突きつける。昴は、1人のフードを被った男の手首を掴み、捻る。


「グワッ!」


 1人がナイフを落とす。それを昴がすぐに拾おうとする。が…


「ザシュッ」


昴「あ”あ”!!」


 もう1人の女に首を深く切られ、昴はそこを抑えてうずくまる。そして、後ろから1人のナイフを持った男が出てきた。


昴(痛い 苦しい 辛い 死にそう もう…死んだ方が楽だ…)


 しかし、傷は治り、痛みも徐々に引く。昴はナイフを拾い、自分の首を切った女の足を切りつけた。そして、バランスを崩したところを見極め、足をかけて、転ばす。


昴「うわあああ!!!」


 昴は、その女の喉を突き刺した。


 そして、男たちに背中を刺される。それでも、昴はそのナイフで、2人の男の喉も切り裂いた。


「まて!す…」


「ザシュッ」


 少しの顔に、赤い液体が飛び散る。


「ザアアァァッ」


 土砂降りの中、昴はひたすら、光の方へ歩く。狭いビルとビルの間を通りながら、雨で返り血や、自分の血も流れる。そして、ビルとビルの間を抜けた。


 出たと同時に、雨が止む。そこは、歌舞伎町の繁華街だった。


「ハァ…ハァ…」


 膝に手をつき、顔を下に向ける。冷や汗と雨水が地面に落ち、息は酷く切れていた。


「ここまで…くれば……」


 すると、全身の力が抜け、昴はその場で倒れた。


「え?」


 通行人が足を止め、昴に声をかける。反応は無い。


「大丈夫ですか!!誰か!!救急車!!!」


 明るい歌舞伎町の繁華街に、救急車のサイレンが響き渡った…



昴「……」


 昴は、病院のベットで寝ていた。その病室に誰かが入ってきて、昴は目を覚ます。


昴「うぅ……っ!?」


 昴が寝ているベットの隣に、誰かが座る。


 その座った人物は…


津島「大丈夫!?昴!!心配したのよ!?」


昴(なんで…ここに……)


 すると、昴を治療した医師が病室に入ってきた。


医師「過度なストレスが原因ですね。もしかしたら、精神が不安定な可能性がありますので、様子を見ててあげて下さい。お母様」


津島「はい。わざわざ連絡をしてくださり、ありがとうございます」


 本日 2027年7月12日


 3日前 


 医師は、気絶している昴を診断する。そして、心身に強烈なストレスがかかっているという事を、診断書に記した。


医師(これでよし…)


 すると、医師はすぐに津島に連絡する。実は、津島の職場は、この病院だった。


津島「昴が搬送!?すぐに行きます!」


 そして津島は、この病院に来ていた。


 時は、現在に戻る。


昴(まさか…あれは夢??そうだ、夢だ。夢だ夢だ夢だ)


津島「夢じゃないわよ」


 その時、津島が口を開いた。


津島「部下を3人も殺したわね。あなたは、大犯罪者になったのよ」


昴「黙れ!!」


 昴はベットから起き上がり、津島の胸ぐらを掴む。


昴「よくも父さんを…姉ちゃんはどうした!!」


 その時、津島は病室のテレビをつけた。そのチャンネルでは、Newsが放送されていた。


アナウンサー「速報です。東京都富島区の家で、男女2人が死亡されているのが確認されました。」


 そこで映し出されたのは、昴の家だった。


昴「男女…2人………死亡…」


 昴の手から、力が抜ける。津島はテレビを消し、立ち上がる。


津島「さて、不死身の昴。君がこれからどうなるか、分かるわね?」


昴「…なんで俺は、不死身なんだ…何で母さんは……いや、お前は……」


 昴は、津島を睨みつける。その時、病室に黒いフードを被った男女10人が入ってきた。


津島「さ、連れてくわよ」


 すると、昴はベットから素早く降りる。そして、津島を殴る。


津島「!?」


昴「これじゃすまないからな…」


 昴は、黒いフードを被った男女に取り押さえられる。その時…


「バタン」


 病室の扉が開く。そして、数十人の警察官が拳銃を取り出して、入ってきた。


津島「は…」


 黒いフードを被った男女は、警察官に取り押さえられる。そして、1人の警官が津島に近づき、手錠をかける。


警察官「藤宮 津島。殺人の容疑及び、銃刀法違反の疑いで、お前を逮捕する。」


 警察官は、津島に手錠をかけた。すると、昴を診察した、あの医師が入ってきた。


医師「津島さん。やっぱり私に悪巧みは無理です。」


津島「悪巧み??何のこ…」


警察官「事件についても、この医師が通報してくれました。詳しいことは、署で説明します。」


津島「…誰が通報したの」


 すると、警察官は医師にも手錠をつける。医師は何も抵抗しなかった。


警察官「そして貴方は、事件に大きく関与した疑い…いや、貴方は自首しましたね。電話で。そして、昴さんの診断書を偽った虚偽……」


医師「はい。昴君の診断を、偽りました。理由は、署の方で話します。」


警察官「…分かりました。」


 黒いパーカーを着た男女にも手錠がつけられる。

 すると、医師が手錠をしたまま、昴に近づいて来た。


医師「昴君、君を巻き込んですまなかった。私は、津島の仲間だったんだ。だから、君が不死身という事も知っている」


昴「え?……」


 そして、医師は紙切れを渡して、連行されて行った。そして、残った1人の警官が、昴に話しかける。


警察官「昴君。君の家で、人が殺されてしまった。」


昴「知ってます。父と姉ですよね」


警察官「それなんだが…さっき、DNAの検査結果から、死亡した男女は、君の親族では無いと分かった。」


 その時、昴は目を大きく開く。


昴「じゃ、父さんと姉ちゃんは!!」


警察官「それが、君の家には、亡くなった2人の遺体しか残っていなかった。君のお父さんとお姉さんは、居なかったんだよ……」


 すると、昴は立ち上がり、病室を出ようとする。


警察官「昴君!?」


昴「探しに行きます。」


 すると、警察官は昴を止めた。


警察官「少し待ってくれ。君の本当の診断結果は、正常だ。病院も、今流行っている感染症で多くの患者を迎えなくてはいけないらしい。この事件の捜査のため、君は家に入れない。それについて、君の通う学校から、学校に泊まって良いと許可が出た。」


昴「そうですか…でも、学校に行く前に、父さんと姉ちゃんを探しに…」


警察官「それは私達警察に任せてください。昴君は、あまり触れない方がいい。君のお父さんとお姉さんは、必ず見つける」


 昴は少し考えた。すぐにでも探しに行きたい。でも、気力が持ちそうに無い。


昴「分かりました。学校に行って、少しは心を落ち着かせます。」


警察官「じゃあ、学校まで送ります。」


 昴はパトカーに乗り、いつも通っていた学校に来た。


警察官「一応、君の部屋にあったバッグは持って来ました。色々調べて、事件との関連は0%だったので」


 警察官は後部座席から、昴のバッグを前に持って来て、パトカーから降りる昴に渡す。


昴「ありがとうございます」


 昴はお辞儀をした。パトカーは、そのまま昴の家の方面へ走って行った。


 場所 校長室


 校長室に昴が入る。大きな椅子には、髪の毛が無い少し太った校長先生が堂々と座っていた。


校長先生「大変な事になっているね昴君。事情は警察などから聞いています。寝場所は保健室で、ご飯は購買で無料で提供しますので」


昴「ありがとうございます、こんな対応してくれて」


校長先生「当然だ。君も、我が校の生徒だ」


 昴は校長室を出て、廊下をトボトボと歩く。その時、意刄木が話しかけて来た。


意刄木「昴、大丈夫か?」


昴「意刄木!もう風邪治ったのか!」


意刄木「あぁ。もう俺は元気ピンピンだ。」


 意刄木の表情は、何やら暗かった。


昴「俺は大丈夫。きっと、大丈夫だよ…」


 昴はそう言って、また歩き出す。意刄木は立ち止まったまま、ポケットから何かを取り出す。


「カチャッ」


 意刄木の手に、拳銃が握られる。その銃口が、ゆっくりと昴の方に向いた。


意刄木「ごめんなぁ〜。《《昴君》》」


「バンッ」


 校内に銃声が響き渡る。そして、昴は頭の後頭部から血を流し、その場で倒れた…



次回予告


昴「何で…何でお前が…意刄木ぃ!!」


 校内で起きる、昴 拉致《らち》作戦。意刄木が昴を撃ち抜き、校内に黒いフードを被った男女が数十人侵入する。


校長先生「…昴君を、引き渡す」


 占拠される校内。昴を庇う学校だが、数百人の生徒が人質に取られる。


意刄木「研究のためらしいよ。残念。」


 そして、昴が不死身となった理由が明かされる。


昴「嘘…だろ……俺が…」


「Exist」第2話へ続く…


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― 新着の感想 ―
とても面白いです。次回の展開がよめず、これからがとても楽しみです。
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