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おとなりの文学淑女  作者: シルヴィア・紫の夜明け


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水先案内人の本

 今日の緑川若葉は漫画を読んでいた。

 表紙には彼女と似た髪色の少女が描かれている。

 また、お日様のオレンジ色の輝きが更に共通点を生んでいる。

 安直だが、今日の彼女の晩ご飯はオムライスかなと思ってしまった。


 部屋に帰るには彼女の前を通らないといけない。

 こうネガティブになってしまうと自分がすぐに好感度が下がってしまうギャルゲーでの面倒くさいキャラに思えてくる。

 ギャルゲーをやらないので本当にそんなキャラがいるのかは知らないが。

 ふと気がつく。

 オムライスってアニメ版の要素では? と。

 よく知りはしないが。

 そして漫画の方は思っている以上に食事シーンがない。

 だから今日の本当の食事は。


「お疲れ様です」

「おかえりなさい」

「温めるだけのたこ焼きでしたらコンビニにもあるかと」

「あれは揚げですよね」

「ご存知でしたか」

「お願い出来ますか?」

「たこなしのたこ焼きでいいんでしたら」

「お願いします」


 美女の上目づかいに弱い。

 美女は結構得をしないみたいな説を読んだ気がするが、まやかしな気がする。


 紙パックの抜け殻とアルミホイルを駆使して焼いたたこ焼きは

「しかくい、たこ焼き初めて見ました」

 四角かった。

「たこは入っていませんがね」

 キャベツと旨味成分の粉、ねぎにかつお節とソース。

 紅生姜はなかった。

「おいしいです」

「それは良かったです」

 何だか思っていたよりも心にさざ波はたたなかった。

 そして思っている以上に、たこ焼きの手間は掛からない。

 フライパンで、たこ焼きではないものを作るのなら。

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