緋色のサファイア第27話
まえがき
ちょっと絵の修行をしていて、また更新まで時間が空きました!笑
そろそろ完結まで近づいてきたなぁと思ってます。思ってるだけかもしれません笑
今回もハルカちゃん大ピンチ~(^ཀ^)
前回のあらすじ
敵巨大航空機に侵入し、そのバリアを無効化したハルカたち。しかし脱出前に味方戦闘機部隊が巨大航空機を撃墜し、ハルカは残骸と共に墜落してしまう。ハルカはいつの間にか救助部隊に潜入していた敵部隊に回収され、敵本拠地へと連れ去られてしまった。既に捕虜となっていた政府軍兵士とメイソン脱出を図るが、行動を共にした捕虜はハルカが気付かないうちに被弾し、道中で死亡してしまう。
数秒間の睨み合いが、時の流れをゆっくりに感じさせた。吹き抜ける生暖かい風が、時の流れは正常であることをハルカの肌に告げていた。
「メイソンを撃ったの……?!」
ハルカは怒りの眼差しで、建物から見下ろす二人組を睨んだ。
「あら、やっと気付いたのね?ハルカちゃんの盾になってくれたんだから、感謝しないと」
その二人は軽やかに地上へと舞い降り、ハルカの元へと歩みを進める。
「2対1だ、穏便に降伏しろ」
相変わらず黒い影に包まれ、その姿の視認ができない敵総司令官のダルクが重苦しい声で語り掛ける。その隣で、軽く、しかしねっとりとした口調で幹部のキョウカが口を挟む。
「ハルカちゃん痛い思いしたくないでしょ?正直目的は果たしたから、逃げてもらってもいいんだけど……それも勿体ないわねぇ」
冷たい緊張感があたりを包み込む。数秒の睨み合いの後、ハルカは黙って遺体を岩陰に横たえた。ダルクとキョウカの4つの目は、その小さな体を追いかけて離そうとしなかった。ハルカは一瞬だけだが、確かに手を合わせた。その手を開くと同時に、この場の誰もが見慣れたポップな円筒状のものが2個展開され、ダルクらの方へと轟音を振りまいた。
「やっぱ交渉はできなかったわねぇ」
「だと思った……」
寸でのところで二人はミサイルをかわし、しかし背後で近接信管が作動したのか爆風と破片が降り注いだ。
「……ッチ、腕を上げたな」
「いったーい!ハルカちゃんやるじゃない」
吹き飛ばされた二人に向かって、青い閃光をまき散らしながら2振りの短刀が猛然と襲い掛かる。ギリギリのところで、黒い影が光を受け止める。
「なかなか強くなったようだ。だが長くはもたないだろう」
「前だけ見てたらダメよ?」
キョウカの毒の鞭が鍔迫り合いから二人を分かつ。態勢を整えたダルクとキョウカから、豪雨のごとくハルカへと攻撃が向けられる。黒いナイフの群れ、毒液の雨、触手のように追いかけてくる毒の鞭。しかし一瞬の空白を見逃さず、ハルカも小型ミサイルを投射する。直撃こそしないものの、ダルクとキョウカの近くでミサイルは破裂し、破片をまき散らす。致命傷には程遠いが、少しずつ二人の傷は増えていった。しかしそれ以上に、息つく間もなく常に回避を強いる時間がハルカの小さな体を押しつぶし始めていた。
「くっ……。これ以上は……!」
文字通り火花を散らしあってから、たった3人の殴り合いにしてはかなりの時間が経っていた。鋭い金属音に破裂音、そして荒い息遣いが辺りに響き、硝煙の匂いが風に乗った。。
「もう……!しつこいなぁ!」
「ハルカちゃんも……相当よ……?全く……」
3人とも、体力は限界を迎えていた。しかし数は2対1。その割には善戦するも、ハルカの不利は明らかであった。
「惜しかったな」
ダルクから目を離した一瞬の隙を突かれ、ハルカの脚に黒い刃物が突き刺さった。
「あっ……!」
突如襲い掛かる鋭い痛みに、ハルカが態勢を大きく崩す。ダルクとキョウカはすかさず追い打ちを仕掛け、ハルカはあっという間に深手を負い、地面に倒れてしまった。
「ごめんねぇ、ハルカちゃん。こんなに傷だらけにして」
「ま、まだまだっ……!」
ボロボロになったハルカの目からは、まだ戦いの炎は消えていなかった。何とか反撃を試みるも、その度に体の傷は増えるばかりであった。
「痛い……こんなの……メイソンに顔向けできないよ……」
「もうこれ以上は無理だろう。キョウカ、独房に叩き込んでおけ」
キョウカはもはや全くと言って良いほど動けなくなったハルカにダメ押しの毒を注入して不動を確実なものとし、肩に担いだ。小さく、しかしその割には少し重いその体からは鉄の匂いが漂ってきた。
ダルクとキョウカは、疲れからか黙ったまま荒れ地を歩いて本部建物に向かっていた。部下の兵士を呼ばなかったのも、幹部が傷を負った姿を見せないためであろう。数分間の沈黙を破ったのは、一筋の青白い光であった。その光はキョウカの体を貫き、地に二つの体が転がった。
「くっ……まさか、まだこんな……」
傷つき、もはや力は残されていないと思われたハルカは、力強く閃光をまき散らす刀身をダルクに向けた。その目からは、炎のような赤い光が燃え上がっていた。
「まだこんな力があったとはな……。しかし、いつもよりやたら長い剣だな」
これまでに見せなかったスピードでハルカはダルクに襲い掛かり、鈍い音が響き渡る。ダルクは防戦一方となり、ハルカの素早い攻撃が一方的に叩きつけられる。
「クッ……別物じゃないか。キョウカ動けるか?」
「うっ……ギリギリね……。いい加減大人しくしなさいハルカちゃん!」
何とか体を起こしたキョウカから毒の鞭が伸びる。しかしそれもあっという間に叩き斬られ、全くと言って良いほどハルカには届かなかった。
刃を交えるたびにダルクが闇の中にハルカのエネルギーを吸収し、キョウカが毒で動きを止めようとするも、ほとばしるハルカの力がそれらを凌駕していた。ダルクからの攻撃をかわすと同時に、動きの鈍ったキョウカの背後に回り込んだハルカは、その輝く刀身を再び突き立て、ついにキョウカを完全に打ち倒した。何度かのやり取りの後、ダルクにも強烈な一撃が叩き込まれ、ついに地面へと倒れた。息を整えたハルカがとどめを刺そうと、ゆっくりと歩き出したところで、まるで電池が切れたかのように少女も力なくその小さな体を地に落とすのであった。
「おおっ……これが“緋色のサファイア”か……!!」
人知れず繰り広げられた戦いを見つめる、もう一人の人間の呟きは風に消え、急に静かになった空間が何事も無かったかのように再び時間を刻み始めた。
あとがき
やっとここまで来てタイトル回収しましたw
これからは緋色のサファイアをちょっと掘り下げます( ◜ ཀ ◝)
そろそろ物語も終盤…のハズです!笑




