↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
98/163

98

 外に見張りを立てる必要もない。今やヴェスパは、この町最大の勢力だ。何に警戒する必要があるというのだろう。

「そいつは都合が良い」

 そう言って、ストラスは、壁のブレーカーを落とした。

 電灯のスイッチは階段の脇にあるが、電気設備全体を司るブレーカーは、奥の壁にある。地下室は、一瞬で闇に包まれた。

「クソッ!灯を消された!逃がすな!階段の前を固めろ!」

 リーダー格らしい男が指示を出す。

 やれやれ。馬鹿は死ななきゃ治らないか。

 ストラスは仮面に手をやり、側面にあるスイッチを入れた。暗闇に閉ざされたはずの地下室が、白黒の映像で浮かび上がった。

 仮面の中に、赤外線暗視装置を仕込んである。

 ボロの内側から包丁を二本抜き取り、両手に一本ずつ、逆手に握る。手探りで出口へ向かおうとしている男の一人に狙いをつけると、音も無く忍び寄り、喉笛を掻き切った。

 男は、何が何やら分からないまま、切られた喉を押さえた。ゴボゴボと血でうがいをしながら、苦しそうに地面に転がった。

 文明の衰退した世界において、闇は驚異だ。人間は、獣のように夜目が利かないし、卓越した聴覚や臭覚も持ち合わせてはいない。闇を味方につけたストラスに勝てる者はいない。

 二人…、三人…。

 闇の中で男たちが、次々と血の海に沈んでいく。

「な、なんだ?!どうしたんだ?!何が起きてる!クボタ!ヤギ!大丈夫か?」

 喚き散らす男の視線は、頼りなく宙を彷徨っていた。

「返事が無いところを見ると、その二人は既に死んだようだな」

 耳元で囁くと、男は悲鳴とともに腕を振り回した。

 難なくかわし、血に染まった包丁を首に突き刺した。

 男は、首に包丁を突き刺したまま、声もなく床に倒れた。

 ストラスは、切れ味の悪くなったもう一方の包丁も投げ捨てると、ボロの中から新たに二本の包丁を抜き出し、両手に構えた。

 あと二人…。

 一人は、恐怖で腰を抜かしてしまい、床でジタバタしていた。小便を垂れ流している。

「まったく…。人の命を奪っても何とも思わないくせに、自分が殺されるとなると、この体たらくか。見苦しいな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。