↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
55/163

55

 新聞をパラパラと捲って、スポーツ欄に行き着いた。

『プロ野球。新人王に巨人、諏訪』

 プロ野球か…。

 野球のことは、小さい頃見たテレビのことが、うろ覚えに残っていた。ハイブのおっさん連中にも、野球が好きだった人はけっこういて、昔話を聞いたこともある。

 ひょっとしたら、テレビで観られるかもしれないぞ。

 そういえば、スーコも小さい頃、野球をやっていたという話だ。残念ながら、彼がボールを打ったところは見たことがない。スーコにバールで殴られた奴が、5mも吹っ飛んだのは記憶に新しいが…。

 ん?諏訪?

「スワァ?!」と、アキラは、記事にあった写真を見て大声を出した。

「どうしたんだ?」

「こ、こいつ、スーコだ!」

「なんだ、巨人の諏訪がどうかしたのか?」

「諏訪って、下の名前、何て言うんだよ?」

「何だったかな…」と、望巳は拳で頭をコツコツと叩いた。

「コウサクだ。諏訪耕作」

 ちょうど出来上がった朝定食、もとい『もうにんぐ』を持って来た店主が、代わりに答えた。両手に大きな皿をのせている。カリカリに焼いたトーストと、ベーコンエッグ、ツナサラダ、ナポリタンが、まるで刺身でも盛りつけるような和風の皿にのってあった。

「そうそう、耕作」と、望巳が同意する。

「やっぱり!こいつ、スーコだよ。ハイブの仲間の!そうか、あいつ野球選手になったんだ。ハイブの奴らが聞いたら、驚くだろうな!」

「なんだ、お前、諏訪の知り合いか?」。興味深そうに、店主が訊いた。

「というか、何というか、複雑なんだ」と、代わりに望巳が答えた。

「今度諏訪に会ったら、伝えといてくれ。お前、近頃、チヤホヤされて、いい気になっていないかってな。パワーはたいしたもんだが、足が遅せぇんだよ。いくらスラッガーでも、全打席ホームランってわけにゃいかねぇんだ。少しは精進して、走る練習でもしやがれ」

「言っとくよ。確かに、あいつ、俺より足が遅いんだ」

「頼むぜ」と、老人はアキラに向けて親指を立てた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。