表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/65

第57話 えっ?

 それにしても、俺は相当に無用心であった。

 ホコリは舞っていた。それを吸い込むとどうなるかも知っていた。

 自らの体たらくを罵る趣味は無いが、今日の俺は自分自身を罵った。


 アホめ。舞い踊るホコリにどう対処してよいか、理解していたはずだろう。


 さて、そのクシャミの大きさであるが、このハミルカル邸の隅々にまで届くほどであったと言っておこうと思う。もちろんそれは言い過ぎではあるのだが、それでも同じフロアにいる4人組に俺の存在を知らせるには十分過ぎるほどの大きさであった事は、疑いようも無い。


 小気味良く、絨毯敷きを蹴る音がする。4人だ。それに遅れてついてくるのは、おそらくノウァであった。


 扉一枚を隔てた向こうで、5人は何やら話し込んでいる。

 聞き耳を立てるも良く聞こえず。

 急な事態により負傷する可能性もある。戸板に耳を押し付けるのは危険だ。


 その刹那に大きな声が聞こえた。主はノウァである。

「分かりましたわ。鍵を探してきますので、ここで待っていてください」


 多少不自然なほどに大きく聴こえたのは、ノウァなりの考えがあったからだろう。“私が鍵を持ってくる間にどこかに隠れるのですわ”と、恐らく機転を利かせたのだ。


 ありがとう。扉にアストル・コリジョンはマジでヤバイ。


 部屋を改めて見回す。ホコリも相当だが、とにかく物があふれかえっている。どこに隠れようか悩むが、答えはすぐに出た。

 入り口に一番近い箱だ。

 きっと成神は俺の考えを読んで一番奥から探し始める事だろう。その裏をかく。


 やはりこの箱にもホコリが積もっているな。

 それに触れた形跡があったら、怪しんで真っ先に開けられてしまう。ゆっくり、慎重に中に入り、慎重に蓋を閉める。

 幸い、中はほぼ空といってよい程であった。俺のほかには、小さな箱がひとつ。暗闇なので見えはしないが、包帯のように布で包まれているのは触って分かった。

 いったい、これはなんだろう。


 手でまさぐっているうちに、その布は緩んでしまった。


「あらら、中身を傷付ける前に戻さないと」

 



 手でまさぐっているうちに、その布が緩んでしまった。

 次の瞬間、その隙間からは非常に強い光が漏れ出し、俺を包み込んだ。


「っはぁあああ目がぁああ」

 あまりの眩しさに、思わず声が出てしまった。


「声がした! みーつけたッ!?」

「うわああぁああ」


「ん?? あなた……誰??」

「すまん、マジすまん。ふたりで出かけたのにはちゃんとワケがあってだな。その、別にふたりだけで美味しいものを食べてに行ったりしたわけではないんだ、ゆるしてぇ!」

「いや、だから、誰?」

「はぁ?」


 この成神さんは何を言っているのか俺には理解出来ない。俺は、俺なんだけど。


「おい成神、俺だぞ、おーれ。俺だ、俺俺」

「あのねぇ、女の子が俺って言っちゃダメよ。もっと可愛く、私って言わなきゃ」

「えっ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
■「へぇ……ちょっと続き気になるかも?」って方はリンクをクリック! ポチっとな!■
》》スクロール文字小説家になろう 勝手にランキング《《
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ