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星に願いを

本日七夕なり

なので、学園都市の七夕と、折角なので裕樹とひばりのカップリング要素も。


裕樹とひばり、こういう感じで進められたらいいなあ

と思ってます。

「さ~さ~の~は~♪」

「ユウ兄ちゃんオンチ」

「やかましい」

 学園都市は七夕において、七夕祭りが行われる。

 パレードこそ行われない物の、DIEシステムで笹を具現し、それに同じくDIEシステムで具現した短冊とペンを使い、願い事を笹につるす。 

 笹は、つるした短冊の数に比例し成長するシステムとなっており、最初こそ小さい笹であり、最終的には超巨大な笹に変わる。

「みなもちゃんは、何お願いするの?」

「えっとれしゅね――今度のコンクールで優勝したいって。つぐみちゃんは?」

「うーん……やっぱり、皆と仲良く楽しく過ごしたい、かな? 歩美ちゃんはどう?」

「私は……先輩たちと同じで、お料理が上手になりたくて、皆さんと仲良く過ごしたいなあって――なんだか、欲張りになっちゃいました」

「皆欲がないね。まあボクはそんな皆が結構好きだけどね」

「アスカさんは?」

「んーっ……もっとたくさんの人が楽しめる歌が歌いたい、かな? ボクはみんなで楽しんではしゃげる中心になりたくて、芸能科に入ったからね」

「初志貫徹、ですか……やっぱり凄いですね、アスカさんは。ね、奏ちゃん」

「そうだね、宇佐美ちゃん――私も、もっと頑張らなきゃです!」

 勿論、女性陣は会話に花を咲かせており、順番を待っている間も華やかで楽しそうな時間を過ごしている。

「綾香、混ざらなくて良いの?」

「いいよ、ああいう空気は苦手だ。てか、バイク使えりゃあなあ」

「無茶言わないでよ。学園都市中から人集まってるんだから――それに、こうして手をつないで歩くのも、悪くないと思わない?」

「――違いないな。たまにはこういうのも、悪くねーや」

 綾香と鷹久は、普通に手をつないで歩いていた。

 その自然さは、周囲が特に気にもかけない位に、様になっている。

「――よかったんですか、榊さん?」

「何がだ? 大輔」

「何も保安部の手伝いに回らなくても――」

「俺はもう七夕なんて年じゃない。増して、願いなんて……」

 笹への長蛇列の誘導を行うのは、例によって保安部。

 本日龍星は、臨時の保安部増員として大輔の指揮下で、その誘導に参加していた。

「おーい月、クリス……そんなべたべたくっつかんでくれない?」

「――だって人ごみで押されるんだから、仕方ないじゃない」

「そーだよーん♪」

「いや、それにしてはふしぜむぐっ!?」

「あらま、大胆♪」

「おおっと、なんかきゅーにせまくなってきたよん」

「むぐーっ!!」


「「「…………」」」


 その中でひときわ異彩を放ってるのが、光一のいる場所で――

 押されてると言う名目で、月とクリスのコンビネーションでサンドイッチ状態となってる光一の周りには、既に人波が距離を取っていたりする。

「こちら裕香こちら裕香、応答願いますどーぞー♪」

「はいはーい、こちら兄ちゃんこちら兄ちゃん。笹の地点まで、どれ位かかりそうですかどーぞー?」

「んー、あと2、30分はかかるかなと思われます。どーぞー」

「……何やってるんですか2人とも?」

 そして、朝霧兄妹とひばり。

 裕樹が裕香に肩車をしてやり、目的地までの距離と様子を見て貰ってるのを、人波に流されないよう裕樹の上着を掴んでいるひばりが、疑問を投げかける。

「いや、ちょっと暇なんで」

「面白くしてみたんだよ。ねえ、ひばり姉ちゃんも肩車して貰う?」

「俺は構わないけど」

「構ってください。裕香ちゃんも、そろそろ降りて来て」

「はーい」

 裕香は素直に裕樹の背中伝いに降りて来て、裕樹の上着を掴みながらひばりと手を繋ぐ。

「ねえねえひばり姉ちゃん、ひばり姉ちゃんは何お願いするの?」

「あたし? うーん……やっぱり、皆の無病息災、かなあ? 裕香ちゃんは?」

「ひばり姉ちゃんがお姉ちゃんに――と言いたいところだけど」

「?」

「最近はメイクとかファッションに凝っててね。だから、そう言うので学園都市1番になれますようにって」

「そっか――」

 裕香は裕香で、成長してるんだなあ――と、裕樹もひばりも感極まりつつあった。

 そして、順番が回り、3人はそれぞれDIEシステムにより具現した短冊と紙に、それぞれ願い事を書いて、その場を後にする。

 学園都市全員分の願い事がつるされ、まるで樹齢何千年の大木かと言わんばかりの巨大な物になった笹が――

 突如ガラスの様に砕け、その破片が星空を天の川の様に流れて行き、消えて行く

「――綺麗」

「うん……」

「どうかしました、ユウさん?」

「いや……短冊の方に気が行ってたけど、織姫と彦星だったか? ――1年に1度しか会えないって、どんな気分なんだろうなって思っただけ」

「――きっと2人にとって、お互いに会えるその時間はかけがえのない物なんじゃないですか?」

「そっか」

 空を見上げるひばりに、裕樹は目を向け――

「――なんか、わかる気がする」

「え? 何か言いました?」

「――星に願いをって言うのも悪くない、って言ったんだ」


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