和喫茶店“緋桜”の一時
はい、四神最後の1人、朱羽南波です。
上流階級と言う事で、水鏡怜奈との絡みにしてみました。
椎名九十九との絡みにしてみようかなと考えもしましたが。
学園都市繁華街。
そこでは主に、ショッピングモールや飲食店などが立ち並び、遊びあるいは仕事と、様々な理由が入り混じり、人が最も多く集まる区画。
そこから少し外れた場所に構える和喫茶店『緋桜』
「いらっしゃいませ」
「こんにちは、南波さん」
「これはこれは、怜奈さん」
そこを経営している、北欧系クォーターの少女、朱羽南波。
華族の血筋、朱羽家の令嬢である彼女が出迎えたのは、自身の幼馴染であり、水鏡グループ総帥令嬢、水鏡怜奈。
武芸十八搬、特に長刀の腕に関しては学園都市でも最強の部類に入り、朝霧裕樹の剣とも互角に渡り合えるほどの腕の持ち主であり、誰もが一度は恋をすると評判の美貌を持つ怜奈は、南波にとっての憧れでもあった。
「お変わりないようで、何よりです。南波様」
「蓮華さん、ここでは……」
「――失礼。変わりない様でなによりね、南波」
続いては行って来たのは、怜奈のボディガードであり、身の回りの世話を行う執事服を纏った少女、黛蓮華。
男装の麗人と名高い彼女は、最初こそ怜奈の側近としての礼で接した物の、南波の咎める様な声で、すぐに態度を友人と接する物に変える。
「では、こちらへ」
南波は2人を専用の個室へと案内する
怜奈がここに来る時は、水鏡家令嬢ではなく水鏡怜奈個人として時間を過ごしたい時のみなのだが、その美貌は黙っていても眼を惹く為、南波は専用の個室を用意している。
そこに入った事があるのは、蓮華かスタッフとしての南波だけと徹底されている程。
「……ふぅっ」
そこに案内され、席を突くと同時に怜奈はため息をついた。
そういう反応をする時は……。
「もしや、また朝霧さんですか?」
「……ええ。怜奈様としては、あの時の詫びをしたい一心なのだけど、それが逆に周囲の不快感を募らせている悪循環で」
水鏡家は格式が高い家柄である上に、怜奈自身が学園都市どころか上流階級でも、男性どころか女性でさえ憧れを抱く程の美貌の持ち主である所為か、取り巻きには特権意識あるいはモンスターペアレント思考の強い人間が多い。
実際朝霧裕樹との確執も、取り巻きが先走った事が原因であり、怜奈の意思を無視して水鏡家の名を使い、保安部に追放するように仕向けた事が原因である。
「――どこの馬の骨ともわからぬ輩が、怜奈様が近づく等許されないという気持ちはわかるが、それで怜奈様が気に病む結果になっては、本末転倒だ」
「早く皆さんが、朝霧さんの良さを理解して下さればいいのですが」
「そう言えばこの店でも、雇っていた事があると聞きましたが」
「はい。この辺りの飲食店で、営業妨害をして回る事件がありまして。丁度その時、お客様として来られていた朝霧さんが、その営業妨害を追い払ってくださった事がありまして」
「……やはりお決まりのパターンか」
デリカシーが微塵もなく、女性の扱いが異様なまでにヘタクソなくせに、そういう場面の対処法だけは詳しい上に、腕もたつ。
その所為で女性からの人気は、一応は高い部類に入る裕樹の顔を思い出し、蓮華は表情にこそ出さなかったものの、頬のひくつきは止まらなかった。
「……誑かされた、と言う訳ではない事はわかるから、尚性質が悪い」
「どうやら、蓮華さんなりに色々と葛藤がある様ですね。本当に――朝霧さんも罪な御方ですね」
――一方その頃
「へっきしっ!!」
「うわっ! ――どっ、どうしたのユウさん?」
「――まーた水鏡んところの雌どもが騒いでんだろうよ」
「あのさユウさん。一応ボクも女の子だから、雌呼ばわりはどうかと思うよ?」
宇佐美を連れて、辰美と一緒に喫茶店で食事してる裕樹が、盛大なくしゃみをしていた。
「あの、東野さん?」
「辰美でいいよ、宇佐美ちゃん」
「あの――ユウとは、付き合ったりとかしてるんですか?」
「え? ううん、違うよ。まあ、気が合うのはあるけどね」
「……女ってそう言うの好きだよな。自分にそういうぐへっ!!?」
「デリカシーのなさはまだ治ってないんだね」




