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13話 ツバメの友人と名乗る者


ーー新しいファミリーの一員 マミーさんを加えたワイフガーデンは今日も賑やかだ

カモメが里近く来て鳴けば荒れるとはこのことよ


「ツバメ!! 今度は自信作でゲル!! 早速食べるでゲルよ!!」


前作は紫だったが 今度は真っ赤なケーキを持ってきたコニャックは また同じ事を繰り返す


「おいカモメ…… お前は自信作を誰かにぶん投げないと気が済まないのか?!」


「違うでゲル!! 何故か床に引っかかるのでゲルよ!!」


「問答無用!! あ~~顔がヒリヒリする~~ あんた激辛を私に食わせようとしてたの?!」


「ゲルゥゥフフフフ♪」


縄に縛られて吊されるコニャックは 幸せそうな顔をしていた


「これもこれで有りでゲルな……」


「喜んでんじゃないわよ!!」


二人がイチャつく傍で微笑むマミー

そこへコボルトが二人分の衣類を持って入って来た


「用意が出来ましたよ コニャック様 ツバメ様 さっそく試着してみて下さい」


更衣室から出てきた二人は互いの姿を見つめる


「あんたのそれって特注?」


「特注でゲルな 素材が王族仕様でゲル!!」


「サイズに触れたんだけど…… まぁいいや」


そんな二人が着ているのは


「我がライブトゥギャザー王国唯一にして 高等教育機関【ドヴェルグ学園】の制服です」


「とってもお似合いですよ カメラがあれば記念撮影したいくらい……」


マミーは涙で包帯が濡れていた


「エヘヘ……! ありがとうございます」


ーー何故かこの人が喜んでると照れるなぁ


コニャックに嫌々ブローチを付けさせるツバメはハッと気づいた


「なんで私も学校行く前提なの!!?」


「ハハハ! 日本のしっかりした小難しい勉強などはありませんので 楽しむ感じで!」


「そんなとこ行く暇があるなら日本水準の勉強したいんですけど!」


「コニャック様のお守りも兼ねてお任せ出来ないですかね~?」


「嫌よ!! 制服が可愛かったからちょっと着てみたけど 絶対行きません!!」



「学校に行かないんですか?」



うるうると包帯を腹部にかけて びしょ濡れにするマミーにツバメは思い留まる


「わかった…… 行く……」


「その意気でゲルよツバメ!! ツバメがいないと私も学校行く必要ないでゲルからな!!」


「アンタはちゃんと行きなさいよ!! ただでさえアホなんだから!!」


「賢くなる事よりもツバメと一緒にいたいんでゲル~!!」



「ウフフ…… 可愛い旦那様に愛されてますねツバメ様」



マミーが加入したことにより 調子が狂うツバメはコニャックなりの愛情表現を防ぎ切れないでいた

取り敢えず制服姿のままで過ごしている二人に コボルトから今更の話を持ち込まれる


「ここが寮という事もありまして 学校にも近いということで入寮希望者を募ってみたんですね」


「また知らないところで何やってるんですか?」


「そしたら二名ほどの志願がありまして 明日からその生徒さん達と一緒の生活が始まります」


「こんな…… いかがわしい名前の寮に集まるって……」


人が増える新たな展開に もう訳が分からないツバメ

コニャックも急に緊張で固体になってしまうリビングで 廊下から足音が聞こえてきた


「もう部屋を借りてる人がいるのですか?」


質問してみるマミーに コボルトは笑顔で首を傾げる


「そんな話は聞いてません…… 不審者ですかね?」


身体の損傷が激しいことお構いなしのコボルトは 三人の前に立ちはだかる


「「「 イケメンだ!! 」」」


足音は大きくなり その姿は四人の前に現れた


「ん? あれぇ? ツバメじゃん!!」


「え……」


ツバメと同い年くらいの少女は堂々とリビングに侵入し ツバメに抱きついた


「私だよ私!! コンちゃんだよ?!」


「コン?」


血が搾り取られるくらいのハグに呼吸を奪われるツバメ


「苦しい!! 死ぬ!! あと思い出せない」


「私の嫁に何してるでゲルかーー!!」


ドロップキックされながらも虚しく ヒョイっとコンに躱されて壁に激突

ようやく解放されたツバメは貧血でソファーに横になる

対面に腰を下ろすコンは 頬杖でニコニコとこちらを見つめていた


「忘れるなんてドイヒだね~ そりゃ三年間会ってないから無理もないけどさ~」


「三年……」


「まぁ怪しまれるのも お後がよろしくありませんのだ!

これから君の隣でヨイショヨイショと株を上げる新人なもんで 名を名乗ろうでないか!!」


沈黙を生じさせぬノンストップテンションの彼女は

勢いよく立ち上がり 同時に机にぶつけて膝をお釈迦にする


「クゥ~~~!! 私の名前は守利狐モウリ・コン!! 学名は古今東西ココンコ!コン!!

趣味は寝ること マイブームはサディスト!! かっこ嘘テヘっ!! よろしこね!!」


「…………」



〝 悩んでるなら相談してよ!! 私達友達じゃないの?! 〟



またしても痛みが頭を過ぎるツバメ

額を撫でる彼女の仕草を スベったと確信するコンは


「や……山ちゃんのモノマネしまーーす!! ペティン・マーフェイだっっぜぇぇい?!」


「大丈夫だから ……よろしくねコンちゃん」


「………いいっていいって!! こちらこそよろしくツバメ!!」



「ちょっと待つでゲルゥゥゥ!!」



壁穴にハマったまま尻と敵意むき出しのコニャックが 壁越しに怒鳴り散らす


「ツバメと仲良くするならまず!! このコニャック様に話を通してからが筋でゲルよ!!」


「ヤキモチ焼かんで下さいよコニャックの旦那!!

あっしはツバメ様の手取り足取りになって世話をする言わば!! ……忠誠を誓った用心棒です!!」


「コボルト的なポジションに就こうという考えでゲルか……

あい分かった…… 其方にツバメ直属の世話役の任を与えようでゲル!!」



ーー勝手に決めよってからにこの幼女!! ……誰ともすぐに仲良くなれる私の知人か



ツバメはコニャック(の尻)と親しげに話すコンという 謎の少女を後ろめたく見つめていた

胸に手を当てれば自分に嘘を付けない



ーーそうだよ 私はこの子を知っている

遠い昔に絶対会っていた筈なのに…… 思い出したくないんだ



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