こうもり
ぶら下がった。爪は、そうその爪こそが誇りとなり、独断の決定打となるのだ。目に見えぬこの暗闇の中では(暗闇とは我々にとって常であり、当たり前なのだが、その中でもこの言葉こそが重要なのだ)宙ぶらりんの不安を和らげる、このしっかりとした感覚。がりがりとがりがりと。砂っぽい、埃っぽい。はたまたそうひんやりとした水、空気、私を包む。結局、この空間の中で私はこうして重力に逆らい、重力に引っ張られ、不安の中で生きるしかないのだ。
人は土を踏む。重力に従い生きている。(そうとは知らずにだ!)しっかりと安定しているか。ぶれない、揺れない、落ちることのない地面、大地。第一、この地球自身が、地球自体が怪しいのだ。いずれは噴火、時たち人は鈍化、我は幾時ども落下せず、ひたすらしがみついている。抗っている。その朽ちかけの岩。雨水に溶かされた岩壁。ぶつからないようにぶつからないように。耐え続けるのは私に意志。しがみつづけるのは常識。
結局はそうなのだ。誰しも彼氏も不安定にならざるを得ないのだ。しっかりとした、そう見えていた確たる地盤はもろく崩れ去り、我々を不安の暗闇へと落下させ、新たな境地の地盤を、その要求を、その必然性を、その要請を、我々に与え、結局はそれらのための起因になりうるのだろう。忘れずに、決して忘れてはならないのだ。




